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2005年5月  日本人の素朴な

     疑問と歴史の試験問題を解く  
     
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最近の日中関係は、ますます袋小路に陥っているかのようですが……。
5月の連休を利用して一時帰国したさいに、友人たちのもっぱらの話題が、中国で起きた「反日デモ」のことだった。ときには新聞やテレビなどで連日連夜、執拗なまでに報道されていたというから、まさに現場から帰った私に、真相を確かめようとするのも当然の心理だったのだろう。
「さぞかし大変だったでしょう?」
「大丈夫だった?」

同情と好奇心がないまぜになったような矢継ぎ早の質問に、自分なりの体験や見聞を交えながら、できるだけ客観的に答えたつもりであるが、言葉足らずのところもあったし、返答に窮したこともあった。
そこで北京に戻ったのち、中国の友人に改めて日本人の素朴なギモンを投げかけてみた――。

 

 
     

bj200505_02なぜ、いまこの時期に、マグマが噴火するかのような大規模デモが頻発したのか? しかも駐中国日本大使館や領事館への破壊的行為が起こったのは、1972年の日中国交正常化以来、初めてのこと。デモ発生の根本的な原因とは、なにか?

これについて、外国人の教え子も多く、今回のデモを一貫して注視してきたという、ある中国人大学教師(59)はこう語る。
「もちろん、デモは日本の"入常"(国連安保理常任理事国入り)反対と、『新しい歴史教科書』の検定合格、小泉首相の靖国神社参拝への抗議からはじまりましたが、じつはもっと根本的な理由があります。誤解を恐れずにいえば、それは中国に国力がついたからであり、中国の国際的地位が向上したからだと、個人的には考えています」

それによれば、中国人の反日感情は、なにもいまになって起こり始めたものではない。日本が中国を侵略した当初からあったもので、北京人である大学教師も幼いころに、近所の人たちがこっそり「小日本、小日本」と日本を侮蔑していたことを覚えている。
「1945年8月、戦勝国になったといっても当時の中国は弱かった。旧日本軍の軍人たちも、敗戦を認めてはいませんでした。『天皇が投降するというので、従うまでだ。我々は敗戦したわけではない』と意地をはっていたといいます。
その後、中国が国力をつけるためには、日本やアメリカなどの先進国の協力が必要だった。それで国交を正常化するわけですが、日本の協力が必要なときに"反日"を唱えられるわけがない。毛沢東や周恩来は実務的な政策、つまり"中日友好"政策をとったので、人々はそれに従い、反日的な感情はこっそりと吐きだしていた。いまのように、大きなデモに発展するなど考えられないことだったのです」

bj200505_03そして改革・開放後、ちゃくちゃくと市場経済化をすすめてきた中国はいま、世界第3の貿易大国(2004年)として、また世界の市場として、めざましい経済発展をとげている。
「国力がつき、中国人の自信もついた。一部の人たちは、中国と日本は"平起平座"(対等の資格)になりつつあると思っています。そうしたときに、メンツを何よりも重んじる中国人が、かつて相手にメンツをつぶされたという不愉快な出来事を思い出したとしても、ふしぎではありません。今回のデモは、そういう中国人の強い"自信"の表れが、背後にあったのではないでしょうか?」

WTO(世界貿易機関)に加盟して、北京五輪や上海万博も開かれる。国際的にも中国は存在感を増しているので、ここぞとばかり"古傷の痛み"を訴えだしたということか――。それにしてもなぜ、戦争を直接体験したことのない若者たちが、あれほどまでに激しい感情をむき出しにしたのだろう?

