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日本ビジネス中国語学会
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東京便り―中国図書情報 第20回 .

 

北京大学版『中国の文明』全8巻の刊行スタート!
 ―中国関係図書・出版ニュース
     
『中国の文明』第3巻:文明の確立と変容〈上〉  

古代から近代までの数千年もの中国文明の歴史をたどる北京大学版『中国の文明』全8巻の刊行を、潮出版社が創業55周年記念出版として開始した――。

今回の「東京便り」は、本格的な通史として注目される『中国の文明』全8巻の刊行がスタートしたというニュースをはじめ、8月15日から日本語吹き替え版が日本でネット配信される、人気ウェブ漫画を原作とした中国国産アニメ「雛蜂-BEE-」の話題、そして中国でもブームを呼んでいる世界的ベストセラーの塗り絵ブック『ひみつの花園』についてなど、注目の中国関係図書・出版ニュースをお届けする。

     
     
     


 潮出版社・南晋三代表取締役社長
潮出版社・南晋三代表取締役社長

 

■ 北京大学版『中国の文明』全8巻の刊行スタート! 出版記念会盛大に

古代から近代までの数千年もの中国文明の歴史をたどる北京大学版『中国の文明』全8巻の刊行を、潮出版社が創業55周年記念出版として開始した。
北京大学の第一線の研究者らが、膨大な文献や考古資料を駆使して2006年に刊行した『中華文明史』(全4巻)の日本語版。イギリスのケンブリッジ大学刊行の英語版に続く外国語版として注目されており、今年7月末の第1回配本をはじめとして今後14カ月をかけて隔月で各巻が刊行される予定だという。

この『中国の文明』の刊行を祝う潮出版社主催の出版記念会が7月30日夜、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで、政財界、文化・教育界、日中関係団体など、幅広い顔ぶれの400人余りが出席して開催された。
来賓として、東京都の舛添要一知事、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏、公明党の山口那津男代表、中国側から北京大学の劉玉才・中文系教授(原著執筆者の1人)らが出席した。

主催者を代表して、潮出版社の南晋三代表取締役社長があいさつし、刊行を決定した2011年7月以降、尖閣諸島をめぐる対立で「日中関係は最悪の状態に陥った」ものの、「私の決意はいささかも揺らぐことはなかった」と表明。
その上で、「歴史の長い眼で見れば、現在の政治的摩擦はほんの一瞬のことに過ぎない。こういう時期だからこそ、文化交流、民間交流がより大切ではないかと思い、粛々と編集作業を進めて、今月の第1回配本にこぎつけることができた」と刊行の意義と決意を明らかにした。
刊行前から営業面での反応もよく、大学や図書館、学術機関、研究者などにパンフレットを紹介すると「こういう本格的な(中国)通史を望んでいた」という喜びの声が多く寄せられたといい、全8巻からなる大型シリーズの完成とその普及に期待を寄せた。

 

     
早稲田大学文学学術院・稲畑耕一郎教授
早稲田大学文学学術院・稲畑耕一郎教授
 

日本語版の監修・監訳にあたった早稲田大学文学学術院の稲畑耕一郎教授はあいさつで、世界の約5分の1を占める人口と、EU28カ国のおよそ2倍にあたる広大な国土を持つ中国の存在について触れた上で、「日中関係はいろいろな問題があるが、やはり日本は中国のことを理解せずに21世紀を生きていくことはできない、というのが私の根本的な考え。何よりも現在の中国の研究者たちが、今にいたる自らの文明の発展過程をどのように捉えているかを知ることも、中国理解には大変重要だ」と強調。
さらに北京大学の文学・史学・哲学・考古学の友人たちが総力を上げて編纂した大冊の日本語版(刊行)という一大事業に取りかかり、門下8人の新鋭の学者たちによる翻訳を、責任をもって監修・監訳していると述べた上で「『中国の文明』が中国理解の一助になれば、私どもの苦労は報われる。これが一つの礎となって、より深い、中身のある(両国の)交流に発展することを願っている」と期待を示した。

 本シリーズの特徴は、従来の中国文明に関する本の多くが「黄河文明」など古代を対象としたものであったのに対し、広く近代までを視野に入れた本格的な文明史となっていること。

第1回配本は、秦・漢の時代から魏晋南北朝時代までをたどった第3巻「文明の確立と変容〈上〉」(本体5000円+税)。柿沼陽平・訳。

登壇した翻訳諸氏


左から、中国語原書、日本語版、英語版
   

■ 北京大学版『中国の文明』(全8巻)
幾千年もの時の流れの中で育まれ、人類の進歩に大きく貢献してきた中国文明の壮大な軌跡を、膨大な文献と発掘資料を駆使して中国最高峰の研究者陣が説き明かす!

