■全国約560社が出店
北京の地下鉄・四恵駅で八通線に乗り換え、梨園駅下車、「7路」バスに乗って、軍事管理区や台湖鎮人民政府を越えていくと、一面の畑のなかに巨大な建物が現れた。北京発行グループと通州区が共同出資し、11月8日にオープンした「北京出版発行物流センター」(同センター有限責任公司)だ。
敷地面積は約31ヘクタール、総建築面積は30万平方メートル。大型書店の「北京国際図書城」と、宿泊施設をそなえた「総合サービスセンター」、24時間稼動の「物流・倉庫・配送センター」などからなる総合的な書籍の集散拠点である。
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中心にそびえる「北京国際図書城」は地下1階、地上5階の建物で、中国の全出版社573社のうち、560社あまりが出店している。3年以内に出版された新・近刊約30万種や古書を展示販売しており、1階は社会科学類と海外出版社コーナー(欧米系)、2階は文化教育・文学芸術・児童図書類、3階は科学技術類とビジュアル・オーディオ関連、4~5階は新書サンプルと、それぞれに分かれている。
卸売り価格とまではいかないが、新書でも定価の1~2割引で購入できるとあって、週末のこの日は多くの市民でにぎわっていた。市内中心部からの直通バス(1日2往復)や大型の無料パーキングエリアも設けられているため、クルマで気軽に訪れることもできそうだ。
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■在庫は常時1500万冊
隣接した「物流・倉庫・配送センター」では常時、50万種1500万冊の書籍を保管。24時間態勢で、出版社と全国の取引書店をむすぶ卸売り業務をおこなっている。
ところがこの巨大センター、規模が大きすぎるだけに、さまざまな課題も浮き彫りになっているようだ。オープンに合わせ、オンライン取引やショッピングができるウェブサイト「北発図書ネット」が開設されたが、システム不備があったのか、取引データが出てこないといった混乱があった。
また、書店のレイアウトは出版社ごとに分かれているため、「買い物客には不親切」との声もあった。目当ての本を探すのに、広いスペースに分かれた出版社の各コーナーを、端からチェックしなければならないからだ。
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■文化産業発展のかなめに
しかし、投資方の北京発行グループは、スタート時での諸問題を解決していき「3年以内に、年間交易額50億元(1元は約15円、約750億円)を達成する!」とあくまでも強気の姿勢。センターを、全国の出版業をむすぶ拠点にするとともに「おもに北京と華北地域の出版・物流の空白を埋めるものにしたい」(地元紙)という。
センターの建設が「北京市文化産業発展戦略」の重要プロジェクトの1つになっていることも経営を後押ししている。市当局は2008年までに「全国出版発行・版権貿易センター」をはじめ、「全国文芸演出センター」「全国映画テレビ番組制作・交易センター」「全国アニメ・ネットゲーム研究開発制作センター」などの6大文化センターを建設するプランを進めている。将来的には、こうした文化産業が市の支柱産業になると見込まれており、先陣を切った図書センターの発展に、大きな期待が寄せられている。 |
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中国が世界貿易機関(WTO)に加盟して、丸6年。出版業もかつてないスピードで変革しており、昨年末までに出版物の小売業・卸売業・流通市場がそれぞれ外資に開放された。
激しい市場競争が日々くりひろげられているが、北京発行グループは「センターの建設は、出版業発展のかなめ。外国企業が大量におしよせる前に、センターは市場規模を拡大し、企業の競争力を高め、首都の文化産業をさらに発展させることができるだろう」(地元紙)と語っている。
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※北京出版発行物流センター有限責任公司: 北京市通州区台湖鎮
TEL:(010)80808888
※北発図書ネット http://www.beifabook.com/
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