bj200505_04「『五・四運動』(1919年5月4日に北京の学生が決起して、全国展開された反日・愛国運動)の例を挙げるまでもなく、古来、学生というのは政治的な問題に敏感なのです。中国には"三shang"(シャン)ということばがある。つまり、皇上(ホワンシャン)、和尚(フーシャン)、学生(シュエション)の"3つのシャン"は、もっとも気性の激しい人たちで、抑えにくいという意味です。
また、"年青人火熱的心"(若者は火のように情熱的だ)ということばもある。原因は複合的なものだと思いますが、若者たちが日ごろの有りあまったエネルギーを爆発させたのが、あのデモだったのではないでしょうか? じっさいに沿道から増えたなかには、興味本位で参加したノンポリの若者たちも多かった。
しかも、破壊的な行為にいたったのは、一部の人たち。理性的な学生は、過激さを増したムードに疑問を感じて、デモ行進のとちゅうから離れていったといわれています。いずれにしても国際社会の一員である中国人が、人としてどのような正しい行動をとるべきかは、家庭や学校できちんと教えるべきだと思っています……」

とかく中国の人たちは、熱くなりやすいようだ。やれ自転車とぶつかっただの、やれ車体をこすっただのといっては、大声をまくしたててケンカをしている光景は、じっさいにありふれた日常の1コマである。両者がなかなか引き下がらないのもメンツの問題なのだろうが、日本人はそうした中国人の基本的な"ボルテージの高さ"についても、理解しておく必要があろう。
現在、中国では「党と政府は、国家の長期的で根本的な利益をふまえて、対日関係を適切に処理できる。愛国的な情熱は、本来の仕事や勉強に向けるべきだ」(4月21日、公安省報道官の談話)として、非合法なデモへの不参加を要請している。反日のウェブサイトや携帯メールなどへの規制も強めている。その甲斐あってか、5月以降はデモの発生が伝えられていないが、小泉首相の靖国参拝など日本の対応いかんによっては、事態はなお予断を許さないだろう。

bj200505_05それにしても、こうした若者たちの激しい反日感情は、どこから来るのか?日本の友人のなかには「江沢民・前国家主席が、在任中に反日教育を重視したからではないか? そういう教育を受けた若者たちが、反日をリードしているのでは?」というギモンをぶつける人もいた。

これについて、大学教師は首を横にふりながらこう答える。
「江沢民氏の政権時代に、中国の歴史教育――とくに抗日戦争期の歴史教育が一変したとは思えません。歴史教育は一貫して"愛国、愛党"が目的であり、"反日"ではないのです。
"愛国心"とはつまり、国を強くし豊かにしよう、すぐれた国家を建設しようという気持ちです。北京の抗日戦争記念館、南京の大虐殺記念館なども"愛国主義"を教育する場であり、"反日"を宣伝するところではない。江沢民氏はかつて"落後就要挨打"(落後すれば叩かれる)といったことがある。つまり『弱い中国には、叩かれるだけの理由があった、だから力をつけなければならない』というのが中国の教育なのです。
そういう意味でも、学生たちがデモで叫んだ『愛国無罪』ということばは、本末転倒。愛国の名のもとに、破壊的行為に及んでいいわけがない。もちろんいまでは過激なデモに批判があつまり、デモ自体もいちおう沈静化したようですが……」

bj200505_19いずれにしても「反日デモ」は、中国の国力増強に自信をつけた若者たちが、その威勢を世界に示したものだった。しかしデモの中身はというと、きわめて一時的・局地的なものであり、参加者にも「たまたま行進しただけ」「鬱憤をはらしたかった」というノンポリ青年が多かったという。反日のウェブサイトや携帯メールで全国的に広まったものの、とても体系的に組織化されたとはいえないような"子どもじみた"ものだった。とうぜん一部でいわれたような「官製デモ」では、なかったのだ。
幸い4月の中国市場における日系自動車メーカーの販売も、デモの大きな影響はなく「おおむね堅調」(5月16日付、共同)だったといわれる。この上は、日本と中国の良好な経済発展や交流促進のためにも、日中関係をふたたび正常な軌道に乗せる、双方の歩み寄りが求められているのではないか――。
(と、偉そうなことをいっていますが、中国で働く者のひとりとしても、そうした切なる願いを抱いています)

