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歌唱台湾 重層的植民地統治下における台湾語流行歌の変遷
陳培豊
出版社:三元社
出版年:2021年09月
コード:   408p   ISBN/ISSN 9784883035328
 
価格 3,850円
  <東京店在庫有り>
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「歌唱台湾」=「台湾を歌う」。
本書は台湾語流行歌から台湾を描き出そうするものである。
台湾語流行歌の日本化、演歌化は戦後、国民党政府支配になってからである。
台湾人が日本的な要素を自らの歌唱文化に取り込んだのは、いかなる要因に由来するのだろうか。
台湾社会が工業化へ向かう中、何が起こったのか。
農村人口が大量に移動し始める戦後の社会的な変遷の中で、台湾語流行歌はいかなる需要を基盤に、どのようにして日本演歌と共に自分が歌う「伝統」を作り出したのか。


目次:

序章 台湾語流行歌――台湾人のある社会文化史
 一 研究動機及び問題提起
 1 日本人の心を表す「演歌」
 2 「伝統」的な「台湾語演歌」
 二 研究課題と方法
 1 音声の歴史・歴史の音声
 2 基本概念及び章立て
 注

第一章 台湾語流行歌の生成と発展――新民謡運動・閨怨女・太平洋戦争
 一 はじめに
 二 蓄音器と台湾の音声―台湾語流行歌の前夜
 1 他者の声しか聴けない蓄音器
 2 蓄音器が発する珍奇な台湾の声
 三 他者が作る台湾の「新民謡」
 1 新民謡運動の一環としての台湾
 2 他者によって創作された台湾「新民謡」
 四 恋愛至上の台湾語流行歌
 1 「街頭の文明女」と「室内の閨怨女」
 2 離郷、労働、流浪、男性性の欠如
 五 台・日流行歌の「同」と「不同」
 1 いずれも伝統や俗謡から養分摂取
 2 楽曲作成の自主と台湾性
 3 戦時下における流行歌の融合と交流
 六 結論
 注

第二章 半封建的な農業社会で暮らす台湾人――「平穏」な籠の中で歌う
 一 はじめに
 二 家に閉じ籠る台湾女性
 1 養女と歌仔戯、芸旦、流行歌
 2 自宅近辺が生活、労働の範囲
 三 籠の中で「平穏」な生活を送る庶民
 1 未工業化と離郷のない庶民
 2 籠の中の「平穏」な暮らし
 3 異なる離郷の意味―台湾と朝鮮
 四 啓蒙、識字、教化の道具として
 1 百家争鳴の裏に―文化的地位の低い層の啓蒙
 2 知識人にとっての流行歌―啓蒙、識字の道具
 五 民謡から見た台湾の閨怨物語―閉塞、挫折、憂悶、無力
 1 民謡の援護がない台湾語流行歌
 2 台湾社会の感情の構造
 六 結論
 注

第三章 再植民地統治と台湾語流行歌――「閨怨」から「苦恋」への戦後初期
 一 はじめに
 二 終戦後の台湾語流行歌の沈黙
 1 集団「蒸発」した台湾語流行歌の先駆者
 2 二二八事件、失語の世代
 3 白色テロ
 三 差別統治と空白期の台湾語流行歌
 1 国家権力の中心からの差別化
 2 「空白期」の台湾語流行歌―貧困、失業、エスニシティ
 四 社会の感情の構造としての「苦恋」
 1 捨てられ、騙され、裏切られた「苦恋」
 2 「安平追想曲」と「河邊春夢」
 3 「夢が叶った」後の災難
 4 小説に見る「苦恋」の感情の構造
 五 農村人口の流出と階級の固定化
 1 農地政策と農村の疲弊
 2 農村人口の流出と階級の固定化
 六 結論
 注

第四章 「港歌」に見る再植民地統治下の台湾語流行歌――海/港から日本へ
 一 はじめに
 二 オリジナル曲とカバー曲の協同の「港歌」
 1 貧困、漂泊、不安の台湾版港歌
 2 日本の港歌とそのインパクト
 三 都市の海を漂泊する農民
 1 象徴コードとしての海/港
 2 初体験の遠距離感、孤立感
 四 現実の閉塞生活からの逃避
 1 「監獄島」逃避への渇望
 2 「去って帰らず」という必然
 五 過去への追慕と新「台湾民謡」
 1 「脱日本化」の台湾民謡運動
 2 「再日本化」の台湾新民謡
 六 「懐旧親日」の変換
 1 台湾語流行歌と新しい節回し
 2 全面的な日本傾倒
 七 結論
 注

第五章 台湾語流行歌の全盛期と日本――工業化社会の望郷演歌と股旅演歌
 一 はじめに
 二 台湾の工業化と「望郷演歌」
 1 朝鮮戦争がもたらした相乗効果
 2 社会の「現実」を共有する「望郷演歌」
 3 「拜託月娘找頭路」が浮き彫りにする問題
 三 「集団就職列車」は走ったか―高度経済成長の台・日の差異
 1 「集団就職列車」に乗って都市へ
 2 一人で都市へ向かう台湾人
 3 カバー対象の拡大―アウトローのルサンチマン
 四 天涯孤独な「股旅演歌」
 1 「股旅物」とアウトロー
 2 女性化した股旅演歌
 3 他者の「過去」と重なる「現在」
 五 結論
 注

第六章 自力救済か、他力本願か――一九七〇年代のテレビ布袋戯と社会問題
 一 はじめに
 二 台湾史上最高視聴率を記録した布袋戯
 1 伝統的な布袋戯から雲州大儒侠へ
 2 「淪落」した遊侠―布袋戯のアウトロー
 三 アウトローの心を伝える布袋戯楽曲
 1 ヘテログロシアの布袋戯歌謡
 2 悔恨の渡世人
 3 女性アウトローのテーマ曲
 四 工業化をめぐる挫折組のユートピア
 1 「ポスト望郷演歌」としての布袋戯歌謡
 2 布袋戯のファンタジー性―武林、女侠、欠陥
 3 「不能/欠陥」と「超能」の反転
 五 飛躍した経済成長の翳り
 1 経済発展の奇跡
 2 資本家天国の台湾労働者
 3 「不能」と化した労働者
 六 布袋戯と国家イデオロギーの緊張関係
 1 物語とテーマ曲に投影された社会像
 2 救済者の出現と『雲州大儒侠』の終焉
 七 救済者は誰か
 1 救済者としての国家、政府
 2 自力救済か他力本願か
 八 結論
 注

第七章 結論に代えて――再植民地統治下の国語・台湾語流行歌
 一 「平穏」から「放浪」へ―戦前戦後の人口移動
 1 「放浪の歌」と「閨怨」
 2 農村疲弊から始まった人口移動
 二 異なるエスニシティ異なる節回し
 1 弱者の自力救済
 2 こぶし/ゆりを「敬遠」する国語流行歌
 三 二つの国に捨てられた本省人
 1 本省人に残された心の傷痕
 2 再植民地統治下の哀歌
 四 心の傷の癒合と新しい民謡
 1 民主化された後の「流浪之歌」
 2 「赤い夕陽の故郷」から「帰郷する私」へ
 3 『多桑』と戦後立ち上がった民謠運動
 注

 あとがき
 曲名索引
 人名索引
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