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新乗宇宙
富澤大輔 写真/廣谷妃夏、林暉鈞 翻訳/浅田農 デザイン
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出版年:2020年10月 |
コード: 136p ISBN/ISSN |
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『僕はこの当然の「権利」に、胸が誇りでいっぱいになった』
2020年1月11日。 香港でのデモが日々続き、未知のウイルスの存在に少しずつ世界が視線を向け始めた頃、台湾では『中華民国総統選挙』が行われた。 この選挙は台湾の事実上の独立状態を継続する姿勢の民進党と、中国(中華人民共和国)との関係の強化を主張する国民党のどちらが選ばれるかという大きな岐路に立たされたものだった。 台湾人の父と日本人の母の間に生まれてから16歳までを台湾で過ごした富澤は、選挙が近づく日々に緊張と憂鬱をいつも頭のどこかに抱えながら、生まれ育ったその土地を撮影した。
いま、あらゆる言説が私達を“大きな主語”でくくり分断する。 「あなた」が「あなた」でなくなり、「わたし」が「わたし」ではなくなっている。 政治は私達の「外側」にある気がする。 本来極めて個人的な私の中に存在する、私という「政治」を見失う。 この本は、あらゆる“小さな主語”の中にしかない目に見えないことを、気づかせてくれ、忘れさせてくれ、また思い出させてくれる。
巻末には中国人の韩梅梅による短編小説、『傍晚五点的对话』を収録。
2020年、台湾・中国・日本それぞれに過ごす「わたし」による視線が幽かな交錯をした一冊になっている。
◎巻末収録 韩梅梅『傍晚五点的对话』あらすじ 中国のどこかにある「晏州」――。 「国内の循環を主体に経済発展を」というスローガンもと、 気づくと町は静かに着実に変わっていっていた。 そんな町に、それぞれ留学の経験を経て帰ってきた「アリ」と「ダチョウ」。 これはそんな二人の、フィクションより奇妙な日常の夕暮れ時の立ち話。
デザイン:浅田農
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