さて――。
9月に入学式を迎える中国の6月といえば、入試の季節だ。
今年の大学センター入試にあたる「全国統一高考」は6月7、8日の両日、また高校入試の「中考」は、各地で試験日が異なるものの、多くは6月中~下旬である(北京は6月24~26日)。
大学の文科(文科系)を志望する場合は、国語、数学、外国語(英語、日本語など6カ国語から選択)の必須科目に、「文科総合」(政治・歴史・地理)を選択しなければならない。また、各地によって異なるが「中考」でも普通高校の文科系志望の場合はほぼ同様で、歴史を含む「文科総合」を選択しなければならない。
歴史認識の問題で日中間がギクシャクするなか、中国ではいったい、どのような歴史の試験問題が出題されているのだろう。ためしに、いくつかの問題集をひもといてみると――。


①【予測問題】"九一八"事変と、"七七"事変の一致点は? 次のなかから選べ。

A.いずれも中国の東北地方で発生した。
B.日本の侵略者が、口実をつくって引き起こした。
C.中国軍が抵抗しなかった。
D.いずれも蒋介石政府が売国協定を結んで、終わりを告げた。
(『教材完全解読』高一歴史〈下〉、中国青年出版社、2004年12月河北第4刷)

いわずとしれた"九一八"は満州事変の発端となった謀略事件、1931年9月18日の「柳条湖事件」のこと、また"七七"は日中戦争の発端となった1937年7月7日の「盧溝橋事件」のことだ。答えは(B)となっている。

②【予測問題】日本の侵略者が行った、奴隷化教育の根本的な目的は? 次のなかから選べ。
A.ファシズムを宣伝する。
B.売国奴を養成し、訓練する。
C.世論をだまし、民族矛盾を緩和する。
D.民族の同化政策を実現する。
(同、『教材完全解読』高一歴史〈下〉)

答えは(D)。「中国人民の民族意識を消耗させた」と解説にある。

③(2001年、全国)1870~80年代に、わが国台湾を侵略した国は? 次のなかから選べ。
A.日本とフランス。
B.日本とアメリカ。
C.イギリスとアメリカ、フランス。
D.日本とイギリス、フランス。
(『十年全国高考試題』〈1995~2004〉分類集粋・歴史、天津教育出版社)

答えは(A)。1874年、清国台湾に日本が出兵した事件(台湾出兵)が起こっている。そして、以下のような政治的に敏感な問題もある。

④(2003・山東)近年来"教科書事件"など、日本の右翼勢力が侵略戦争の犯罪行為をくつがえそうとしている。日本の小泉純一郎首相は、戦犯を祀った靖国神社を数回にわたって参拝し、中国人民やアジアの人民からの強い抗議を受けている。以下の問いに答えよ。
(1)(略)
(2)(旧)日本軍の中国侵略戦争の犯罪行為を例として、日本の右翼勢力および小泉首相の行為に対して反論せよ。
(『中考全解王』歴史、新疆青少年出版社、2004年5月初版)

正解となるポイントは、「抗日戦争中の南京大虐殺など(旧)日本軍中国侵略の犯罪行為を例として、日本軍国主義の侵略戦争の史実を否定し、かつ侵略の歴史を美化しようとする企てに反論すること」。
解説では、小泉首相の靖国参拝や「新しい歴史教科書」に対して、こう述べている。
「歴史上の侵略行為を度外視するものだ。歴史を歪曲することは偶然ではなく、戦争当時のように、日本にはそうした(歴史を歪曲する)土壌がある。かつて日本に侵略されたことのある中国の青年は、覚醒して歴史を銘記し、政治に関心をもち、歴史を鑑としなければならない」

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史実の検証は、今後の進展が期待される日中韓3国の専門家による「歴史共同研究」にゆだねるとしても、これを読んで驚くことは、日本の歴史教育との極端なへだたりである。
中国の子どもたちは、黄帝、堯、舜、禹などの古代伝説上の帝王からはじまる4000~5000年の歴史を学ばなければならない。悠久の歴史をほこるだけに、それは子どもたちにとって、もっとも「煩わしい」科目の一つとなっている。それでも、近現代史の教育をピンポイントで行っているのが中国だ。日本のマスコミに「政治的な歴史教育」と指摘される面もあるが、近現代史教育を重視している点が、入試対策や時間切れのためにカットされがちな日本のそれとの大きな違いだ。少なくとも国際社会の一員としては、自国の範疇だけでなく、他国の歴史教育や史観についても理解しておく必要があるのではないか?
しかも、連綿といまにつづく60年あまり前の生々しい記憶である。グローバル化社会においては、そうした理解がますます必要になるだろう。「昔のことなので、戦後世代なので、教わらなかったので、知らない」では、近現代史を重視するアジアの国々からそっぽを向かれるに決まっている。

