戦時下台湾の少年少女
/植民地教育史ブックレット
白柳弘幸
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出版社:風響社 |
出版年:2022年03月 |
コード: 80p ISBN/ISSN 9784894893191 |
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「本島人」「原住民」「内地人」それぞれの証言。
植民地時代、台湾は3つの集団で構成され、教育制度も分かれていた。本書は、3系統の学校生活・教師の姿・行事などを体験者から聞き取った「オーラルヒストリー」であり、生き生きとした語りから当時の実態が浮かび上がる。
以下、「はじめに」より
近年、海外旅行の訪問先に台湾の人気が高まっています。行きは四時間少々で到着し、三時間弱で帰国できること、美味しい食べ物や飲み物、南国の果物であふれ、治安もよく親日的な人々が多いことなどが知られているからでしょう。街中で地図を広げていると、どこに行きたいのと日本語で話しかけられた方もいると思います。
台湾は太平洋戦争で日本が敗戦するまで日本の植民地でした。日本の中学校や高等学校の歴史の教科書では簡単にふれているだけですので、スペインやイギリスなど欧米の列強諸国が世界各地に植民地を持っていたことは知っていても、日本が植民地を持っていたことを知らない人もいるかも知れません。知っていたとしても、台湾での学校教育について知る方は少ないと思います。
私は小学校の教員として勤務後、学内の教育博物館に異動しました。博物館には戦前の台湾・朝鮮・満洲・南洋等で、現地の子どもたちが使用した教科書が多数所蔵されていました。その教科書を手に取ってみると、これまで見たことのない挿絵が描かれていました。その後、台湾総督府発行の修身教科書を中心として、教科書を通しての当時の教育政策などについて調べ始めました。いざ調べ始めると教科書や史料からだけでなく当時の子どもたちの学校生活の様子、先生方の学習の教え方や子どもたちとの関係、学芸会や運動会、遠足といった学習以外の様子などを知りたくなり、関係者の話を聞く調査を国内と台湾で始めました。自身の体験に基づく言葉には、研究論文、専門書、公文書などにはない生き生きしたものがありました。
筆者の関わった研究の一つに、戦前の中等教育を受け、戦前・戦後教職に就かれた方から、日本統治期に受けられた教育についての影響の有無や日本の教育への思いを聞き取る調査がありました。本書はそうした太平洋戦争前後の台湾で暮らしていた「戦時下台湾の少年少女」に、主に学校生活について尋ねたことを聞き書きしたものです。どこの節から読んでも結構です。興味がありそうな所から目を通してみてください。
目次:
はじめに 一 戦前台湾の教育について 1 本島人・原住民・内地人 2 公学校・教育所・小学校 3 社会教育・国語講習所
二 本島人の少年少女 1 師範学校を出て教師になった古慶瑞さん 2 早稲田大学通信講義録で学んだ曽秀香さん 3 名前が四回も変わった葉崑玉さん 4 日本人小学校で学んだ陳玟珍さん 5 二節のまとめ――「公に奉じた」先生方
三 原住民の少年少女 1 花蓮県光復郷太巴塱にて 2 台東県知本にて 3 花蓮県卓渓郷古風村崙天にて 4 三節のまとめ――北京語習得とポスト・コロニアリズム
四 日本人の少年少女 1 台湾省立高雄第二中学校で学んだ松田和子さん(仮名) 2 「学徒兵」になった髙橋英男さん 3 四節のまとめ――終戦前後の学びと引き揚げ
おわりに 参考文献 資料
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