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2005年8月  “赤い”旋風をまきおこす

     『現代漢語詞典』第5版が登場  
     
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中国で、最もポピュラーな中国語辞典『現代漢語詞典』の第5版がこのほど「史上最大」という大々的な改訂をへて、書店に並びはじめました。
なんでも、元本にした1996年の第3版に比べると、新たに6000語あまりが加えられ、使用頻度の少ない約2500語が削除されたのだとか……。「時代の変遷を映しだす辞書」(『北京日報』)、「史上初の真っ赤な装丁が"紅色旋風"(革命旋風)をまきおこす」(『新華書目報』)など、マスコミ各社もこれを大きく報道しており、早くも書店のベストセラーに名前をつらねる人気書となっています。
中国に"赤い"旋風をまきおこしている『現代漢語詞典』第5版のセールスポイントとは何か――。ここでは、辞典や関連報道などを参考にしながら、注目の第5版をひもといてみたいと思います。

 

 
     

◆6000新語の7つのカテゴリー

『現代漢語詞典』第5版は、中国のシンクタンクである「中国社会科学院」の語言研究所詞典(辞典)編集室の編纂、老舗の大手出版社「商務印書館」の出版で、この7月26日より、中国で発売されはじめています。
「辞書のなかの辞書、教師のなかの教師」「文房第五宝」(筆、墨、すずり、紙の"文房四宝"に次ぐ書斎用具)として、中国で最も親しまれている中国語の辞典です。歴史も古く、新中国成立後すぐの1950年代に、中央政府の「標準語を普及させる」という政策にもとづいて編集プロジェクトがスタート。その後は60年代のテスト版をへて、1978年の第1版から83年、96年、2002年(増補版)、05年の第5版まで、この27年ほどの間に5回もの改訂・増訂が行われてきました。

そして、今回の最大の特徴となるのが、元本にした第3版に比べると、新たに6000語あまりが加えられ、2500語が削除されたことです(総収載語数は、6万5000語あまり)。
これについて、中国社会科学院の言語学者であり、改訂者の一人である韓敬体氏は「中型の辞典としては(ページ数に限界があるため)一定の取捨選択が求められる。ここには、広く流行していて、安定性のある新しい言葉や意味(新語・新義)を収めました」(『商務印書館通訊』)と語っています。

韓敬体氏によれば、新たに加えられた言葉や意味は、次のような7つのカテゴリーに分けることができるそうです。

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①標準語の派生語による新語。たとえば派生語をつくる「性」からは、多くの新語が生まれている。
超导性 超伝導性
可读性 読みごたえ

②香港・台湾地区の語彙を取り入れたもの。
香港 廉租 安く貸す
峰会 サミット
猎头 ヘッドハンティング〈する〉
台湾 互动 互いに影響しあう
主打 主力となる
双赢 ウィンウィン〈となる〉

③方言を取り入れたもの。
北京 大款 大金持ち
砍价 値切る
宰客 客をぼる
広東 买单 勘定を払う
花心 浮気心、浮気性の
爆满 超満員である
煲电话粥 長電話をする
上海 搞定 うまく処理する
派対 パーティー
动迁 立ち退かせる
割肉 損失覚悟の処分

④専門用語、業界用語から一般化したもの。
擦边球 卓球のエッジボール → 法律にぎりぎり抵触しない行為
杀手 暗殺者、刺客 → 生命に害を及ぼす疾病や物質
缩水 水にぬれると縮む → 縮小・減少・下落する
越位 オフサイド → 越権行為をする
蒸发 蒸発する →(お金などが)すばやく、突然なくなること
转型 モデルチェンジする → 社会構造や生活スタイルなどが変わる

⑤略称からきたもの。
电邮 電子郵件、電子メール
彩显 彩色顕示器、カラーディスプレイ
动漫 動画と漫画、とくに、現代的な漫画とアニメーションのこと
社保 社会保険
三农 農業、農村、農民

⑥外国語からきたもの。
英語の音訳 酷 クール
克隆 クローン
黑客 ハッカー
丁克家庭 ディンクス
德比 ダービー
香波 シャンプー
蹦极 バンジー〈ジャンプ〉
英語の直訳 路演 新株発行時の説明会、ロードショー
热键 ホットキー
蓝牙 近距離無線技術規格、ブルートゥース
猎头 ヘッドハンティング〈する〉
日本語 料理 人気
卡拉OK カラオケ

⑦使われなくなっていた古い言葉が、息を吹きかえしたもの。
申论 申論テスト、国家公務員の試験科目の1つ。指定の材料で分析し、論証を加える
履新 官吏が新しい仕事につく、赴任する
尘埃落定 ほこりが積もる → 結果がでる

前回の第4版(02年、増補版)は、第3版に1200語あまりの新語・新義を加えて大きな注目を集めましたが、それから3年ほどたった今回は、新語・新義が6000語あまり増えましたので、増補版のそれを除いても約4800語が新たに収録されたというわけです。まさに「史上最大の改訂」というキャッチコピーに偽りなし、といったところ。
中国のめざましい発展にともなって、中国語も驚くべきスピードで変化しています。「ことばは時代を映す鏡」とよくいわれますが、上記の一例をざっと見ただけでも、地域や国境を超えたことばのボーダレス化がうかがえるよう。第5版に加えられた6000語の1つひとつが、現代中国を如実にあらわしている――といえるでしょう。