ちなみに、中国の中学・高校の歴史教科書(新版)が一般書店に出まわるのは、新年度の9月前後。いまは年度末にあたるので、書店に行っても売り切れになっていることが多い。
中国の歴史教科書を、日本語で読みたいという方は、明石書店から『入門中国の歴史』(中国中学校歴史教科書、人民教育出版社)、『中国の歴史』(中国高等学校歴史教科書、同)がそれぞれ翻訳出版されているので、ご参考にしてください。

 
   
     
     
bestsellere  

北京国林風図書センター
(北京市海淀区海淀西大街36号 海淀図書城昊海楼B1)
2005年5月16日~5月23日

     
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1.『相知紐約』(ニューヨークとつきあう)
張宏喜著 世界知識出版社 2005年1月初版


中国の駐ニューヨーク総領事(大使に相当)として1999~2003年まで赴任、アメリカの同時多発テロ「9.11」の目撃者でもある著者が、当時の記録などをもとに、在任中の外交活動や暮らしについてふりかえる。
「中国ではほとんど忘れられているが"六・四"(天安門事件)は、なお国外で話題になる」「不法(中国人)滞在者問題に直面して」「アメリカのイラク戦争をニューヨークで見る」など、外交官としての立場ながら、敏感な政治や外交、社会問題について率直に語っている。著者は現在、中国人民政治協商会議全国委員会委員(全国政協委員)。世界知識出版社の編集長も兼任している。


2.『菊与刀』(菊と刀)
ルース・ベネディクト著(米)/呂万和など訳 商務印書館 2003年11月北京第10刷


3.『培養靭性』(原題『The Power of Resilience』)
ロバート・ブルックス サム・ゴールドスティーン著(米)/彭一勃など訳 機械工業出版社 2005年4月初版


中国語のタイトルは「強靭性(粘り強さ)を養う」、サブタイトルは「人生のプレッシャーに、落ち着いて対応する」だ。
「人の思いを善意にとらえる」「自他ともに受け入れる」「関係をはぐくみ、同情をよせる」など、粘り強さと積極性によって人生のプレッシャーをはねのけていくことの大切さを、豊富な事例を交えてアドバイスする。
これとは別に、日本では同じ2人の著者による『アメリカに学ぶいじめ・逆境に強い子を育てる10の心得』(学研)が翻訳出版されている。


4.『達・芬奇密碼』(原題『THE DA VINCI CODE』)
ダン・ブラウン著(米)/朱振武 呉晟 周元暁訳 上海人民出版社


5.『非常道:1840~1999的中国話語』
余世存編 社会科学文献出版社 2005年5月初版


清代末期から現代までの約160年間を、歴史的人物の特徴的なエピソードとそのことばであぶりだす。
史景、政事、文林、武運、革命……などの32章にわかれているが、たとえば「政事」の章では、1945年の日本敗戦の際に、蒋介石が当時の中国政府を代表して「徳をもって恨みに報いる」というラジオ放送を行ったこと。また、「性情」(性質)の章では、女流作家の張愛玲(1920~95)が、王兆銘内閣の高官で、評論家の胡蘭成に「理解したので、哀れいつくしみます」というラブレターを送ったこと(2人はのちの一時期、内縁関係になる)など、興味深いエピソードが満載。
歴史の断片を"血のかよった生身の人間の足跡"として、より身近にとらえることができそうだ。


6.『細節決定成敗』(ディテールが成敗を決める)
汪中求著 新華出版社 2005年3月北京第20刷


7.『関于上班這件事』(出勤することについて)
朱徳庸著(台湾) 中信出版社 2005年4月初版


その作品がことごとくベストセラーになり、人気のテレビドラマ(『双響炮』)にもなった台湾の売れっ子漫画家・朱徳庸の最新作。繊細なタッチ、独特なキャラクターの4コマ漫画は、なおも快進撃をつづけている。仕事や家庭に翻弄されるサラリーマンの切なさがコミカルに描かれていて、思わずクスリとさせられる。


