土楼 円い空の下で暮らす福建客家の民族誌
/人類学専刊
上製
小林宏至
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出版社:風響社 |
出版年:2024年02月 |
コード: 350p ISBN/ISSN 9784894893429 |
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「宗族・客家が土楼を生み出した」という従来の発想を覆し、タテモノこそが彼らを創り出してきたのだとする、斬新な論考。 なぜこんな巨大建造物が作られたのか! 著者のこの問いかけは、「宗族・客家が土楼を生み出した」という従来の発想を覆し、タテモノこそがこうした社会集団を創り出してきたのだとする論点となり、詳細な調査による民族誌として結実した。新時代の客家論・宗族論。
目次:
まえがき 一 土楼との出会い 二 怠け者のフィールドワーカー 三 「仲間」になること 四 土楼と親族
序章──方法としての/成果物としての民族誌 一 本書の主題 二 人類学において民族誌を書くこと 三 人類学において親族を研究対象とすること 四 本書の内容と各章の概要 五 本書を読む上での基本的な情報
第一部 土楼 第一章 土楼・械闘・郷族──土楼をめぐる物語と社会人類学からの再考 一 緒言――土楼前史 二 土楼が「発見」されるまで 三 改革開放政策と土楼の「再発見」 四 土楼と械闘の歴史 五 土楼と郷族――「族工」と「族商」 六 小結――問題の再設定
第二章 客家社会と閩南文化──分水嶺に位置する土楼 一 緒言――土楼の中心で祀られる神 二 「山の民」である客家、「平地の民」である閩南 三 境界域における交通と定期市 四 客家地域と閩南地域を越境する保生大帝 五 保生大帝の「里帰り」 六 小結――連続性と乖離
第三章 宗族が造る家、家が創る宗族──円形土楼における空間の所有形態と宗族組織 一 緒言――土楼の生理学 二 調査対象とする土楼と宗族 三 土楼内部の所有形態 四 新たな土楼の建造のプロセス 五 堅固な系譜意識と柔軟な居住形態 六 小結――「生命体」としての土楼
第四章 福建土楼と文化表象──土楼内部における「祖堂」の記述をめぐる学術表象の分析 一 緒言――研究史によって創られた表象 二 客家土楼から福建土楼へ――世界文化遺産にともなう変化 三 ユネスコによって語られる福建土楼における「祖堂」の意義 四 土楼民俗文化村において説明される「祖堂」 五 現地社会からみた土楼中心部の小屋の意義 六 客家土楼とメディア表象――日本のメディアの役割 七 福建土楼を介し再創生される客家文化 八 小結――表象と再創生
第二部 親族 第五章 社会的住所としての宗族──福建省客家社会における人物呼称の事例から 一 緒言――指称と呼称 二 調査地における宗族組織 三 調査地における親族名称と人物呼称 四 女性の「輩字」と名前の呼びかけ 五 出来事(event)としての呼びかけ 六 小結――社会的住所(Social Address)
第六章 テクストとしての族譜──客家社会における記録メディアとしての族譜とそのリテラシー 一 緒言――「現地の記述」をめぐって 二 客家研究の系譜と「族譜」の位置づけ 三 福建省永定県の客家社会における二つの祖先観 四 動的テクストとしてのA氏族譜 五 族譜の読まれ方──記録メディアとしての族譜 六 小結――有文字社会の民族誌
第七章 僑郷からの災因論──二一世紀における「典型的」な風水事例より 一 緒言――華僑と僑郷をつなぐ風水 二 風水という災因論 三 華僑と僑郷のつながり 四 僑郷からの災因論 五 「災い」からはじまる華僑と僑郷の関係性 六 小結――華僑による土楼建造、保全、再建の背景にあるもの
第八章 福建客家と複数の聖地──歴史のなかの「聖地」と記憶のなかの〈聖地〉 一 緒言―― 聖地を論じること 二 客家社会と調査地L村における複数の聖地 三 エスニックグループの「聖地」とクランの「聖地」 四 記録としての祖先と記憶としての祖先 五 調査地における〈聖地〉保生大帝廟 六 D村の廟を中心とする保生大帝の「信仰圏」と信仰体験 七 保生大帝を「信じる」ことと「知っている」こと 八 保生大帝の神秘性と不確かさ 九 小結――状況の生成
終章――純正律的な響き合いを描く 一 結論 二 結論を結論とする背景 三 いま民族誌的に「調査対象」を描くということ 四 純正律と平均律というアナロジー 五 土楼 天と地と人の響き合い
あとがき 一 円い空の下で暮らす「わたし」 二 「生き生きとした現実」を求めて 三 中国というフィールド 謝辞 初出一覧 参照文献 写真・図表一覧 索引
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