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中国漢字学講義 /東方学術翻訳叢書 上製
裘錫圭/稲畑耕一郎,崎川隆,荻野友範 訳
出版社:東方書店
出版年:2022年06月
コード:22207   616p   ISBN/ISSN 9784497222077
 
価格 6,930円
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奥深い漢字の世界へ

北京大学中文系での「漢字学」の講義をまとめたもの。漢字の形成過程とその変遷、分類、表意文字、形声文字の構造と特徴、「仮借」、異体字、文字の分化と合併、整理と簡略化など、漢字にかんするさまざまトピックを網羅。初版刊行より40年を経て、今なおスタンダードな「漢字学」のテキストとして読み継がれている名著、『文字学概要(修訂本)』(2013年、商務印書館)の翻訳。

著者の言葉
>>>訳者あとがき(WEB『東方』にて公開中)

書評
>>>『中国漢字学講義』評(評者:宮島和也)(WEB『東方』にて公開中)

世界の文字の発展史を研究する現代の学者たちは、漢字・ヒエログリフ・楔形文字のようなタイプの文字をはじめは「表意文字」と呼んでいました。しかし、このタイプの文字はみな多くの表音成分を含んでおり、これらを単純に「表意文字」と呼ぶのは明らかに適切ではありません。(略)
以下に、私たちの漢字の性質に対する見方について触れますが、漢字に用いられる符号の性質の分析に重点を置く理由は、文字の性質とはその文字に用いられている符号の性質によって決まるものだからです。
漢字のような性質の文字体系にどのような名前を付けるのかということは、副次的な問題にすぎません。
(「第二章 漢字の性質」より)

原著『文字学概要』の第一版は、それまでの著者の北京大学中文系での「漢字学」の講義録に手を加えて一九八八年十一月に出された。(略)言うまでもなく、この間に「漢字学」の領域ではさまざまな貴重な成果があり、古文字に特化した書物や学説史を語る書物、また出土文字資料を用いての新しい研究、さらにはより広い視野からの漢字研究も少なくない。その中にあっても本書が「漢字学」のテキストとしてその存在意義を少しも減じていないのは、全書を通して漢字という文字をどういうものとして捉えるかという著者の考え方が一貫して示されているからである。(訳者あとがき)

構成

第一章 文字形成の過程
第一節 文字の定義
第二節 文字形成過程の推測

第二章 漢字の性質
第一節 二つのレベルの符号
第二節 字符の表意・表音の役割から見た漢字体系の性質
第三節 字符の表す言語構造の階層から見た漢字体系の性質
第四節 漢字の形式上の特徴

第三章 漢字の形成と発展
第一節 漢字形成の問題についての議論
第二節 漢字の発展過程における主要な変化

第四章 形体の変遷(上)―― 古文字段階の漢字
第一節 殷代文字
第二節 西周春秋文字
第三節 六国文字
第四節 秦系文字
第五節 隷書の形成

第五章 形体の変遷(下)――隷書・楷書段階の漢字
第一節 隷書・楷書段階の文字の形体を研究するための資料
第二節 漢代隷書の発展
第三節 隷書の篆書字形に対する改変
第四節 漢代の草書
第五節 新隷体と初期の行書
第六節 楷書の形成と発展および草書と行書の変遷

第六章 漢字の基本類型の区分
第一節 六書説
第二節 三書説
第三節 三書に入れることのできない文字

第七章 表意文字
第一節 表意文字の分類とその例
第二節 語義研究における字形の役割

第八章 形声文字
第一節 形声文字が発生した経緯
第二節 多声と多形
第三節 省声と省形
第四節 形旁と声旁の位置
第五節 形旁の表意の役割
第六節 声旁の表音作用
第七節 声旁と字義の関係

第九章 仮借
第一節 本字と仮借
第二節 借りられた字の意味が仮借義と関連する現象
第三節 一語に複数の字を用いることと一字が複数の語を表す現象
第四節 仮借にかかわる字音の問題
第五節 漢語文研究における仮借にかかわるいくつかの誤った傾向