8.『従優秀到卓越』(優秀から卓越へ、原題『GOOD TO GREAT』)
ジェームズ.C.コリンズ著 兪利軍訳 中信出版社 2004年9月第14刷


コリンズの研究チームは、優良企業1400社あまりの過去数十年にわたる分析を行い、業績を伸ばしつづける一流企業を選びだした。それは、ジレットやフィリップ・モリスなど11社。「優良企業から一流企業に、どうしたらなれるのか?」。彼らが導き出した答えは、「仕事をまじめに貫徹する」という最も基本的な経営哲学にあった……。難しい内容だが、グラフや表を駆使してわかりやすく説明している。企業がさらなる繁栄をめざすための必読の書!


9.『偉大的博弈:華爾街金融帝国的崛起』(原題『The Great Game』)
ジョン・スティル・ゴードン著/祁斌訳 中信出版社 2005年4月第4刷


ニューヨーク市の南端マンハッタン地区にあるウォール街は、アメリカのみならず世界の金融・資本市場の中心である。本書は、そんなウォール街の歴史書であり、アメリカ金融史と経済史のバイブルでもある。
写真や挿絵を交えてはいるが、中国語で370ページにおよぶ大著。1653年、オランダ人が植民したことによる街の誕生から、1929年の世界的大恐慌を経て、第2次大戦後に世界最大の金融市場となるまで、ウォール街の350年をこの一冊にまとめている。
「アメリカ経済の成功は、資本市場と実体経済が協同発展したという、すぐれた例証である」と本書。訳者の祁斌氏は「資本市場のゲームは、大国のゲームと盛衰に波及した」と冷静に分析している。


10.『傾城傾国』(絶世の美女)
凌力著 長江文芸出版社 2005年2月初版


女流作家・凌力の歴史長編小説。明代末期の動揺する社会を舞台に、西洋火砲の研究と利用に功績のあった英雄・孫元化の出世と栄華から、部下の反乱で朝廷に処刑されるまでの数奇な運命を描く。史実をヒントに、複雑な宮廷社会やリアルなまでの戦場風景、英雄の愛と死をいきいきと描き、「多年にわたる作家渾身の作」として高く評価されている。

 

 
   
     

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ことし1月4日にお亡くなりになった陳真さん(中国国際放送局の元アナウンサー)の半生を描いた力作『陳真 戦争と平和の旅路』(野田正彰・著、岩波書店)を読んでいて、あっと声をあげそうになった。著名な言語学者・陳文彬氏の二女として、日本に生まれた陳真さんは「中国人」というだけで、小学校の同級生や担任教師のいじめにあう。
のちに彼女は「(日本軍閥が)中国人は悪い人間である、と誤った概念を植えつけた…」(要旨)と自伝的小説に書いているそうだが、ハナからこうと決めつけて疑うことをしない日本人の"島国根性"は、それから60年以上経ったいまでも「ちっとも変わっていないじゃないの!」と思ったからだ。

「反日デモ」の映像や写真を見て、それが「中国のすべてだ」「中国人は怖い」などと思わないほうがいいだろう。映し出されたものは事実だけれど、映し出されないものも事実。報道の裏側についても、想像されてみてはいかがだろうか? デモ報道の洪水で、中国人を怖がる日本人を見ていると"中国人蔑視"をしていた戦争当時にもどるかのようで、そちらのほうが怖いのである。
陳真さんの少女期のエピソードで救われるのは、担任教師の彼女への暴力に対して「日本人として恥ずかしい」と謝ったという前の担任、「いつも仲よく遊んでくれた」1つ年上の俊ちゃん(詩人の谷川俊太郎氏)の存在だ。体制に寄ることのない、そうした心の交流があったからこそ「日本人の全部が悪くない」と彼女は思ったようである。
陳真さんのご冥福をお祈りするとともに、彼女の本がいま語りかけることに思いを馳せたい……。

 

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

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