東アジアにおける笑話
佐伯孝弘,荒尾禎秀,島田大助,川上陽介,王國良,崔溶澈
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出版社:文学通信 |
出版年:2023年05月 |
コード: 312p ISBN/ISSN 9784867660096 |
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新たな進展をもたらす、最新の「笑話」研究。
中国白話文学と日本近世文学の比較研究を専門とする川上陽介が代表となってはじめた共同研究の成果。佐伯孝弘〈浮世草子〉、荒尾禎秀〈日本語学・書誌学〉、島田大助〈噺本〉、台湾の王國良(中国俗文学・敦煌学・中国文献学・中国古典小説・東アジア漢文学)、韓国の崔溶澈(中国小説)らにより、「東アジアにおける笑話」の諸相を、さまざまな角度から検討し直す。
佐伯孝弘は、浮世草子『籠耳』の「笑話性」を分析。荒尾禎秀は、『訳解笑林広記』の文字の特徴を日本語学の立場から検証。島田大助は、噺本研究の立場から日本の笑話集の「絵」を考える。川上陽介は、『訳解笑林広記』の全注釈。語学的に正確に読み解くだけでなく、「笑いのツボ」を正しく読み取ろうとする。王國良は、中国・朝鮮・日本の漢文笑話を概観し、「笑話」の話型を分類する。崔溶澈は、前人未到、禁断の朝鮮時代の「性笑話」を初めて分析する。翻訳は、閻小妹(読本、中国古典小説)、申英蘭(日本近代文学・日中比較文学〈近現代〉・日中韓比較文化)、全怡炡(日本近世文学)。
「笑い」は、人間の本性を如実に表すものである。そして、「笑い」ほど人生を豊かにしてくれるものはない。
目次: はじめに(川上陽介) 一 笑話をさまざまな角度から検討し直す 二 本書の構成 三 文学研究を志す学生のために
第1章 浮世草子『籠耳』考(佐伯孝弘) 一 はじめに 二 『醒睡笑』の利用 三 作品全体の笑話性 四 『宇治拾遺物語』の利用 五 その他の要素――多様性―― 六 おわりに
第2章 『訳解笑林広記』の漢字字体(荒尾禎秀) 一 はじめに 二 調査の資料と方法 三 調査結果と考察 四 『訳解笑林広記』にみる変字法の可能性 五 『訳解笑林広記』の字体の特徴 六 まとめにかえて
第3章 日本の笑話本と東アジアの笑話本―絵の用い方に注目して―(島田大助) 一 はじめに 二 東アジアの笑話本 三 日本笑話と絵 四 笑話の絵本化による文字数の変化 五 草双紙仕立て笑話本の問題 六まとめ
第4章 『訳解笑林広記』全注釈(九)(川上陽介) 一 はじめに 111 拾螞蟻(蟻を掬い上げる)~120 過橋嚏(橋を渡っているときにクシャミ)
第5章 中国・朝鮮・日本における漢文笑話の発展・伝播とその比較(王國良)(共訳:閻小妹・申英蘭) 一 はじめに 二 朝鮮における漢文笑話の伝播について 三 日本における漢文笑話の伝播について 四 中国・朝鮮・日本における漢文笑話の具体例 (1)自慢や見栄 (2)虚偽と詐欺 (3)妄想・愚昧 (4)間違い (5)教養のない、無知な人間を嘲笑う話 (6)欲張りすぎて罰が当たった話 (7)食欲と色欲 (8)物忘れと居眠り 五 結び
第6章 朝鮮時代の漢文笑話本と性笑話の特徴(崔溶澈)(訳:全怡炡) 一 はじめに 二 朝鮮時代の漢文笑話集 三 漢文笑話集の序・跋文 四 韓國漢文性笑話の特徵 (1)漢文笑話の性行為描写 (2)文字遊戯と吏讀式表現 (3)性笑話の対象と類型 五 漢文性笑話の中韓比較 六 結語
[中国語]中、韓、日漢文笑話之發展.流傳與比較(王國良) [韓国語]조선시대의 한문소화집과 성소화의 특징 최용철(崔溶澈)
執筆者・翻訳者一覧
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