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日本ビジネス中国語学会
 
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ネット用語から読み解く中国
 
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2007年6月  『デスノート』取り締まりを強化 

     
     
bj200706_02 日本の人気漫画『デスノート』(中国名・死亡筆記)の海賊版グッズが中国の子どもの間に広まっているが、当局は同書を"有害図書"に指定し、取り締まりを強化している。
北京の地元紙によると、4月初めから6月中旬までの「全国"掃黄打非"」(ポルノと不法出版物の一掃)キャンペーンで、『デスノート』の不法出版物は5912冊、DVDなどの映像商品が1364枚、印刷物が572点、その他ホラー系の出版物1万1930冊が撤去された。摘発キャンペーンはなおも継続される予定だという。
相手の名前を書くだけで、呪い殺すことができるという『デスノート』。中国でなぜ、これほどまでに流行したのか?
取り締まりの背景とは?
 
     
   

■スッキリするから

「英語教師: ○月○日夕方6時、ホラー映画を見はじめる。その後、興奮して首吊り自殺。7時に死亡」
教師に対して不満を持っていた上海のある中学1年生が、市販の筆記帳「デスノート」に書きこんだ内容だ(新華ネット)。それによると、この女子生徒は英語教師をうらんでいたわけではないが、こうした形でのストレス解消は「スッキリするし、おもしろい」という。
じつは北京でも、若者に人気のアニメショップなどで、海賊版グッズがひそやかに売られている。実際にノートを買ってみたが、ソフトカバーの黒い表紙に、日本の漫画本とおなじロゴで「DEATH NOTE」という表題がしるされている。
表紙を開くとドクロマークが描かれており、前半の黒いページには中国語と英語の2カ国語で「デスノート」のルールが細かくプリントされている。「デスノートに名前を書かれた人間は死ぬ」「書かれる人の顔が頭に入っていないと効果はない」「名前の後に40秒以内に死因を書くと、そのとおりになる」など……。ほかに音声入りのCDと羽ペンがついて20元(1元は約16円)だ。
上海では、ノートの多くが小中学校そばの文具店や露店で売られていた。こちらも1冊20元前後と、一般的な学習ノートの数倍となる高さだが、多いときには1日30冊を売り上げた店もあるという。
一見すると、どこにでもある普通のノートだ。漫画やアニメの影響で、その使い方に教育上の問題が出てきたというわけだろう。

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■ネガティブな発散

『DEATH NOTE』(デスノート)は、大場つぐみ・原作、小畑健・作画で、週刊少年ジャンプに連載されたサイコサスペンス漫画である(2003年12月~06年5月、集英社)。
死神の持つデスノートを手にした主人公・夜神月(やがみライト)と、名探偵Lとのスリルあふれる攻防を描き、人気を集めた。
06年に実写映画やテレビアニメ、小説が作られており、漫画単行本の発行部数は全12巻で2500万部以上を数えるという。

中国では数年前から、インターネットを通じてアニメファンに知られていった。版元の集英社は、香港などの一部地域を除いて中国側とはライセンス契約を結んでいない。そのため、中国国内にある関連グッズのほとんどが海賊版だと見られている。
前述した中学のあるクラスでは、大半の生徒が市販の「デスノート」を持っていた。別の学校では、手作りの「デスノート」を友人にプレゼントしていた生徒もいた。関連グッズは、上海、河南、新疆、福建、四川、広東など、中国全土の小中学校に広まったといわれる。

こうした事態を受けて、「『デスノート』は興味本位の"黒色宣泄"(ネガティブな発散)でしかない。子どもの健全な成長をさまたげる」として、中国当局が関連グッズの一斉取り締まりをスタート。昨年末から強化している「ポルノと不法出版物の一掃」キャンペーンともあいまって、『デスノート』の関連商品だけでこの2カ月に約8000点を撤去したという(内訳は、出版物5912冊、映像商品1364枚、印刷物572点)。
WTOに加盟し、北京五輪、上海万博を目前にひかえた中国である。海賊版と"悪書"の撤去で、国際的なイメージアップをはかろうと躍起になっている模様だ。

■重い心理的負担

それにしてもなぜ、これほどまでに中国で『デスノート』が流行したのか?
子どもたちの心理的な負担が大きいことを指摘するのは、全国"掃黄打非"処の副主任である李宝中氏(国家新聞出版総署 市場監管局局長)だ。
「中国の子どもたちは、激しい受験競争のなかで心理的負担が大きい。人に負けまいとして、下校後もおそくまで塾に通う。そんなときに『デスノート』は格好のストレス発散アイテムになった。群集心理が働いて、自分も持たなければという強迫観念にもおそわれた」(人民ネット)
一人っ子世代のため、まわりの期待を一身に集めるプレッシャーは相当なもの。「デスノート」でライバルを蹴落としたいという心理も働いたのだろう。勉強に疲れた子どもたちの手軽な息抜きにもなったようだ。

上海市少年宮(課外教育センター)の教師・趙小華氏は、大人の注意が足りないことが問題だという。
「子どもは本来、神秘的なことへの好奇心が強いものだ。だが『デスノート』のようなネガティブな発散は、健全な成長をさまたげかねない。大人がもっと子どもに関心を払うべきだ」
数年前には一時的に、針をつかった呪いの人形「巫毒娃娃」が若者たちの間で流行した。経済重視の世の中で、"死"の概念があいまいになり、"生"を軽んじる傾向がある――という専門家もいる。

