雲岡石窟中小窟龕の展開 装飾・空間・工人
上製
熊坂聡美
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出版社:法藏館 |
出版年:2022年02月 |
コード: 316p ISBN/ISSN 9784831863300 |
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巨大石窟造営の原動力は何か。国家事業である大型窟とは異なり、皇帝以外の人々が発願し造像した中小窟龕を通して石窟の全体像に迫る。
雲岡石窟といえば、国家権力を背景として周到な計画に基づいて造営された10mを超える巨大石窟が印象的だが、もう一つ、皇帝以外の人々によって個別に発願されたとみられる膨大な数量の造像も存在する。これらの、皇帝勅願の大規模石窟、あるいはその窟内を統一的に構成する計画とは一線を画すように見える造像群=中小窟龕を丁寧に整理・分析することにより、雲岡石窟全体の造像およびその展開に関する問題解決を目指す意欲的研究の成果。
目次:
口絵
序章 はじめに 1 雲岡石窟の概要 2 雲岡石窟における中小窟龕の概要 3 研究目的、方法、本書の構成
第1章 曇曜五窟開鑿期の仏龕――仏龕制作の開始―― はじめに 1 研究背景、諸定義 2 開鑿期の仏龕の所在(1)―第20、19、18窟 3 開鑿期の仏龕の所在(2)―第17、16窟 4 開鑿期の仏龕からみた曇曜五窟の造営 5 曇曜五窟と供養者像を伴う仏龕 おわりに
第2章 第5窟と仏龕――仏龕制作の広がり―― はじめに 1 研究背景 2 第5窟明窓および門口の造像 3 第5窟周壁諸像の制作過程―亀裂と造像 4 第6窟および第11、13窟との関係 5 第5窟と仏龕 おわりに
第3章 第11・12・13窟外壁窟龕の位置づけ――小型窟の出現―― はじめに 1 研究背景、諸定義 2 第11・12・13窟外壁龕と第2期諸窟との関係 小結 3 第5・6窟周囲の仏龕および石窟との関係 小結 4 西端諸窟との関係 おわりに
第4章 中小龕の造窟思想――菩薩交脚像の配置に注目して―― はじめに 1 研究背景、諸定義 2 中型三壁三龕窟と小型三壁三龕窟 3 小型三壁三龕窟の周辺と尊像配置の特徴 4 三仏の造形と配置の意義 おわりに
第5章 天蓋龕の展開からみた中小龕の工人系統 はじめに 1 研究背景 2 雲岡石窟における天蓋龕の展開 3 第32窟周辺の小窟群―ⅡA龕採用窟の特徴 4 他地域における天蓋龕 おわりに
終章 雲岡石窟と中小窟龕 1、民衆らの発願による仏龕制作の開始と曇曜五窟 2、個別に発願された仏龕の増加と第5窟の造営 3、第11・12・13窟外壁の窟龕の位置づけ 4、中小窟の造窟思想 5、中小窟龕の工人系統 おわりに
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