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懐徳堂儒学の研究
上製
藤居岳人
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出版社:大阪大学出版会 |
出版年:2020年06月 |
コード: 388p ISBN/ISSN 9784872597110 |
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社会全体に対する責任感をもって政治実践に資するための学問としてーー幕末日本を動かした変革の裏にある、懐徳堂儒学の進展と儒者の存在とは。江戸時代中期の大阪に開学した漢学塾懐徳堂。その最盛期の中心人物であった中井竹山・履軒兄弟が展開した懐徳堂儒学の軌跡から、朱子学とのつながり、懐徳堂儒学の思想史的意義を明らかにする。儒学を実学に昇華させた懐徳堂儒学は、幕末に向かう日本近世思想史上にどのような深まりをもたらし、幕府や西国諸藩への実学の波及にどのような役割を果たしたのか。膨大な懐徳堂蔵書から紐解き、懐徳堂を改めて思想史的的に位置づける。
目次: 序章 問題の設定と本書の構成 一、懐徳堂の儒学 二、日本近世後期の儒学、その研究における問題点 三、本書の構成
第一部 江戸時代の儒者と寛政改革
第一章 儒者と知識人―懐徳堂の儒者を例にして― 緒言 一、狭義の知識人と広義の知識人 二、懐徳堂の儒者はどのような知識人か 結
第二章 儒者と寛政改革 緒言 一、中国宋代の儒者 二、江戸時代中期以前の儒者 三、江戸時代における寛政改革以後の儒者 結
第二部 中井竹山・履軒の周囲の儒者―その朱子学的立場― 第一章 含翠堂の儒学と初期懐徳堂の儒学 緒言 一、庶民教育をめざした含翠堂・懐徳堂 二、含翠堂・懐徳堂における儒学 結
第二章 五井蘭洲の儒学 緒言 一、五井蘭洲の「博約並進」 二、五井蘭洲による古学・陸王の学批判 三、「心」よりも「性」を尊重(程朱以前) 四、「心」よりも「性」を尊重(程朱) 五、「聖人の道」をめざす君子 結
第三章 後期朱子学派の儒学―尾藤二洲・頼春水を中心に― 緒言 一、尾藤二洲の朱子学転向―古学・陸王学から朱子学へ― 二、尾藤二洲から見た朱子学の理気論―特に理について― 三、尾藤二洲から見た懐徳堂朱子学 四、頼春水にとっての学問 五、頼春水と朱子学 結
第三部 最盛期懐徳堂における経学研究―中井竹山・履軒の経学研究―
第一章 中井竹山の経学研究―『四書断』を手がかりとして― 緒言 一、『四書断』書き入れの特徴 二、『論語断』の特徴 三、性説に関する『孟子断』の書き入れ 結
第二章 中井履軒の性説1―その朱子学批判の立場― 緒言 一、『論語逢原』の程注批判―玩味の巵言― 二、『論語逢原』の程注批判―性説批判― 結
第三章 中井履軒の性説2―性と気稟― 一、人間の共通する側面―性― 二、人間の相違する側面―気稟― 三、気稟の昏明強弱と性の善悪―「習」「蔽」の語を中心に― 結
第四章 中井履軒の儒学的聖人観1―伝統的儒学の立場に沿った理想像― 緒言 一、儒学における聖人 二、『論語逢原』中の聖人の性格―道徳的に優れた理想的人格者像― 三、『逢論語原』中の聖人の性格―為政者としての理想像― 結
第五章 中井履軒の儒学的聖人観2―道を学ぶ者の理想像― 緒言 一、学ぶことの重視 二、履軒の解する「道」 三、中人あるいは庶民 結
第四部 最盛期懐徳堂儒学の経世思想―中井竹山・履軒の実学思想―
第一章 現実に対する懐徳堂儒学の見解と中井竹山の儒者意識 緒言 一、命に対する人間の無力性 二、懐徳堂儒学における実践重視の立場―命への対処― 三、中井竹山の基本的立場―山崎闇斎・荻生徂徠・伊藤仁斎との比較― 四、中井竹山の「全体本領ノ所」 結
第二章 中井竹山がめざしたもの 緒言 一、「治人」をめざす中井竹山 二、「治人」実現に向けての中井竹山の方策 三、君主の教育者としての儒者 四、中井竹山のめざす「修己」 結
終章 懐徳堂儒学の思想史的意義とその後の展開 一、最盛期懐徳堂における儒学の特質―懐徳堂儒学の思想史的意義― 二、実学思想の展開―中井竹山と佐藤一斎・西国諸藩の儒者たち―
参考文献 あとがき 初出一覧 索引
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