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2008年2月  ホラーはNO、アニメに制限──2月の新動向

     
     

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この2月は中国で、出版・放送・図書にかかわる新たな政策がつぎつぎと打ち出された。中国新聞出版総署はホラー・オカルトもののDVDを発禁にし、中国国家ラジオ映画テレビ総局(広電総局)は外国アニメの放送時間にさらなる制限を加えた。その一方で、デジタル図書館プロジェクトを進める中国国家図書館は、読者カードの無料化など利用者にやさしいサービスを広げている。
出版・放送・図書に関する中国の新たな動きを追ってみた。

■ホラーDVDを発禁へ

中国新聞出版総署はこのほど、「未成年者の心身の健康を守るために」とする通達――「"恐怖霊異類"(ホラー・オカルトもの)音楽映像製品取り締まりに関する通知」(2月2日付)を出した。
北京の地元紙によると、通達のいう「ホラー・オカルトもの」音楽映像製品とは、「亡霊や悪霊、妖怪など人にあらざる異物をモデルとし、奇異な超常的幻想、奇怪な悪夢、精神錯乱をフィクションの手段にし、ショッキングで恐ろしく、突飛で超常的なストーリーをテーマとして、恐怖感を刺激する効果をねらった音楽映像製品」。
通達では、2008年度の出版テーマ採用計画に「ホラー・オカルトもの」の内容が含まれる場合は、「即刻製作を停止し、テーマ採用を取り消し、関連内容を削除する」と規定。その上で、「各省級新聞局は2008年2月29日までに検査情況と処理提案を書面により総署に送付」し、もし出版単位が「ホラー・オカルトもの」の製品を出版した場合には、法にのっとって処罰する」と明記している。

昨年は、日本の人気コミック『デスノート』や同名映画の海賊版が中国各地に出回り、影響を受けた子どもの間で、気に入らない人を呪ったり、呪いの言葉をノートに記したりする"デスノート"ゲームがはやった。これに対し、中国当局は同書を"有害図書"に指定して、取り締まりを強化した(「北京便り」07年6月号で既報)。

今回の措置は、子どもたちの心身の健康を守るため、『デスノート』などのホラー・オカルトものの「社会的影響を抑制・排除」し、「恐怖、暴力、残酷などの内容を含む出版物の正規ルートでの市場流入を防止する」(同通知)ことが目的。昨年の取り締まりをさらに強化したものだと見られている。
「妖怪が出てくるじゃないか?」と、一部で疑問視された中国の古典『西遊記』『封神演義』『聊斎志異』などは文学性、芸術性、思想性が高いので、取り締まりの対象外。また、世界的ベストセラーの『ハリ・ポッター』シリーズや、ヒット中の正月映画『長江七号』などは、ファンタジーやSFに力点が置かれており、「子どもたちの想像力と創造力をのばす」作品なので問題がないという。
新聞出版総署は3月下旬に、取り締まりの結果を明らかにすると述べている。

 
     

■外国アニメ放送により厳しく

広電総局は2月19日、公式ウェブサイトを通じて、全国のテレビ局に対し、外国アニメの放送を禁止していた従来の時間帯(午後5~8時)を、同9時までの1時間延長にするという通達を出した。
国産アニメの振興をはかる措置とみられ、5月1日からスタートする。中国中央テレビ(CCTV)などの地元メディアが伝えた。

同通達「広電総局のテレビアニメ放送管理の強化に関する通知」によると、2007年の国産アニメ振興プロジェクトの推進によって、「国産アニメの生産数が増加し、創作の品質も高まり、産業規模も拡大した」。 同年、全国で制作された国産アニメは計186本、10万1900分で、前年比23%増となった。
こうした機運が高まり「アニメ放送の管理・コントロールを強化し、国産アニメ産業によりよい市場環境を作るため」、CCTVをはじめ全国各省・自治区・直轄市のテレビ局などに対して、同通達が出された。

