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モンゴル人ジェノサイドに関する基礎資料(14) 絵画・写真・ポスターが物語る中国の暴力 /内モンゴル自治区の文化大革命14
楊海英
出版社:風響社
出版年:2022年01月
コード:   496p   ISBN/ISSN 9784894898943
 
価格 15,400円
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本書は内モンゴル自治区でおこなわれた中国文化大革命に関する第一次資料を解説し、影印するシリーズ。編者が過去20数年間かけて収集したポスターを中心に、絵画と写真、風刺漫画といった第一級の史料群を用いてその詳細を伝える。


以下、「はじめに」より

中国が1966年に文化大革命を発動し、一時的に終息する1976年までの間に内モンゴル自治区で大規模なモンゴル人ジェノサイド(Genocide)が発生した。操作された、中国政府の後日の公式見解によると、人口約150万人弱のモンゴル人を対象に、中国政府と中国人(漢民族)は346,000人を逮捕し、27,900人を殺害し、120,000人に身体障害を残したという[楊 2013a;2014a:78;2014b:433-434;2019a:37;2021a:1-17]。中国政府のデータに疑問を抱く欧米の研究者は、殺されたモンゴル人の数は10万人に上る可能性があると指摘している[Jankowiak 1988:276; Sneath 1994:409-430]。この10万人という数字には文化大革命(以下、文革と略す)が一段落した後に、殺戮運動中の組織的暴力が原因で死去したモンゴル人、即ち「遅れた死」は含まれていない。文革が原因となる「遅れた死」を算定に入れると、中国によって死に追い込まれたモンゴル人の数は30万人に上ると主張する知識人もいる[Shirabjamsu 2006:44]。

 大虐殺を実施したのは、中国人民解放軍と中国政府に動員された中国人労働者と農民、それに学生たちであった。人民解放軍は系統的な命令で動くが、大衆は政府による動員が必要であった。大衆の動員には政府主導の強力なプロパガンダが欠かせない。当時の中国政府はありとあらゆめメディアをフルに稼働してモンゴル民族全体を敵として定め、長期間にわたって大虐殺を展開した。中国の独特な宣伝手法について、編者は今までに壁新聞[楊 2016a]と紅衛兵新聞を事例に[楊 2017;2018]資料を公刊してきた。また、既刊の資料集にはビラ(伝単)や各種の冊子も含まれていた。これらはすべて中国人大衆を動員するのに大きな役割を果たした。紅衛兵新聞と雑誌、それにビラにはまた風刺漫画とポスター、そして写真が大量に掲載されていた。これらの可視的な画像からなるメディアは中国人大衆の暴力行為を革命的行動として正当化するのに制度的に使われていた。当然、被害者のモンゴル人は虐殺されるという過酷なプロセスの中で自らの経験を画像化すること、画像で以て残すことは不可能であった。

 本書は画像資料を用いてモンゴル人ジェノサイドの実態を伝えることを目的としているる。具体的には以下のような画像からなる。

一、モンゴル人被害者が描いた中国人の各種暴力

二、加害者側の写真

三、加害者側の中国人が断罪に用いた政治的な風刺漫画

四、加害者の中国のプロパガンダ画像(ポスターと写真)

モンゴル人が最も重要な画像資料として位置づけているのは、被害者たち自身が大虐殺の後に自らの経験を詳細に描いた絵画である。加害者の中国側の人間が撮影した写真と、政府が作成した政治的な風刺漫画は、被害者自身が描いた絵画の裏付けとなる資料群である。モンゴル人が中国政府と中国人に大虐殺されたのは、彼らが理想とする「中国の内モンゴル自治区」を創出したかったからである(写真,文化大革命の発動を全国に宣言した中国共産党中央委員会の「五・一六通知」。★電子化した画像ファイル内の08-001,08-002使用★)。言い換えれば、中国政府と中国人はプロパガンダ通りのモンゴルを空想し、幻想的で、彼らが理想とする「民族団結」、「幸せなモンゴル人」を作り出す為に、大虐殺を進めていたのである。というのも、モンゴル人は中国政府と中国人の意向に沿って、恭順な態度を示さなかったからである。

以上のような四種の画像資料はすべて中国政府と中国人の組織的暴力を物語る第一級の記録である。今回の画像資料を編者が今日までに公にしてきた文字資料と合わせて研究することで、今後は文革期のモンゴル人ジェノサイドの歴史が更に究明されるに違いない。


目次:

はじめに
一 画像資料に関する既往研究
二 描かれた中国人の暴虐
三 写真が物語る内モンゴル自治区における中国の暴力
四 礼賛された中国からの暴力―風刺漫画
五 称賛させられる毛沢東等中国人の神々
六 紅い太陽に照らされた幻想の内モンゴル
七 終わりに
参考文献

<本書所収資料一覧>
一 内モンゴル自治区シリーンゴル盟バヤンジュルヘ地域における中国人からモンゴル人への暴虐
二 写真が物語る社会主義の内モンゴル自治区
三 礼賛された中国から暴力―風刺漫画
四 称賛させられる毛沢東等中国人の神々
五 空想の内モンゴル
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