本書は、莫言の講演集『用耳朶閲読(耳で読む)』に掲載される海外での講演録にノーベル賞授賞式での講演録を加えた23篇を翻訳収録しています。それぞれの講演では、莫言の文学体験が随所で語られています。ユーモアを交えながら、莫言が自身の言葉で「莫言文学」のエッセンスを語るこれらの講演は、これから莫言を読もうとする人の水先案内として、すでにいくつかの作品を読んだ人には、その物語をもっと深く味わうのに役立つことでしょう。 ●関連図書 莫言の文学とその精神 中国と語る講演集
●原書 用耳朵阅读/莫言文集(370006) 作家出版社 2012年11月
●受賞情報 「岡倉天心翻訳賞」(2016年度/国際アジア共同体学会主催、毎日新聞社協賛) ●編著者のことば 私は日本を十回訪問しており、多くの日本の友人と親交を結び、数十冊が翻訳され、結果として多くの日本人の友人を持つに至りました。本書の中の多くの講演は、日本でアドリブのうちに生み出したものなのです。私の小説を読んだことのある日本の読者が、本書から、別のものを発見できることを願う次第でございます。(「短序――日本の読者の皆さんへ」より) ●構成 講演 1 黒い少年――私の精霊 京都大学 1999年10月 2 二一世紀の中日関係 関西日中関係学会 3 神秘の日本と私の文学履歴 駒沢大学1999年10月 4 フォークナー叔父さん、お元気ですか。 カリフォルニア大学バークレー校 2000年3月 5 私の『豊乳肥臀』 コロンビア大学 2000年3月 6 飢餓と孤独はわが創作の宝もの スタンフォード大学 2000年3月 7 アメリカで出版された私の三冊 コロラド大学 8 耳で読む シドニー大学 2001年5月 9 小説の匂い パリ・フランス国立図書館 2001年12月 10 巨大な寓話としての『白檀の刑』 京都大学会館 2003年10月 11 憧れの北海道を訪ねて 北海道大学 2004年12月 12 個性なくして共通性なし 韓国「東アジア文学大会」2005年5月 13 恐怖と希望 イタリア 2005年5月18日 14 小説と社会現実 京都大学会館 2006年5月 15 交流によってのみ進歩する 韓国大学生訪中団 2006年8月 16 大江健三郎氏が私たちに与える啓示 中国社会科学院大江健三郎シンポジウム 2006年9月 17 食べ物の昔話 福岡市飯倉小学校 2006年9月15日 18 わが文学の歩み 第十七回福岡アジア文化賞市民フォーラム 2006年9月17日 19 ディアスポラと文学 韓国全州アジア・アフリカ文学祭 2007年11月9日 20 『韓国小説集』私の読み方 第一回「韓日中東アジア文学フォーラム」2008年10月11日 21 ドイツ文学から学んだこと フランクフルト・ブックフェア「『中国感知』フォーラム」 ベルリン 2009年9月 22 文学による越境と対話 フランクフルト・ブックフェア開幕式 2009年10月 23 物語る人――ノーベル文学賞受賞講演 スウェーデン・アカデミー 2012年12 月
講演原題(年月日)一覧 莫言とその文学――あとがき 林敏潔 耳で読む物語る人の話を聴くこと――あとがき 藤井省三
|