夏衍の自伝風の回想録『懶尋旧夢録』(1985年、三聯書店刊)は、「夏衍自伝」として『日本回憶』『ペンと戦争』『上海に燃ゆ』の3分冊に訳出・刊行された(東方書店、1987~89年)。本書は、2000年に刊行された『懶尋旧夢録・増補本』(三聯書店)を翻訳原本として、未訳出の第7章と増補本に収録された「新たな跋渉」と「武訓伝批判と私」の2編、および、「武訓伝」に関する夏衍と胡喬木の文章を数篇あわせて収録する。巻末に260余名についての注釈「人物雑記」を収める。 ●編著者のことば 「ここまで書いてきて、いささか感慨あるを免れません。中国のインテリ份子は、このように心を込めて中国共産党を擁護し、支持してきたのですが、この四十何年あまり、中国のインテリ份子の境遇ときたら、またなんということだったでしょうか。だれもが知っているとおり、一九五七年の反右派、一九五九年の反右傾、抜白旗、一九六四年の文化部整風、それに「史上空前」の文化大革命で、真っ先に災難に遭ったのはインテリ份子でした。この問題を、わたしは長いこと考えてきたのですが、でも筋道だった無理のない解答を捜しあてていません、これは民族の悲劇というしかありません」(本書「『武訓伝』事件始末」より)。 ●構成 <上海解放 夏衍自伝 終章> 北平から、北京へ 1949.5-9 上海、解放・光復・再生 1949 ―1952 「知」は力なり 1956 <新たな跋渉> 跋渉――野こえ山こえ川わたり 1949-1952 <『武訓伝』批判の前前後後> 『武訓伝』事件始末 1951 映画「武訓伝」解題 『武訓伝』の脚色と監督について(孫瑜) 夏衍の詫び状 『武訓伝』批判からわたしの上海文化芸術界での工作を点検する(夏衍) 胡喬木、豹変す 映画『武訓伝』批判はあまりに一面的、極端かつ粗暴なものだった 陶行知先生は中国の進歩派インテリの典型 <人物雑記> 代跋 「上海会師(ごうりゆう)」――〈非延安派〉がデザインした上海文化の実験 原著・参考文献
【シリーズ一覧】 日本回憶/夏衍自伝 1 阿部幸夫 訳 東方書店 1987年03月刊 [品切] 上海に燃ゆ/夏衍自伝 2 阿部幸夫 訳 東方書店 1989年11月刊 [品切] ペンと戦争/夏衍自伝 3 阿部幸夫 訳 東方書店 1988年06月刊 [品切] 上海解放 夏衍自伝・終章 阿部幸夫 編訳 東方書店 2015年07月刊
【原書】 138547 懒寻旧梦录(增补本) 夏衍 生活·读书·新知三联书店 2000年09月刊
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