通達は、全10項にのぼるが、ポイントの1つとなるのが、第2項の外国アニメの放送禁止時間帯の延長。
「2008年5月1日から、全国テレビ局の全チャンネルの外国アニメや外国アニメに関する番組、紹介番組の放送禁止時間帯は、従来の17~20時から、17~21時に延長する。合作アニメの同時間帯の放送は、広電総局の許可を得ること」
また第7項では、各テレビ放送機関に対し、「知的財産権の保護意識を高め(中略)、海賊版の国内外アニメの放送を厳禁する」としている。

広電総局は、2000年から外国アニメの発行許可制度をもうけ、事前審査による許可を得なければ、国内でのテレビ放送ができないとした。その後も徐々に規制を強め、2006年9月1日からは、午後5~8時のゴールデンタイムにおける外国アニメの放送を禁止。放送の割合についても、国産と外国産の比率をそれまでの「6:4」から「7:3」にして、外国アニメ放送を少なくするよう義務付けた(「北京便り」06年8月号で既報)。

今回の通達は、これまで以上に外国アニメの放送を制限し、国産アニメをバックアップしたい当局の意向を示したものだ。さらに、人気が高まる一方の日本アニメの影響力を懸念して、青少年の「愛国心の向上」をはかる政策の一環だと見られている。
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■より開かれた国家図書館に

出版・放送にかかわる規制が強化される一方で、利用者の便宜をはかろうと、よりいっそう開放された施設もある。北京市西部にある「中国国家図書館」は、この春節(旧正月、今年は2月7日)から「読者カード」の手続き費や自習室利用費などをカット。利用者は無料で作成できる読者カードさえあれば、自由に入館できるようになった。
「幅広い利用者に良質のサービスを提供する」(同館)ことを目標としており、今年夏に開館予定の「新館」を見越したサービスの一環でもあるようだ。
地元紙によると、今回より無料化されたのは
 ①読者カードの手続き・作成費
 ②読者カードの年度検証費
 ③荷物預け料金
 ④自習室利用費
 ⑤各種講座チケット料
など。さらに文献コピー費・検索費・発送費、CD記録費などの経費も、最大で5割以上安く抑えられたという

 国家図書館・新館
国家図書館は、02年から当局の承認をへて「国家図書館第二期工事と国家デジタル図書館プロジェクト」を進めている。
今年夏に開館予定の「第二期新館」では、ICチップを使った一般図書、雑誌、新聞の自動閲覧・貸出サービス、無線LANを使ったデジタル資料の閲覧サービスなどが提供される。
また、来年完成予定の「国家デジタル図書館」は、世界最大の中国語デジタル資源の保存・サービス拠点になるという。これまでにデジタル化された所蔵資料(中国語書籍、博士論文、地方誌、甲骨文献、敦煌文書、音声データなど)は計120テラバイト。
一部はすでにインターネット上で公開されているほか、「国家デジタル図書館」のサービスポータルを通じて全国各地の図書館がデータを共有し、利用者サービスの質を向上させることができるとしている。

今回の無料サービスの拡大は、同プロジェクト推進の一環でもあるようだ。国家図書館の陳力副館長は「利用者にとっては今後、年間約1千万元(1元は約15円)のサービスが無料になる。(さらにデジタル図書館の完成により)全国の読者が、無料か廉価で国家図書館の文献データをいっそう身近に利用できるようになるだろう」(『新京報』)と語っている。
これまでは、利用の際のわずらわしい手続きと、諸経費の高さが不評だった国家図書館。世界の読者に開かれた図書館として、生まれかわる日も近いようだ。

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  ★『新京報』図書ベスト
(北京図書大廈、王府井書店、中関村図書大廈、三聯書店など、市内主要書店やネット書店のデータから統計) 2008年2月7日~2月21日
     
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1.『求医不如求己2』
中里巴人著 江蘇文芸出版社 2007年10月初版



