日本回憶
/夏衍自伝1
上製
夏衍 著/阿部幸夫 訳
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出版社:東方書店 |
出版年:1987年03月 |
コード:00175 272p ISBN/ISSN 4-497-87177-0 |
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中国文学者の大正日本青春記! ジャーナリスト、文学者、劇作家、映画人として活躍し、文化大革命後は中日友好協会会長として友好と相互理解に努めた夏衍。本書は夏衍の半生をつづった自伝『懶尋旧夢録』より、少年・青年期を訳出。1900年、浙江省杭州に生まれた著者はやがて辛亥革命・五四運動の影響を受ける。やがて大正時代の日本に留学、「工業による救国」をめざすが、革命運動に接近、孫文の知遇を得て華僑の組織化工作に奔走。特高ににらまれ、中国へ帰るまでの6年8カ月は著者にとっての大転換期であった。●編著者のことば 二人の田中(中国侵略政策を決めた田中義一と、中日国交回復の田中角栄)にはさまれた半世紀あまり、中日両国の人民は互いに理解しようもなくして悲惨この上ない代価を払ってきたというのに、今日にいたるもなお、この種の互いに理解しようもない情況が相も変らず存在するように思えるのです。……近ごろになって日本の新聞報道を見ますと、四十年前のあの大災難を、「われわれの敗れたのは天命であって、決して戦争がまずかったのではない」という心境にある人がいるらしいと思えてなりません。ひるがえって考えますと、わたしたちにしても、日本民族の性格について、日本の国運の激変について、日本というものが謙虚であるとともに自大であり、せっかちで且つ落ち着きがあることについて、一方では寸秒を争うように懸命に仕事をするかと思えば、その一方で時間の浪費もおかまいなしに、のんびりと茶道をたしなみ碁を打つといった矛盾した性格をもつことについて、真剣に探求したことがあったろうかといいますと、距りがありすぎたというしかありません。八十年代の中国はすでに四十年前の中国ではありませんし、今日の日本にしても、もちろん大隈重信時代の日本ではありません。高度な技術は猛烈な勢いで進展し、地球は小さくなってしまいましたから、中日両国の間の、両国人民の間の相互理解にしても、全アジアに関わってしまうばかりでなく、全世界の安危に関わっても来ます。今こそ、冷静になって、心から真摯に理解を深めあうべき時でしょう。(「日本語版への序に代えて」より)
●構成 日本語版への序に代えて/自序 一 杭州での暮らし―家世と童年/二 揺れるこころ―「辛亥」から「五四」へ/三 日本での日々―心は東棹に随いて華年を憶う 中国人名訳注/解題 夏衍回想録と日本/訳者あとがき
【シリーズ一覧】 日本回憶/夏衍自伝 1 阿部幸夫 訳 東方書店 1987年03月刊 [品切] 上海に燃ゆ/夏衍自伝 2 阿部幸夫 訳 東方書店 1989年11月刊 [品切] ペンと戦争/夏衍自伝 3 阿部幸夫 訳 東方書店 1988年06月刊 [品切] 上海解放 夏衍自伝・終章 阿部幸夫 編訳 東方書店 2015年07月刊
【関連書籍】 幻の重慶二流堂 日中戦争下の芸術家群像 阿部幸夫 著 東方書店 2012年06月刊 日中戦争下の重慶で夏衍・呉祖光・曹禺・老舎らが集ったサロン「二流堂」。抗戦下に華開いた文芸界の様相を哀惜をこめて活写。
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■編著者紹介
夏 衍(か えん):1900年中国浙江省杭県生まれ。1920~27年日本留学時に政治運動に参加。帰国後、魯迅とともに左翼作家連盟の指導にあたる。抗日戦争期はジャーナリストとしても活躍。中華人民共和国建国後は文化部門の指導に当たる。元中日友好協会会長。1995年没。代表作に、報告文学『包身工』、劇作『上海屋檐下』『法西斯細菌』、小説『春寒』、映画脚本『春蚕』『祝福』『林家舗子』など。 阿部幸夫(あべ ゆきお):1929年東京都生まれ。専攻は中国近現代文学、とくに1930年代、40年代文学。
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