交差する日台戦後サブカルチャー史
押野武志,吉田司雄,陳國偉,涂銘宏 編著
|
|
出版社:北海道大学出版会 |
出版年:2022年03月 |
コード: 358p ISBN/ISSN 9784832934146 |
|
|
|
文学、映画、オタク文化、ミステリなど、台湾において戦後日本のサブカルチャーがどのように受容され土着化していったのか、また、台湾から日本のサブカルチャーは何を逆輸入しようとしたのか。戦後から現代にいたるサブカルチャー史を、日本と台湾双方の観点から明らかにする。
目次: 序──歴史と記憶をめぐる日台戦後サブカルチャー研究………押野武志 従来の研究と本書の目的 歴史と記憶の交差 本書の構成と概要
Ⅰ 歴史の交差
1950年代初期の禁書政策と中国語通俗出版………張 文菁 はじめに 1 40年代末から50年代初頭の台湾図書市場 2 空洞化する50年代の図書市場 3 台湾通俗小説の出現へ おわりに
1970年代アジア系女性アイドル論………押野武志 はじめに──南島オリエンタリズムの回帰 1 1970年代前半のアジア系アイドルの登場とその背景 2 南沙織と南国イメージ 3 鄧麗君と「何日君再来」 おわりに─アイドルと愛国の現在形
台湾ニューシネマにおける歴史表象 ──侯孝賢とエドワード・ヤンを中心に………趙 陽 1 『悲情城市』における歴史表象の再考 2 『台北ストーリー』における台北の歴史 3 『?嶺街少年殺人事件』におけるロックンロールの歴史 おわりに
台湾ノスタルジアを超えて──東山彰良と北方謙三………吉田司雄 1 台湾ノスタルジアの流行 2 北方謙三『望郷の道』 3 東山彰良『流』
感情労働からパフォーマンス労働へ──台北「メイド喫茶」の民族誌研究 ………リーミンツォン・林 穎孟(大塚麻子 訳) 1 はじめに 2 参照文献と概念分析 3 研究方法 4 研究報告 5 ま と め
Ⅱ 表象の交差
台湾は『マジンガーZ』で何をしたのか………横路啓子 1 台湾における「日本」の意味 2 『マジンガーZ』から『無敵鉄金剛』へ 3 子供の頃の思い出としての『無敵鉄金剛』 4 記号としての「無敵鉄金剛」 5 成り上がる文化
SF・ヘテロトピア・グローバルな近代性 ──映画「神龍飛?」シリーズのSF的想像力 ………楊 乃女(熊 雨青 訳) はじめに 1 視覚論的転回とグローバルな近代性 2 台湾語SF映画と「神龍飛?」シリーズ 3 SF映画と近代性 おわりに
日台神仏図像学──キャラクター化する神仏と現代メディア ………今井秀和 1 現代日本のキャラクター文化 2 伝統的な神のキャラクター化 3 架空の神のキャラクター化 4 いわゆる「神様」図像 5 日本の流行神とグッズ 6 台湾の神仏キャラクター 7 日台の神仏キャラクターと信仰
ドキュメントコミック、ジェンダー、 そしてポスト3・11における情動の政治 ………ト・メイコウ(藤井得弘 訳) 1 災難を表象する図像とエクリチュールの倫理 2 3・11の記録におけるジャンル/ジェンダーの政治 3 萩尾望都とゆうみえこの漫画における3・11の情動の政治 4 ドキュメントコミックにおける「災禍の表象」への省察 おわりに
Ⅲ ミステリの交差
モンスターの越境 ──台湾ミステリにおける犯罪リビドーの科学的想像力と身体に潜む恐怖 ………陳 國偉(李 珮琪 訳) 1 科学はミステリ世界の神か、それとも悪魔か? 2 モンスターを作る 3 日本を翻訳する歴史 4 科学の他/?者化と身体の恐怖
「言えない秘密」をいかに翻訳するか ──叙述トリックから見る台湾における日本ミステリの受容 ………金 儒農(李 珮琪 訳) 1 はじめに 2 「言えない秘密」──世界に対する不信任投票 3 台湾における「言えない秘密」 4 おわりに──叙述の壁は存在するか
妖怪から見る台湾現代ミステリの社会的位置づけ ………瀟湘神(張 可馨 訳) 1 台湾における妖怪ブームの文脈 2 台湾妖怪のブームがなぜ生まれたのか 3 妖怪は近代と共存できるか 4 ミステリの近代性 5 妖怪の近代化 6 結び
あとがき
|
|