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横光利一と台湾 東アジアにおける新感覚派(モダニズム)の誕生 /ひつじ研究叢書(文学編)14 上製
謝惠貞
出版社:ひつじ書房
出版年:2021年12月
コード:   424p   ISBN/ISSN 9784823411090
 
価格 6,820円
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日本統治期台湾の文学において、横光利一の「純粋小説論」や作品が与えた影響は大きく、また、その影響は中国や韓国など東アジアに広がる。
本書は、日本統治期において台湾人作家がいかに横光を受容したかを解明し、台湾文学史の中にこれまで看過されてきた「台湾新感覚派」の誕生を文学史に正しく位置づける。
更に、韓国の李箱や中国に渡った劉吶鴎の横光受容や、新発見された横光の随筆「台湾の記憶」を通して台湾の表象を論じる。


目次:

序 章 日本統治期台湾における新感覚派
 1 なぜ台湾における「新感覚派」か
 2 東アジアにおける新感覚派の誕生のために

第一章 一九三二年―一九三六年横光利一受容の概観―楊逵と「純粋小説論」を中心に
 1 文芸復興の台湾への波及
 2 文芸大衆化との交差―「純文学・芸術派」の位相
 3 台湾における「純粋小説論」論争と楊逵による受容
 小結

第二章 明治大学での師事―横光利一「頭ならびに腹」と巫永福「首と体」
 1 文体模写の必要
 2 新形式の主張―「頭ならびに腹」との「象徴」の類似
 3 子僧の「反速度」論理を継承しながら身体の分裂を描く
 小結

第三章 構図としての「意識」の発見―横光利一「時間」と台湾最初の「意識の流れ」小説、巫永福「眠い春杏」
 1 「下層描写」という「苦節」―二人の文学反映論
 2 新感覚派模写からの展開―物語内容としての「意識」の発見
 3 「眠気」の系譜
 小結

第四章 植民地的メトニミーの反転―横光利一「笑われた子」と翁鬧「羅漢脚」
 1 翁鬧は新感覚派か
 2 変貌する植民地のメトニミー
 小結

第五章 翻訳による権威の流用、そして中国新感覚派の誕生―横光利一「皮膚」と劉吶鷗「遊戯」
 1 青山学院卒業生劉吶鷗の上海行と中国新感覚派の誕生
 2 翻訳集『色情文化』という文化戦略
 3 中国語短編集『都市風景線』による実践
 小結

第六章 越境する言葉とカメラアイ―横光利一「蝿」と鍾理和「蒼蝿」
 1 「言語を越えた世代」の受容
 2 『新版鍾理和全集』にみる横光利一と日本文学
 3 許されぬ恋愛・結婚というモチーフ
 4 カメラアイとしての蝿
 小結

第七章 孤独な受容―戦時下における龍瑛宗「邂逅」「ナポレオンと横光利一」による横光利一の受容
 1 大東亜文学者大会前後に登場した龍瑛宗の「借り物」
 2 「邂逅」における横光「頭ならびに腹」のパロディ
 3 「ナポレオンと横光利一」に見る龍瑛宗の「ナポレオンと田虫」批判
 4 龍の文学観および横光の「近代の超克」への反響
 小結

第八章 李箱「童骸」における橫光利一の受容―横光利一「頭ならびに腹」「皮膚」との比較を中心に
 1 朝鮮人モダニストによる横光受容の再考
 2 汽車に乗り込んだ「子供」の蘇生と敗北
 3 「唯物論」という触角―李箱の「準唯物主義」的芸術論と、横光の「唯物的文学論」
 4 分身としての女とデッドマスク―矛盾する欲望を描く遺書
 小結

第九章 東アジアにおける橫光利一「皮膚」受容の射程―劉吶鴎「遊戯」、翁鬧「残雪」、李箱「童骸」をめぐって
 1 はじめに―横光利一の「恋愛もの」における「皮膚」作品群
 2 モダンガールが反射したナンセンスの射程
 3 モダンボーイの恋愛論の敗北とモガの他者化
 4 結社による宣伝と越境する言語
 小結

終章 「台湾新感覚派」の系譜―文体と題材の受容と変容

付録論文一 『定本横光利一全集』未収録随筆「台湾の記憶」その他―『台湾日日新報』における横光利一
 1 横光利一にとっての台湾
 2 資料の初出と本文の翻刻
 3 初出紙『台湾日日新報』と横光利一
 4 執筆時期と内容概要
 5 台湾における「天使」の連載と「純粋小説論」論争
 小結

付録論文二 「雅歌」「盛裝」「天使」における「純粹小説論」の実践他―横光利一にとっての外地「台灣」の視点から
 1 横光利一の台湾表象
 2 「純粋小説論」における新ジャンルの実験
 3 『台灣日日新報』に純粹小説「天使」を連載する必要性
 4 「雅歌」「盛裝」における、台湾というシンボル
 小結

巻末資料
1 「純枠小説論」論争関連 新発見資料
 ①光明靜夫〈文芸評論 魂の動きと思想の流れから来る文学〉(『台湾新聞』、一九三五年四月二四日)
 ②鶴丸詩光〈文藝詩評 伏字の陳列―「鈴木・都山・八十島」等―(下)〉(『台湾新聞』、一九三五年四月十七日)
 ③中川國雄〈文藝時評 批評精神の問題(上)〉(『台湾新聞』、一九三五年五月一日)
 ④楊士禮〈小説文学(上)〉(『台湾新聞』、一九三五年四月二七日)
 ⑤四天王龍馬〈評論の粗雜性 光明氏の魂の文学とは何ぞや〉(『台湾新聞』、一九三五年五月一日)
 ⑥伊思井日出夫〈純粹小説に就いて〉(『台湾新聞』、一九三五年五月四日)
2 愛知県瑞陵高校蔵巫永福学籍簿資料表
3 愛知県瑞陵高校蔵巫永福学籍簿資料裏
4 巫永福入学時明治大学文科要覧カバー
5 巫永福入学当時明治大学文科要覧内ページ(1)
6 巫永福入学当時明治大学文科要覧内ページ(2)
7 巫永福入学当時明治大学文科要覧内ページ(3)
8 巫永福入学当時明治大学文科要覧内ページ(4)
図1 『定本横光利一全集』に未収録の資料「台湾の記憶」(『台湾日日新報』、一九三八年五月一日)
図2 漢文『台湾日日新報』一九二八年一一月七日夕刊
図3 『台湾日日新報』一九三〇年四月二六日
図4 『台湾日日新報』一九三〇年一〇月八日
図5 『台湾日日新報』一九三一年一月二二日
図6-1 竹本伊一郎『1932台湾株式年鑑』(台湾経済研究会一九三二年九月)
図6-2 竹本伊一郎『1932台湾株式年鑑』(台湾経済研究会一九三二年九月)
図6-3 竹本伊一郎『1932台湾株式年鑑』(台湾経済研究会一九三二年九月)

謝辞
参考文献
初出一覧
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