2.『沈思録』(Meditations)
マルクス・アウレリウス著 何懐宏訳 中央編訳出版社 2008年2月(1月)初版

二世紀後半のローマ皇帝で哲学者のマルクス・アウレリウスが、自らを深く内省し、黙考し、励ますためにまとめた文集。「人として、より善く生きる」ことの大切さを全編に貫いて、哲学書の金字塔となっている。
アメリカのクリントン元大統領の愛読書であり、中国では温家宝首相が寝しなに100回は読んだという、各国リーダーたちの必読書。日本では、岩波文庫、講談社学術文庫からそれぞれ訳書がでている。


3.『貨幣戦争』
宋鴻兵編著 中信出版社



4.『別笑!我是英文単詞書2』(笑うな!僕は英単語書だ2)
文徳著(韓) 中国档案出版社 2007年11月初版


5.『明朝那些事儿(肆)』(明朝それらのこと4)
当年明月著 中国友誼出版公司



6.『于丹《論語》心得』
于丹著 中華書局



7.『我叫劉躍進』(私は劉躍進)
劉震雲著 長江文芸出版社 2007年11月初版



8.『我要幸福:郭徳綱相声漫画版』(幸せになりたい:郭徳綱中国漫才マンガ版)
宮小桃編集/絵 長江文芸出版社 2008年1月初版

若者に絶大な人気をほこる相声師・郭徳綱の笑話を、マンガでまとめた。
テレビの健康番組で、タバコが体によくないことを知った綱子(郭徳綱)。
綱子「その日から歯ぎしりして、地団太踏んで……」
友人「禁煙したのか?」
綱子「番組を見るのをやめた」……

善良だが小ざかしい綱子の日常――「仕事編」「愛情編」「自動車学習編」など、現代を切り取った爆笑マンガ65本が収められている。


9.『大象的眼泪』(象の涙)
サラ・グルーエン著(米) 謝佳真訳 世紀出版集団/上海人民出版社 2008年2月第3刷

全世界で200万冊を売り上げたというアメリカのベストセラー。獣医志望の学生が、ひょんな巡り合わせから、サーカス団の獣医として働くことになった。そこで出会った個性的な人々、像のロージーとの心のふれあいを描く。
2006年アレックス(米国図書館協会)賞受賞、2007年ブックセンス(全米独立系書店組織)ブック・オブ・ザ・イヤー選書。映画化も決まったという話題の書だ。


10.『王立群読《史記》之項羽』(王立群が『史記』の項羽を読む)
王立群著 重慶出版社 2008年1月初版

人気番組、中国中央テレビ(CCTV)教育チャンネルの歴史講座「百家講壇」の「『史記』項羽」シリーズをまとめた。著者の王立群氏は河南大学文学院教授、「中国『史記』研究会」顧問などを務める。
秦末の武将・項羽は、劉邦とともに秦を滅ぼして楚王となるも、垓下の戦いで劉邦に敗れ、烏江で自殺した。王座についたのはわずか4年。王立群氏は、栄枯盛衰の激しい「大起大落」の人生だったと特徴付ける。
「中国の民衆が2000年来、成敗の評価をしない歴史的人物」であり、「中国芸術史上、不朽の芸術モデル」であるという西楚覇王・項羽。その伝奇的な人生と人となりを、わかりやすく解説している。
 
   
     

 

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2008年の五輪イヤーが明けるとともに、中国中南部を大雪が襲い、中国製ギョーザ事件が日本で発生するなど、情勢はめまぐるしく動いています。

中国では3月に入ると、第11期全国人民代表大会(全人代)第1回会議が5日に、政治協商会議(政協)第11期全国委員会第1回会議が3日に、それぞれ北京で開会します。日本の「桜の咲くころ」には、胡錦濤国家主席の公式訪問も予定されているようです。

そうした中でのギョーザ事件は、日中両国の「戦略的互恵関係」構築のゆくえを占う"試金石"だったのかもしれません。この上は、両国の協力によってギョーザ事件が一日も早く解決し、晴れて中国主席の訪日と北京五輪のその日が迎えられるよう祈るものです

 

 

写真・文 小林さゆり
日本のメディアに中国の文化、社会、生活などについて執筆中

 

  http://china-media.jugem.jp/
 
     
   
 
   
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