第十章 異体字・同形字・同義換読
第一節 異体字
第二節 同形字
第三節 同義換読

第十一章 文字の分化と合併
第一節 文字の分化と文字の役割を分散させるその他の方法
第二節 文字の合併

第十二章 字形と音義の錯綜した関係
第一節 一形多音義
第二節 一語多形

第十三章 漢字の整理と簡略化

図版

初版前言(裘錫圭)
修訂本前言(裘錫圭)
《日本語版》序文(裘錫圭)
旧訳版あとがき(稲畑耕一郎)
訳者あとがき(稲畑耕一郎)
文字索引 字音/総画
■編著者紹介
著者
裘 錫圭(きゅう・しゃくけい) 復旦大学出土文献と古文字研究センター教授。
1935年、上海市生まれ、祖籍は浙江省寧波。復旦大学歴史系に在学中、胡厚宣教授の甲骨文の授業に出て文字学の世界に関心を持ち、卒業後には胡教授の研究生兼助手となる。当時の研究テーマは「甲骨学と商代史」。胡教授が中国科学院(現在の中国社会科学院)歴史研究所第一所(先秦史)の主任に転じたことから、随って北京に移る。その後、同研究所の研究生修了とともに、1960年北京大学中文系に助教として配属される。北京大学では、当時は未開拓であった戦国文字に関心を持っていたことから朱徳熙教授に師事し、璽印や陶文から始まり、やがて考古発掘によって盛んにもたらされる出土文字資料の帛書、楚簡、漢簡などの研究へと進む。「馬王堆漢墓帛書」「銀雀山漢墓竹簡」「曽侯乙墓」「望山楚墓竹簡」「尹湾漢墓簡牘」「郭店楚墓竹簡」などの文字資料の整理と校釈のプロジェクトに参加して大きな力を発揮する。2005年には長年勤めた北京大学中文系を離れ、復旦大学に設立された出土文献と古文字研究センターの教授として招かれ、復旦大学傑出教授となる。文集に『裘錫圭自選集』(河南教育出版社、1994)、『文史叢稿』(上海遠東出版社、1996)、『中国出土古文献十講』(復旦大学出版社、2004)などがあるが、『裘錫圭学術文集』(全6巻、復旦大学出版社、2012)には「著述目録」を含め、ほぼ全ての文章が収録されている。

訳者
稲畑 耕一郎(いなはた・こういちろう) 早稲田大学名誉教授、南京大学文学院客員教授。
1948年三重県生まれ。早稲田大学第一文学部中国文学専攻卒業、同大学院博士課程満期退学。早稲田大学文学学術院教授、同大学中国古籍文化研究所所長、北京大学考古系訪問学者、南開大学東方芸術系客員教授、北京大学中国古文献研究センター客員教授などを歴任。専門は中国古典学。著書に『一勺の水――華夷跋渉録』(二玄社、1987)、『神と人との交響楽――中国仮面の世界』(農文協、2003)、『境域を越えて――私の陳舜臣論ノート』(創元社、2007)、『中国皇帝伝』(中央公論新社、2013)、『出土遺物から見た中国の文明――地はその宝を愛しまず』(潮出版社、2017)、監訳書に『図説 中国文明史』(全10巻、創元社)、『(北京大学版)中国の文明』(全8巻、潮出版社)ほか多数。

崎川 隆(さきかわ・たかし)吉林大学考古学院古籍研究所教授、同大学「古文字與中華文明伝承発展工程」兼任教授。
1973年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部民族学考古学専攻卒業、同大学院を経て吉林大学古籍研究所に留学し、博士(歴史学)学位を取得。その後、コロンビア大学唐氏古代中国研究センター研究員、同大学東アジア言語文化学部客員准教授などを歴任。専門は中国古文字学、中国考古学。著書に『賓組甲骨文分類研究』(上海人民出版社、2012)、『吉林大学蔵甲骨集』(共著、上海古籍出版社、2021)、共訳書に『図説 人類の歴史・第5巻・旧世界の文明』(朝倉書店、2004)、『図説 中国文明史(殷周巻)』(創元社、2007)などがある。

荻野 友範(おぎの・とものり)慶應義塾大学高等学校教諭、同大学文学部非常勤講師、早稲田大学中国古籍文化研究所招聘研究員。
1974年福島県生まれ。慶應義塾大学文学部中国文学専攻卒業、同大学院修士課程を経て、早稲田大学大学院文学研究科博士課程に進む。その間に吉林大学古籍研究所に高級進修生として留学し、帰国後に博士(文学)学位を取得。早稲田大学文学学術院、慶應義塾大学文学部などで非常勤講師を勤める。専門は中国古代文学。論文に「「詩」と「志」――民国期以来の「詩言志」論」、「「志」の展開――『尚書』舜典篇「詩言志」の注解をめぐって」など、訳書に『図説 中国文明史(春秋戦国巻)』(創元社、2007)、『図説 中国文明史(殷周巻)』(共訳、創元社、2007)などがある。
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