能楽の源流を東アジアに問う 多田富雄『望恨歌』から世阿弥以前へ
野村伸一,竹内光浩,保立道久 編
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出版社:風響社 |
出版年:2021年12月 |
コード: 306p ISBN/ISSN 9784894893177 |
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「恨」と「幽玄」の軌跡が交わる時。その歌と舞は、東アジア芸能史千年の系譜に連なり、民衆の来し方を写す。
「恨」と「幽玄」の軌跡が交わる時
韓国の老農婦の悲痛な姿から『望恨歌』は書かれた。夫は「強制連行」により九州の炭鉱へ、そして果てたという 本書は、この演目を歴史・民俗・文学・演者の立場から考察、「能」への新たな視点を探る 舞台の老妻は月下でひとり舞う。その歌と舞は、東アジア芸能史千年の系譜に連なり、民衆の来し方を写す……。
目次: はじめに (竹内光浩)
Ⅰ 「能」の形成と渡来民の芸能──聖徳太子信仰と観阿弥・世阿弥(保立道久) はじめに 一 都市芸能の原点と百済氏の没落 二 新猿楽と傀儡子の芸能 三 太子信仰と大和猿楽 おわりに Ⅱ 中国・朝鮮・日本の仮面舞の連鎖──世阿弥まで(野村伸一) はじめに 一 中国の仮面舞 二 朝鮮の仮面舞 三 中国、朝鮮からみた能楽の仮面舞 四 新作能および『望恨歌』への提言 Ⅲ 『望恨歌』と百済歌謡「井邑詞」(辻浩和) はじめに 一 井邑詞とはどんな歌謡か 二 朝鮮における井邑詞の展開 三 日本の踏歌と井邑詞 四 望恨歌と井邑詞 おわりに Ⅳ 強制連行に向きあった市民と『望恨歌』(外村大) 一 『望恨歌』が創作された時代 二 「大地の絆」と「死者への手紙」 三 市民の調査活動の展開 四 ライフヒストリーの聞き取り 五 遺族への連絡と訪問 六 歴史の継承と追悼行事 七 戦後処理の挫折と和解の模索 八 和解の原型としての『望恨歌』 Ⅴ 望恨歌・井邑詞・砧 (竹内光浩) 一 『望恨歌』に流れる三つの基調 二 『望恨歌』諸本について 三 「井邑詞」 四 能『砧』から新作能『望恨歌』へ 五 「恨」をめぐって Ⅵ 農楽と能楽──国立能楽堂における二〇二〇年交流公演の記録(神野知恵) 一 ことのはじまりはインドから 二 ポーランドへ渡ったチマ・チョゴリ 三 『望恨歌』公演依頼 四 清水さんとイム・ソンジュンさんの出会い 五 公演に向けての思案と準備 六 農楽隊の挑戦 七 公演当日の様子 八 二〇二一年『望恨歌』上演に向けて
『望恨歌』(多田富雄) 多田富雄 新作能『望恨歌』公演記録(一九九三〜二〇二一)(竹内光浩/清水寛二) 解題──あとがきに代えて(野村伸一) 東アジア芸能史略年表 索引
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