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神仏融合の東アジア史
上製
吉田一彦 編
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出版社:名古屋大学出版会 |
出版年:2021年02月 |
コード: 728p ISBN/ISSN 9784815810214 |
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日本独自の宗教現象だと考えられてきた「神仏習合」。しかし、神信仰と仏教の融合はアジア各地域で広く見られる。インド・中国から北東・東南アジアまで多岐にわたる「神仏融合」の実態を解き明かし、一国史的な認識を超えて新たに日本の宗教文化を捉え直す。
目次: 序章 東アジアの神仏融合と日本の神仏融合(吉田一彦)
第1章 多神教としての仏教とその東流——東アジア仏教における神仏信仰の基盤(曾根正人) はじめに——神仏習合論の現状と問題点 1 研究史におけるインド仏教と東アジア仏教 2 インド仏教の多神教世界 3 インド仏教世界の神々 4 多神教としてのインド仏教の中国流入 おわりに——東アジアの神仏関係の解明へ
第Ⅰ部 中国における神仏融合の歴史的諸相 第2章 「神」「仏」理解からみた中国宗教(荒見泰史) はじめに 1 言語からみた信仰・宗教上の理解の差異——「天」、「神」、「仏」を中心に 2 中国における「天」、「神」、「仏」の位置関係 おわりに 第3章 敦煌における儒教と仏教(髙井龍) はじめに 1 敦煌における儒教社会 2 伯三八〇八「長興四年中興殿応聖節講経文」考 3 伯三〇九三「仏説観弥勒菩薩上生兜率天経講経文(擬)」考 4 儒教社会における講経文 おわりに 第4章 宋代の水陸会にみる三教融合——南宋仏画における普度儀礼と使者を中心に(高志緑) はじめに 1 水陸会に招請される三教の諸尊 2 水陸会に内包される普度儀礼と追善供養 3 南宋仏画に描かれる使者の役割と分類 おわりに 第5章 明清時代の祠廟信仰と仏教——城隍神の冥界裁判を中心に(水越知) はじめに 1 中国における冥界裁判の観念と城隍神の台頭 2 城隍神の冥界裁判 3 “幽明一体”の司法 4 空間から見た城隍廟 おわりに
第Ⅱ部 東アジアにおける神仏融合の地域的展開 第6章 祭山儀にみる契丹の信仰——謁菩薩堂儀の位置づけをめぐって(藤原崇人) はじめに 1 契丹とその後継国家における信仰 2 祭山儀について 3 契丹後期における祭山儀と仏教 おわりに 第7章 ベトナムの神仏融合と道教(大西和彦) はじめに 1 ベトナムの「神道」における道教の優勢 2 李朝期の神仏融合と巫覡ならびに道教 3 貝渓寺の菩薩真人 4 後黎朝期に観音を祭祀する女巫と符水師 5 柳杏聖母信仰と仏教の関係に介在する道教 おわりに 第8章 台湾における道教と仏教(松本浩一) はじめに 1 台湾の道教と仏教 2 台湾の宗教儀礼 おわりに 第9章 マレーシアの寺廟にみる神仏融合(二階堂善弘) はじめに 1 マレーシアの寺廟 2 民間信仰の受容と展開 3 マレーシアの民間宗教の発展と独自性 おわりに——マレーシアにおける神仏融合
第Ⅲ部 東アジアのなかの日本の神仏融合 第10章 鬼と神と仏法——インド・中国・日本:役行者の孔雀王呪法を手がかりに(吉田一彦) はじめに 1 『続日本紀』に記される役小角 2 『日本霊異記』上巻第二八の役優婆塞 3 孔雀王経典の翻訳 4 奈良時代における孔雀王経典と孔雀王信仰 5 役行者と葛城峯一語主大神の関係 6 孔雀王経典における仙と鬼神 おわりに——鬼神と仏法 第11章 地天の変容——毘沙門天の脚下で(高橋早紀子) はじめに 1 地天単独系統の成立と展開 2 地天・二鬼系統の成立と展開 3 地天に支えられた毘沙門天の日本的展開 おわりに 第12章 ガラン神考——三河・信濃・遠江国境地域から見た神仏交渉史の一断面(脊古真哉) はじめに 1 中国の伽藍神 2 日本禅宗における中国伽藍神の受容 3 伽藍神と土地神 4 顕密仏教の伽藍神 5 民俗宗教のガラン神 おわりに 第13章 観音・媽祖・マリア——近世長崎における清国海商とかくれキリシタン(松尾恒一) はじめに 1 長崎貿易と媽祖信仰 2 キリスト教禁制下における明清国海商の管理 3 航海の女神としての媽祖と観音 4 マリアと観音——慈母神となった白衣観音 5 潜伏キリシタンのマリア信仰と観音 おわりに
第Ⅳ部 日本における神仏融合の歴史的展開 第14章 古代における神仏の融合(吉田一彦) はじめに 1 中国の神仏融合思想の受容 2 中国の仏書の記述 3 8、9世紀における神宮寺の建立 4 〈護法善神〉の思想の受容 5 〈鎮守〉の思想 6 神仏の聖地としての山——山岳寺院と神信仰 おわりに——日本の神仏融合の歴史的特質 第15章 平安時代における神の変容——神仏融合と神仏隔離(関山麻衣子) はじめに 1 神身離脱と神宮寺の建立 2 神の罪の実相 3 神仏関係に求められたもの 4 新羅の神仏融合との比較 おわりに 第16章 中世の神と仏——〈神仏習合〉再考(上島享) はじめに——新たな視座を求めて 1 日本古代の神身離脱説話を読みなおす 2 地主神の力 3 新たな神仏習合の進展——神と仏との接近 4 本地垂迹思想形成の歴史過程——その社会的背景 5 和光同塵——神々が果たす独自の役割 おわりに——日本という枠組を超える日本の神々 第17章 中世の神仏関係から近世へ——特に神本仏迹説をめぐって(伊藤聡) はじめに 1 神本仏迹説をめぐる研究史 2 中世神道説の出現と本地垂迹説 3 神本仏迹説の登場 4 神本仏迹説の展開 5 吉田神道の神本仏迹説 おわりに
終章 神仏習合説形成史の批判的考察(吉田一彦) はじめに 1 宗教の構成 2 辻善之助の学説の成果と問題点 3 津田左右吉の学説の成果と問題点 4 「神仏習合」説の展開と研究の現段階 おわりに
編者あとがき 図表一覧 索引 執筆者一覧
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