◆2500語カットの4原則

拾うものあれば、捨てるものあり。6000語が新たに加えられたことで、カットせざるを得なかったことばもあります。その数、2500語あまり。
前述した韓敬体氏によれば、削除したことばは以下の4つの原則によって決められたといいます。

①古すぎるもの。基本的に古い文語で、使われなくなったもの。
・不逮(行き届かない)、裁答(手紙などで返事をする)、疇日(昔)、初志(初志)

②旧時代のもの。昔のことがらや物、古い概念のもの。
・本生灯(ブンゼン灯)、辺幣(抗日戦争中に、解放区政府が発行した紙幣)、兵差(旧時、地方を通過した軍隊が、その地方から徴発した労役)、二百二(赤チン)

③偏りすぎているもの。使用頻度が少なく、専門的すぎるもの。
・廠絲(機械どり生糸)、尺中(中医学用語の1つ)、残積(残積土)、抄造(紙をすく)

④方言色が強く、ふだんあまり使われないもの。
・阿木林(ばか、愚鈍な人)、白相人(遊び人、ごろつき)、吵子(口論)、火老鴉(火の粉)――など。

◆利用者にやさしい辞書に

このほか第5版では、注釈に初めて、動詞、名詞などの品詞の12分類が明記されました。
動詞、名詞、形容詞、数詞、量詞、代詞(代名詞)、副詞、介詞(前置詞)、連詞(接続詞)、助詞、嘆詞(感嘆詞)、擬声詞――の別で、動詞はさらにそれに付属するものとして[助動詞、趨向動詞]、名詞は[時間詞、方位詞]、形容詞は[状態詞、属性詞]、代詞は[人称代詞、指示代詞、疑問代詞]などがある、と紹介しています。
これにより、利用者は「近年の文法研究の成果と、現在通用している中学、高校の中国語教育・学習システムを享受することができる」(韓敬体氏)といいます。これまで以上に利用者にやさしくて、便利な辞書になったわけです。

60年代のテスト版から『現代漢語詞典』の全書をすべて買いそろえているという、ある中国人の大学教師(中国語専攻)は、第5版もすぐに買い求めました。辞書それぞれに、社会の変化や時代の違いが現れていると語ります。

「たとえば当初、掲載された『大躍進』『三面紅旗』(社会主義建設の3つの旗じるし)、第2版まであった『人民公社』などの歴史的なことばは、時代の変遷にともなって辞書から消えていきました。
また、現代では、テレビやインターネットの普及、経済や交通の発展によって、ことばの概念や方言の壁がとりはらわれてきています。たとえば東北地方出身の人気コメディアン・趙本山が、癖のある東北方言で"賊多"(やけに多い、ふつうなら「很」「非常」という副詞を使う)などと言っても、ほとんどの人が理解できるし、かえってユニークなことばとして流行っていく。そしてそれが普遍化すれば、辞書にも掲載されていく。第5版は、こうして新語・新義が一気に増えた。『現代漢語詞典』は、まさに社会や時代の変化をあらわす"晴雨表"(バロメーター)だといえるでしょう」

中国語の変遷を知るためにも、新版が出れば揃えておくことが大事なのだと大学教師は語ります。"赤い"旋風がこれからどこへ向かうのか、第6版、7版も楽しみにしたいところ……。さっそく私の本棚にも、数冊目となる『現代漢語詞典』が並びました。

 

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bestsellere  

総合
王府井書店(新華書店) (北京市東城区王府井大街218号)
2005年8月第1週の週刊ベストセラー

 

   
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1.『現代漢語詞典』第5版
中国社会科学院語言研究所詞典編集室編 商務印書館 2005年6月 第334刷

2.『HARRY POTTER and the Half-Blood Prince』
(ハリー・ポッターと混血のプリンス、原版) J.K.ローリング著(英)
Bloomsbury Publishing Plc


この7月16日に、世界各国で同時発売された"ハリポタ"シリーズ第6巻。発売開始から24時間の売り上げ数は、イギリスで200万部以上、アメリカで690万部に達したのだとか……。
前作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』をしのぐ勢いで、あまりの熱狂的な人気に、発売を前にして一部の内容が流出してしまうという問題も発生している。中国でも、7月16日より英語版を発売中。


3.『中国歴朝皇帝年代表』
中国民族撮影芸術出版社


秦の始皇帝(前221~前206)から、清の末代皇帝(1909~1911)まで、中国歴代皇帝の在位表を1枚のカラーポスターに収めている。裏面は、紫禁城全景図。


4.『小故事大道理全集』(小さな物語、大きな道理の全集)
雅瑟編著 海潮出版社 2005年4月第2刷


仕事、財産、愛、結婚、交際、教育、精神など47章に分けた1000近くもの小さな物語から、人生を楽しく、有意義におくるための知恵を紹介。北京師範大学の哲学学部修士を卒業し、長年マスコミ関係の仕事に携わってきた著者が、「(本書の)哲理が、あなたの人生のランプに明るい火をともしたい」と語っている。