日本語版監修・監訳: 稲畑耕一郎(早稲田大学文学学術院教授)
原著主編: 袁行霈、厳文明、張伝璽、楼宇烈

第1巻:古代文明の誕生と展開〈上〉
《先史・夏殷周―春秋戦国》
[翻訳] 角道亮介(駒澤大学文学部歴史学科専任講師)

第2巻:古代文明の誕生と展開〈下〉
《先史・夏殷周―春秋戦国》
[翻訳] 野原将揮(日本学術振興会特別研究員PD〔東京大学〕、ミシガン大学客員研究員)

第3巻:文明の確立と変容〈上〉
《秦漢―魏晋南北朝》
[翻訳] 柿沼陽平(帝京大学文学部史学科専任講師)

第4巻:文明の確立と変容〈下〉
《秦漢―魏晋南北朝》
[翻訳] 土谷彰男(早稲田大学法学学術院准教授)

第5巻:世界帝国としての文明〈上〉
《隋唐―宋元明》
[翻訳] 紺野達也(神戸市外国語大学外国語学部准教授)

第6巻:世界帝国としての文明〈下〉
《隋唐―宋元明》
[翻訳] 原田 信(近畿大学経営学部特任講師)

第7巻:文明の継承と再生〈上〉
《明清―近代》
[翻訳] 松浦智子(名城大学理工学部助教)

第8巻:文明の継承と再生〈下〉
《明清―近代》
[翻訳] 岩田和子(明海大学外国語学部専任講師)

     
     

 

■ 中国国産アニメ「雛蜂-BEE-」、8/15から日本でネット配信へ

中国の人気ウェブ漫画「雛蜂」(ヒナバチ)のアニメ版となる「雛蜂-BEE-」が、7月23日から中国国内でネット配信がスタートしたのに続き、8月15日から日本語吹き替え版が日本でネット配信される。
中国メディアは「国産アニメを日本に輸出するという逆襲は、中国では今作が初めて」(法政晩報)などとアピールしている。

原作は、中国の漫画家、白猫(孫恒)さんのSF美少女アクション漫画。
中国の漫画サイト「有妖気」(U17.com)で2009年に第1話が公開されてから、これまでに累計7億3000万アクセスを数えるヒット作となっている(単行本は2012年、吉林美術出版社より『雛蜂』1~2巻が刊行された)。

 この「雛蜂」を原作としたアニメ版のストーリーは、新たな軍備競争が始まった西暦2017年の未来都市が舞台。
新型兵器の「尖兵」であるヒロイン・瑠璃(るり)が、退役まであと380日を残すばかりとなった際に、人質救出の最終任務を命じられる。だが、事件の黒幕が元尖兵の周忠戎であったことに気づき、尖兵としての誇りをかけて周忠戎との熾烈な戦いを繰り広げる……。

動画サイトにアップロードされた第1話「天使降臨」中国語版(※)を見てみると、日本人には見慣れた日本アニメの影響が随所に認められるものの、愛らしいキャラクターと迫力あるアクションシーン、スリルとスピード感あふれるストーリー構成は魅力。今後の展開が楽しみな作品となっている。
※第1話「天使降臨」: https://www.youtube.com/watch?v=pydDE-4rEt8 

日本語吹き替え版では、ヒロインの瑠璃役を声優の花澤香菜さんが務めた。そのほか主な声の出演は、折笠富美子さん、立花慎之介さん。

すでに第1話を見た中国のネットユーザーからは、「これまでで最高の国産アニメだ」「支持する!」「国産アニメもついにこのレベルに。期待したい」といった称賛の声がある一方で、「日本アニメによく似ている」「国産アニメはいつになったら日本アニメの画風を超えられるのか」「中国の声優はまだまだ。やっぱり(声優のレベルが高い)日本語吹き替え版を見てみたい」などの厳しい意見も。
さらに期待された第1話が15分弱の作品で「短すぎて、あっけない」という率直な感想や、中国語版の次回公開が約1カ月後の8月20日となることで「待ちきれないよ。早く更新して!」「制作チームはもっとプロ意識を持って、努力してほしい」といった切実な願いもあった。

