中朝国境都市・丹東を読む 私は今日も国境を築いては崩す
上製
姜柱源/市村繁和 訳
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出版社:緑風出版 |
出版年:2022年02月 |
コード: 242p ISBN/ISSN 9784846122027 |
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中朝国境の大河・鴨緑江を挟んで北朝鮮・新義州と向かい合う中国・丹東。この2つの都市は、世界に広まったその断絶のイメージとは異なり、国境を挟んだ多彩で活発な交流によって、互いを支え合う国境都市だ。それは脱北者たちの脱出ルート、あるいは北朝鮮の鏡とは異なる姿といえる。そこで北朝鮮人・北朝鮮華僑・中国朝鮮族・韓国人の4集団および中国人たちは活発に貿易し、交流を繰り広げる。こうした暮らしぶりを丹東の人びとは「鴨緑江には国境がない」と表現する。 韓国の気鋭の人類学者が中朝国境都市・丹東に赴いて彼らのあいだで暮らしつつ、こと細かに観察してしたためた迫真のルポルタージュ。
目次:
はじめに
第一章 人類学者、国境都市・丹東を読む 国境を築くことと国境を崩すこと 中朝国境と四集団 中朝国境は、暮らしの道具であり現場 丹東を読むための準備 国境を読むことを実践する人びと
第二章 現場のなかへ はじめに─私に迫った三つの異なる風景 人脈づくり─友人らを通じて学ぶ フィールド・ワークの深化─関係を結ぶことの難しさ アイデンティティに悩む─研究者であったり、「安企部の職員」であったり まとめ─帰国の挨拶と終わらない因縁
第三章 四集団のはなし─北朝鮮人・北朝鮮華僑・朝鮮族・韓国人 「鴨緑江は海より深い」 出産プレゼントに込められた国境の意味 三カ国が出会う場・丹東 一九九〇年代という転換点 彼らはなぜ互いに出会い、交わろうとするのか 帰属国家を念頭に置く人びと─北朝鮮人と韓国人 丹東が未来である人びと─北朝鮮華僑と朝鮮族
第四章 丹東、三カ国貿易の中心地 丹東の「未来言説」が見逃しているもの 丹東、三カ国の熾烈な貿易戦略が繰り広げられる都市 三カ国を連結する中朝友誼橋と丹東フェリー 北朝鮮で消費される中国産と韓国産をめぐる謎解き 国境貿易、「中朝経済」に空いた余白 原産地は重要ではない─もうひとつの国境崩し 中国企業の実質的な社長は誰か 南北経済協力は韓国の一方的な施しなのか
第五章 中朝国境のふたつのコード、境界あるいは共有 境界─鴨緑江と中朝国境に向けられる先入観 共有─中朝国境は障壁ではない 「登岸はしたけれども、越境はしなかった」 国境を築く方法─戦争の歴史を利用する もうひとつの境界─イメージ─鉄条網・鴨緑江大路・高層マンション 一歩跨、出会いの場所から国境体験の空間へ 国境観光コースの開発現場と「舞台化された風景」
第六章 四集団、コリア語を共有する─国民・民族アイデンティティの地形図 北朝鮮・コリア語活性化の背景 コリア語─暮らしの道具であり、関係を結ぶための戦略 公式・非公式の出会いの共存─人知れず酒を奢る 韓国人が三集団に出会う方法 出会いの空間 北朝鮮レストラン、北朝鮮という他者を消費する空間 国民・民族アイデンティティに対する戦略─現わす、隠す、往来する、確認する 四集団のアイデンティティの象徴─国旗・地名・言葉づかい
第七章 丹東、三カ国の過去・現在・未来 ニュースづくり─我われが知っている北朝鮮ニュースの虚像 過去に投影された現在─丹東経済に潜んだ特殊な時間 丹東開発言説に注目する 丹東、マクロとミクロを結ぶ国境の現住所
参考文献 訳者あとがき
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