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2002年05月  
   
   

村上春樹ブーム再燃

 翻訳物が毎週必ず、数冊はベストテン入りする上海。米国でベストセラーになったものは最近、それほど時差なく翻訳されるが、日本の作品も比較的新しいものが翻訳されるようになっている。

 なかでも、ミステリーが増えている。上海訳文出版社は3月、乃南アサの直木賞受賞作『凍僵的獠牙(凍れる牙)』を出版。著者本人のサイン即売会には長蛇の列ができた。珠海出版社も今年に入って、日本ミステリー小説シリーズを発刊。西村京太郎、山村美紗、赤川次郎、清水一行などの短編をまとめた作品集12冊のほか、江戸川乱歩作品集として19冊シリーズを出している。

 

 

 

   

 本の判型にも日本の影響が。中国の書籍は四六版と菊版の間くらいの大きさが主流だが、日本の文庫本スタイルの書籍も登場している。山東文藝出版社が出している日本最新推理小説受賞シリーズがそれで、推理作家協会賞受賞の桐野夏生の『越界(OUT)』や江戸川乱歩賞を受賞した池井戸潤の『無底深淵(果つる底なき)』など。

  しかし、日本の現代作家で一番売れているのはミステリー作家ではなく、村上春樹だ。90年代半ばに漓江出版社などから数冊が出版され、特に『挪威的森林(ノルウェーの森)』は十数版を重ねるロングセラーになっている。日本語学科の教師が『ノルウェーの森』を学生への推薦図書にする大学もあるほどで、村上春樹は若い世代に最も知られている日本人作家の一人。

 『ノルウェーの森』を読んだことがあるか。上海の若い男女10人に聞いてみたところ、6人が読んでいた。うち、日本語を勉強したことがあるのは2人。読んだ理由は、「売れている本だから」「友達が面白いと言っていたから」。

 「性的描写が露骨で大胆。19歳の主人公があんなふうにたくさんの女の子とセックスするなんて中国人としては考えられない」と批判的ながらも、面白かったと言ったのは広告会社勤務の27歳女性。

 「面白かったと言うよりも考えさせられた。主人公の人生に対する無力感や自分の運命を把握できない無力感が悲しくしみじみ伝わってきた」(25歳女性 金融) 

 「『僕』が恋人を一人この世に残して、自殺を選んだのはあまりにも無責任だと思うけれど、『僕』がずっと恋人を愛していたところに感動した」(17歳 男子高校生)

 日本の若者の恋愛や、厭世観といった気分を描写していることが、彼らを強く引き付けているようだ。そのへんは、日本の連続ドラマの海賊版ビデオCDが売れている理由と重なっている。

 こういった状況を受けて、上海訳文出版社は昨年、村上春樹作品集(17巻)を出版すると発表。漓江出版社から出ていた『ノルウェーの森』『羊をめぐる冒険』『ダンス・ダンス・ダンス』などのほか、新たに『1973年のピンボール』『風の歌を聴け』『スプートニクの恋人』『国境の南、太陽の西』などを加えた。昨年から順次刊行されており、今年中にすべててが出版される予定だ。同社の作品集刊行は村上春樹ブームを再燃させているようで、村上春樹の解説本『遇見100%的村上春樹』(稲草人編著、当代世界出版社)なども出版されている。

 

 

 
 
 須藤みか/上海在住フリーランスライター
日刊ゲンダイでの連載をまとめた
『上海発!新・中国的流儀70』
(講談社+α文庫)発売中!
ウェブでは、以下に連載中。
http://blog.5012.jp/nikkeiwoman/essay3/
http://blog.excite.co.jp/g-shanghai/
   
   
  『新聞晨報』4月20日付け=上海書城、季風書園調べ
     
   

1位 『蛇為什吗会飛』(蛇がなぜ飛べるのか)
蘇童著 雲南人民出版社


蘇童は蘇州市生まれで、今年39歳。しばらく長編小説を発表していなかった作者の待望の新作で、これまで歴史を題材に書いてきた作者の初めての現代小説でもある。


2位 『向左走 向右走』(私は左 僕は右)
幾米著(台湾) 北京三聯書店


幾米(ジミー)は、台北在住の絵本作家。ちょっとせつない、心にしみるラブストーリーで、日本でも『君のいる場所』(小学館)として翻訳出版されている。


3位 『上海的女兒』(上海の娘)
周釆芹著(米国) 何毅華訳


有名な京劇俳優、周信芳(芸名・麒麟童)の娘で、米国の女優、周釆芹(Tsai Chin)の自伝。米国、英国で『Daughter of Shanghai』として15年前に出版、今回大陸で初めて翻訳された。周釆芹は、93年の米国映画「ジョイ・ラック・クラブ」などに出演している。


4位 『2002FIFA世界杯足球賽観戦指南』
講談社編(日本) 陳越ほか訳 上海文藝出版社


講談社が出版した『2002FIFA ワールドカップ公式ガイドブック』の翻訳本。公式出場32カ国選手576人とチーム完全写真&データや2002優勝候補戦力徹底比較分析、ポジション別注目選手44人全解剖などのデータが満載だ。38元とやや高額にもかかわらず、「中国チーム初のワールドカップ参加」に沸く上海っ子の間で売れている。


5位 『蛋白質女孩』(プロテイン・ガール)
王文華著(台湾) 上海人民出版社


台湾の若手男性作家、王文華の作品。台北の若い男女の恋愛模様をスタイリッシュに描いた作品で、瑞々しい言語感覚も人気のひとつ。ビビッドなオレンジ色の装丁はしゃれているうえに、目を引く。本文のレイアウトもゆったりめで、一頁の文字数も少ない。装丁も本の売り上げを左右するようになってきている


6位 『我的心中毎天開出一朶花』(私の心には毎日花が咲く)
幾米著(台湾) 遼寧教育出版社


2位の『向左走 向右走』と同じ、台北在住の絵本作家、幾米の短編集。若い女性たちの間で人気の作品。初版は今年2月で、4月に2刷りとなった。


7位 『誰動了我的奶酪』(チーズはどこへ消えた)
スペンサー・ジョンソン著(米国) 呉立俊訳 中信出版社

日本でも『チーズはどこへ消えた』として出版された、大ベストセラー。2001年9月に発刊して以来、版を重ねている。週によっては11位以下にも落ちることもあるが、今だベストテンの常連。現在、第18刷。


8位『我能動誰的奶酪?』(チーズを消すことができるか)
陳彤著 中国青年出版社


大ベストセラー『チーズはどこへ消えた』への反論本。2002年2月に発刊。作者は『中国青年報』に籍を置きながら、小説やエッセイなどの著作もある女性作家。


9位 『一分鐘的你自己』(1分間意思決定)
スペンサー・ジョンソン著(米国) 王岩訳 延辺人民出版社


『チーズはどこへ消えた』で一躍有名になったスペンサー・ジョンソンの1分間シリーズの中の1冊。日本でも『1分間マネージャー』『1分間ママ』などが翻訳出版されている。


10位 『游遍中国2002年新版』(中国の歩き方 2002年新版)
天域北斗図書信息諮詢有限公司編 山東省地図出版社


いわば、「中国版歩き方」。2000年12月に発刊以来、順調に版を重ねて現在、新版が第9刷。主要都市の時刻表や各民族の主要な伝統行事なども掲載されている。

少女漫画タッチのイラストが随所にちりばめられている。4月の初版だが、同月中に第2刷。

 

 
     

   

 

   
   
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