中国当局は今後も、ネットや街中にはびこる海賊版を徹底的に取り締まると公表している。とりわけポルノや暴力系、「デスノート」が重点課題であるという。
一方、中国の大手ポータルサイト「百度」では、かなりの関連動画や漫画が削除されたとはいえ、6月末時点で1000万件を超える「死亡筆記」項目がヒットする。ネット上のコミュニティーでは「デスノート」の処分に対し、「当局者の頭は、旧石器時代。思想が保守的で、封建的すぎる」「デスノートには哲学がある。子どもには死神が怖いだろうが、大人には問題ない」などといったファンの抗議があいついでいる。前述したアニメショップや闇市などでは、関連グッズが依然として人気の的になっている。
中国の「デスノート」フィーバーは、市場の需要があるかぎり、どうやら続きそうな様相だ。
 

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bestsellere  

★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計) 2007年6月15日~6月21日

     
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1.『悲傷逆流成河 Cry me a sad river』
郭敬明著 長江文芸出版社 2007年5月初版


2.『墨跡(曽子墨自述)』
曽子墨著 長江文芸出版社 2007年2月初版


3.『心霊鶏湯全集』(心のチキンスープ全集)
呉沛編著 中国長安出版社 2006年7月初版
人生を楽しく、豊かに、積極的に生きるための指南書。世界の感動的な物語200以上を収める。「1日を生きるのは幸せなこと。大切にすべき」「広い気持ちで許さなければ、自分が苦しむだけ」「無私の愛を持てば、一切を有する」「変えられない事実を受けとめる以外、よい方法はない」などなど。
「心のなかの夢と憧れを思い起こし、挫折したときも力と知恵を与えてくれる」と本書は語る。


4.『炒股入門与技巧』(株式投資の入門と技巧)
覃維桓著 経済管理出版社 2007年3月第6刷
投資レクチャー本のランクインは、中国の空前の投資ブームを裏づけるものだろう。「株券とは何か」といった基礎知識から「財テク」の方法まで、株式投資のしくみをわかりやすく解説。投資マニアの拡大に、一役買っているようだ。


5.『于丹《論語》心得』
于丹著 中華書局


6.『快楽生活一点通』
孫暁峰・張暁静主編 北京出版社


7.『絶対小孩』(ぜったい子ども)
朱徳庸作 上海錦綉文章出版社 2007年5月初版

ラブコメディー作品『双響炮』が人気のテレビドラマにもなった、台湾の売れっ子漫画家・朱徳庸の最新作。息子が10歳の年に、この作品を書き始めたという。
繊細なタッチ、独特なキャラクターの4コマ漫画は、なおも健在。小憎らしくも愛らしい子どもたちの"奇妙"な世界が描かれていて、思わずクスリとさせられる。全編カラーの豪華版だ。

8.『明明白白"炒"基金』(わかる投資ファンド)
捜狐公司理財頻道編 中国金融出版社


9.『女心理師(下)』(女性心理学者)
畢淑敏著 重慶出版社 2007年4月初版
女性心理学者の賀頓のもとへは、毎日のように精神疾患の患者が訪れる。エイズ患者、レズの少女、老革命家、父親の愛人をにくむ息子……。「もう3000歳も年をとったようだわ」と、彼女自身も疲れはてる。
だが、助けを求めた心理学の権威からは"しうち"を受ける。夫ではなく愛人から励まされて……。ヒロインの医療現場と私生活を軸にして、現代人の苦悩と救いの道を探ろうとする異色の社会派小説だ。


10.『人生若只如初見』(人生かくも初見の如し)
安意如著 天津教育出版社
 
   
     
   

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北京オリンピックまでのカウントダウンを伝える」)

 

 

 

2008年北京五輪まで、あと400日余りとなりました。
地元のテレビや新聞は、連日のようにカウントダウンの日数を伝えています。
聖火ランナーの募集と選抜もこのほどスタート。10月31日までに中国本土をはじめとして、パリや長野など国際コースの19都市から合計2万1880人が選抜される予定です。聖火リレーは五輪史上、最長距離となる13万7000キロにおよび、最多の参加人数になるといわれています。
北京の夏に特有のはげしい雷雨も悩みのタネです。場合によっては、競技を中断しなければならないからです。
そこで北京市気象局らはこのほど、五輪期間における新しい気象予報プランを明らかにしました。地元紙によると、期間中は北京の5環路以内の競技場三十数カ所に対し、気象の実況はもちろん、「3日以内3時間ごとの予報」を伝えるとのこと。これにより、雷雨などの不測の事態に備えたいとしています。
また、人工的に大雨を止めることが可能かどうかも実験中。「人工的に雨を消すのは、降らすのより難しい」(市気象局)そうですが、鋭意準備中だといいます。
その昔、「水を治める者は、天下を治める」といわれた中国。水を治めて、初の五輪を成功させてほしいものです。

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://china-media.jugem.jp/
 
     
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