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元好問とその時代
上製
高橋文治
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出版社:大阪大学出版会 |
出版年:2021年02月 |
コード: 420p ISBN/ISSN 9784872597165 |
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モンゴルの進攻によって華北から「中華王朝」が消え去ったとき、「中原の知識層」はいかなる未来を待望したか。乱世の詩人・元好問の足跡に、危機に直面した文明の「真実」を追う。
13世紀の金元交替期は、元号が華北から消失し、国体が中国から失われかけた衝撃の時代であった。国家の危機に直面した知識層はどのように苦悩し、アイデンティティを再建したのか、『中州集』編纂で知られる元好問の文学と軌跡から明らかにする。新出の石刻史料により元曲、諸宮調、講史小説等の新たな文化の胎動に触れるほか、金朝滅亡からクビライ政権誕生までの華北の政治体制も詳細に考察する。異民族統治と深刻な戦乱の裏で営まれた中国文化の足跡。
目次: 第一章 危機の時代 一 空白の時代 二 正統論をめぐって 三 金朝人の苦悩 四 「東坡の移居に学ぶ」 五 元好問の墓石
第二章 出仕の時代 一 「宛丘嘆」をめぐって 二 流民たちへの眼差し 三 出仕と隠遁 四 崔立の立碑事件 五 元好問の自意識
第三章 喪乱詩をめぐって 一 「岐陽三首」をめぐって 二 「壬辰十二月 車駕 東狩して後の即事」 三 「唱い得たり 小娘 相見の曲」 四 「薄命の妾の辞」
第四章 元好問と戦後処理 一 「中書耶律公に寄せる書」 二 孔元措というひと 三 孔元措の処遇をめぐって 四 金の遺民と耶律楚材 五 元好問と耶律楚材 六 衍聖公と曲阜県令
第五章 帰郷と復興 一 「南冠録引」をめぐって 二 二度の帰郷 三 外家の南寺 四 「九日 読書山にて」 五 書かれなかった戦後処理 六 元好問が見た復興 七 民への眼差し
第六章 史伝と挽歌 一 「枢密判官白兄に与える書」 二 妻とむすめの墓 三 『中州集』の序跋をめぐって 四 『中州集』の年代 五 『中州集』の情報源 六 王先生碑から実録へ
第七章 空白の国家論 一 白華をめぐって 二 『金史』「白華伝」をめぐって 三 「白華伝」の意図 四 女真貴族と漢人官僚 五 乱世の生き方 六 〈弁亡〉という犯人捜し 七 書かれなかった国家論
あとがき
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