5.『18歳給我一個姑娘』(Given a Chick at Age 18)
馮唐著 重慶出版社 2005年6月初版


馮唐は、1971年生まれ。協和医科大学医学博士で「70代文字第一人」(70年生まれの作家の第一人者)と呼ばれる、香港在住の気鋭の作家だ。長編小説『万物生長』など多数の作品がある。
本書のタイトルは初め、再開発の進む北京のあちこちで見られる文字の『拆』(取り壊す)が採用されていたのだが、その後、中国のロック歌手・崔健(ツイ・ジエン)の歌に「試一試第一次办事,就像你十八歳的時候,給你一個姑娘」とあったのを聞いて、そこから引用したのだという。
「17、8歳の少年には時間の概念がない。"一生"の意味は、往々にして"永遠"である」(本書より)。舞台は、80年代初めの北京。その当時、作者自身が初めて感じたという「愛と暴力性」を、高校生の主人公・秋水に投影している。
『万物生長』の前段となる青春小説である。


6.『百年哈仏教給学生的人生哲学』(ハーバード大が学生に教えた人生哲学)
舒天戈編著 石油工業出版社 2005年5月初版


1636年創立のハーバード大学は「世界の学生が憧れる聖殿」だという。そこでは、毎学期のように各国の総理大臣や学者、芸術家、企業家などをまねいて、さまざまな講座を設けている。卒業生たちの成功は「まさにハーバードの人生哲学教育の成果であり、教育理念の結晶である」と本書。
「目標哲学:人生目標を明確にすれば、神様があなたに力を与えてくれる」「反省哲学:毎日の反省のなかに、人生の本当の意味をさとる」「優勢哲学:自己の優勢化を成功の資本とする」など、精彩をはなった人生講座のエッセンスを、この一冊にまとめている。


7.『不是男人的錯』(男性の誤りじゃない)
陳屹著(米) 中信出版社 2005年6月初版


中国系アメリカ人の女流作家・陳屹が、「中国・西洋の文化の交差点から、男女関係の是非を大胆に解析する」とコピーに。ただし、内容はそれほどカタイものではなくて、女性たちのために、アメリカでのみずからの経験やさまざまな実例を交えて"不可解な男性"を理解してもらおうとする楽しい読み物になっている。
「初恋が忘れられない男たち」「男と女は生まれつき違う。平等はどこから語る?」「妥協すること、従順であることを学ぼう。夫婦間に勝ち負けはないのだから」「ママが話さなければ、パパは知らない」など、男女がともによきパートナーになるためのノウハウを余すところなく語る。
最終章では、国際結婚をした中国人女性たちのカルチャーショックがユニークな筆致で紹介されるが、さいきん日本でもベストセラーになった『ダーリンは外国人』(メディアファクトリー)を彷彿とさせておもしろかった。


8.『正説清朝十二帝:図文本』
閻崇年著 中華書局


9.『達・芬奇密碼』(原題『THE DA VINCI CODE』 ダ・ヴィンチの暗号)
ダン・ブラウン著(米) 朱振武/呉晟/周元暁訳 上海人民出版社


10.『挡不住的趨勢』(遮れないトレンド)
張明正 陳怡蓁著 電子工業出版社 2005年7月第2刷


コンピューターウイルス撃退ソフトで知られるトレンドマイクロ(趨勢科技)の創業者であり、台湾生まれの代表取締役会長・張明正(スティーブ・チャン)氏、夫人で代表取締役社長の陳怡蓁(エバ・チェン)氏が、セキュリティ対策のリーディングカンパニーとして、同社を世界的に発展させた軌跡と企業戦略、みずからの半生を語る。
同社は1999年にアメリカで、2000年に日本でそれぞれ株式公開をはたした、ハイテク関係の先駆的トランスナショナル(多国籍)企業。
本書では「成長は、生存の無二の法則」「3つの堅持(技術の創造、国際経営、ブランド化)」「国境を超えたボーダレス管理」など、その画期的なまでの成功の秘密を明かしている。

 

 
   
     
bj200508_19近年では、最大の勢力となった台風9号「麦莎」(マイシャー)が8月上旬に中国東部を縦断してからも、北京では10日間ほど、雷をともなう激しい雨や濃い霧にみまわれました。まるで日本の「梅雨」のように湿度が高く「北京が亜熱帯化している」と、地元の人たちにまことしやかにささやかれたものです。
「梅雨」が明けると、北京はすっきりと晴れわたりました。残暑は厳しそうですが、もうすっかり秋の空。中秋節(今年は9月18日)にはかかせない月餅のポスターも、目につくようになりました。
北京はいよいよ「北京秋天」といわれる、一年でもっともよい季節を迎えます。 

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

   http://china-media.jugem.jp/
 
     
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