 またネット上の掲示板には、日本に進出する「雛蜂」に対する「日本のネットユーザーの評価」などというスレッドもあり、“アニメ先進国”として知られる日本での評価を「逆襲」の前から意識していることがうかがえる。

「雛蜂-BEE-」公式サイト(日本語/英語)   
「有妖気」(U17.com)公式サイト  
「有妖気」(U17.com)動画サイト(YouTube)
「雛蜂-BEE-」第1話「天使降臨」(中国語版、YouTube)

     
     

秘密花園

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■ 世界的ベストセラーの塗り絵ブック『ひみつの花園』、中国でもブームに

イギリス・スコットランドのイラストレーター、ジョハンナ・バスフォードさんの著作で、世界的ベストセラーになっている塗り絵ブック『ひみつの花園』(Secret Garden)が中国でもブームを呼んでいる。
中国語題は、そのまま『秘密花園』。北京聯合出版公司から2015年6月、正式に翻訳出版された。
以来、中国のアマゾンや「当当網」といった大手オンライン書店で品切れが続出。中国アマゾンでは8月3日時点で、「書籍売れ筋ランキング」の堂々の第1位を維持していた。

本書は、細密に描かれたモノクロームの花園に、好きなように色を塗っていくことで、オリジナルの美しい花園が生まれるという大人も子どもも楽しめる塗り絵ブック。
さまざまな花や葉、昆虫などが丁寧に書き込まれた、テキスタイルのような美しい花園の細密画96枚からなっており、引き込まれる。

「モノクロの花園を自分なりの色でよみがえらせる」というストーリー性や、「塗り出したらやめられない」後を引く魅力、さらに「ストレス解消効果がある」とされることなどが受けて、2013年にイギリスで出版されてからすでに22カ国語で翻訳出版され、販売部数は合わせて140万部余りになるという(日本では『ひみつの花園』として、グラフィック社から2013年6月に翻訳出版されている)。

この『ひみつの花園』、中国では「減圧神器(ストレス解消の神器)」「幸福感が増す」などといわれて注目が高まっている。人気モバイルSNSの「微博」(中国版Twitter)、「微信」(中国版LINE)上でも、ファンの間でこの塗り絵作品を公表しあうことが流行っていて、人気に拍車をかけている。
中国でこの本が売り上げを伸ばしているのは、急速な経済発展にともなって、都市生活でストレスやプレッシャーを感じる人が増えていることの表れ、と見られている。

なかにはあまりにも没頭しすぎて、数時間も色鉛筆で塗り続けていたため、腱鞘炎や頭痛、ドライアイの症状を訴える人も少なくないという。
中国の医師らは、「塗り絵ファンは必ず休憩をはさんで塗り絵をして。またストレス解消のためには音楽を聞いたり、スポーツをしたり、おいしいものを食べたりすることも効果的。塗り絵にあまりまじめに取り組みすぎないで」と呼びかけている(「長沙晩報」「瀋陽晩報」)。

ストレス解消の神器であるはずのものが、かえってストレスを生んでいたら元も子もない。塗り絵の花園で“迷子”にならないことが必要のようだ。

中国ではジョハンナさんの『ひみつの花園』の第2弾となる『ねむれる森』(Enchanted Forest、中国語題『魔法森林』)が7月末に翻訳出版されたのに続き、第3弾の『Lost Ocean』(中国語題『迷失海洋』、日本未発売)も10月末にお目見えする予定だという。

     
     
 

 

小林さゆり
東京在住のライター、翻訳者。北京に約13年間滞在し、2013年に帰国。
著書に『物語北京』(中国・五洲伝播出版社)、訳書に『これが日本人だ!』(バジリコ)、 『在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由』(CCCメディアハウス)などがある。

Blog: http://pekin-media.jugem.jp/

     

 

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