中国文学の歴史 元明清の白話文学
/東方選書63【最新刊】
小松謙
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出版社:東方書店 |
出版年:2024年09月 |
コード:22415 224p ISBN/ISSN 9784497224156 |
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娯楽の読書はここから始まった
エリートではなかった庶民が楽しみのために本を読み、彼らの言葉や暮らしが文字として現れるようになった時代はいつ始まり、どのように続いてきたのか。戯曲・小説の創作が大いに盛んとなった元・明期を中心に、話し言葉で書かれる文学が生まれた金の時代から近代文学の誕生につながる清代までの文学を通観する。「全相平話」「四大奇書」「三言二拍」など、当時の作品から多数のエピソードを紹介し、そこから見える社会や時代背景を一つ一つ丁寧に読み解く。今日の「読書」体験の起源を辿る、中国文学への恰好の入門書。
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■はじめに
■第二部 明の文学 より一部抜粋
■第一部 金・元の文学 より一部抜粋(下記画像)
●著者の言葉
本書は、安藤信廣氏の『中国文学の歴史 古代から唐宋まで』の後を承ける形で、それに続く時期の文学について論じるものである。ただ本書の内容は、安藤氏の前著とは異なる視点に基づくものになる。唐宋の文学作品は、ほとんどが文言で記されたものであり、安藤氏の前著は当然ながら、知的エリートによる作品を中心として記述されている。(中略)一方、本書においては、白話を用いた文学がいかにして出現し、展開していくかを中心に追っていくことになる。それは、今日の「読書」がどのようにして生まれ、育まれていったかを追体験することにもなるであろう。(「はじめに」より)
●構成
はじめに
第一部 金・元の文学
一 白話文学前史
白話とは
白話の文字化を阻むもの
二 金の文学 白話文学の誕生
曲とは
『董解元西廂記諸宮調』刊行の要因
『董解元西廂記諸宮調』では何が語られているのか
三 元の文学(一) 曲の世界
散曲――新しいうた
雑劇(一) その形式と特徴――「救風塵」を例に
雑劇(二) その内容
雑劇(三) 雑劇テキスト刊行の要因
四 元の文学(二) 白話小説の誕生――「全相平話」
第二部 明の文学
一 明という時代
二 明代前期の状況 出版退潮期
『成化説唱詞話』――語り物の文字化
読み物としての戯曲――『嬌紅記』『西廂記』
誰が弘治本『西廂記』を読んだのか
三 明代後期の展開 出版の爆発的発展と「四大奇書」の登場
四大奇書
「四大奇書」以外の長篇小説
演劇の展開
四 明滅亡まで 多様な刊行物の出現と『三言二拍』、金聖歎と「小説」の自立
白話短篇小説の刊行
第三部 清の文学――近代へ
清代の白話小説――明末の遺産
知識人による自己表現としての白話文学創作――『儒林外史』と『紅楼夢』
近代へ
あとがき
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■編著者紹介
小松謙(こまつ・けん) 1959年、兵庫県に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士後期課程中退。富山大学教養部助教授を経て、京都府立大学教授。博士(文学)。 主要著書に『中国歴史小説研究』『中国古典演劇研究』『「現実」の浮上――「せりふ」と「描写」の中国文学史』『「四大奇書」の研究』『中国白話文学研究――演劇と小説の関わりから』『水滸伝と金瓶梅の研究』『詳注全訳水滸伝(第五巻まで刊行)』(いずれも汲古書院)、『ビギナーズ・クラシックス 水滸伝』(角川ソフィア文庫)などがある。
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