宣教と適応 グローバル・ミッションの近世
上製
齋藤晃 編
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出版社:名古屋大学出版会 |
出版年:2020年02月 |
コード: 554p ISBN/ISSN 9784815809775 |
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異文化と出会った〈普遍〉の使者たち——。大航海時代から啓蒙時代にかけて、アジアやアメリカに派遣されたイエズス会士らは、現地社会に適応することで布教を試みる。だが、それは今日なお解決しえない難問の蓋を開けることだった。異文化適応を軸にキリスト教の世界宣教の全体像に迫る、待望の著作。
目次: 凡例 序章 宣教師の異文化適応を再考する(齋藤晃) 1 近世カトリックの海外宣教 2 宣教師の異文化適応 3 適応の研究
Ⅰ 宗教をめぐる対話 第1章 本質的なものと中立的なものの間で——南米植民地の辺境地域における宣教師の知識と適応(ギジェルモ・ウィルデ/金子亜美 訳) 1 本質的なものと中立的なもの——適応のジレンマ 2 教会制度と適応政策の限界 3 信仰を翻訳する 4 秘跡を置き換える 5 適応の裏面——先住民による流用とミメーシス おわりに 第2章 福音以前の祖先と「粗野な人びと」の救済——16世紀の日本とペルー(齋藤晃) 1 中近世ヨーロッパの救済論 2 日本人の祖先の救済 3 ペルーの「粗野な人びと」の救済
Ⅱ 理性と科学 第3章「奇跡」と適応——イエズス会宣教師による「理性」概念の形成と日本(折井善果) 1「適応」「理性」「奇跡」——インドの事例 2「奇跡」の不在の意味——日本での経験 3 神の摂理としての適応 4 “理性的な”カテキズム 5 “理性的な神の存在証明”とは何か おわりに 第4章 学知と宣教——在華イエズス会士による適応の変容(新居洋子) 1 西洋の学問体系の漢訳 2 朱子学への対応からみる適応 おわりに
Ⅲ 翻訳と包摂 第5章 天主と耶穌——明末における受難のナラティブ(中砂明徳) 1 テクストの性質 2 ルッジェーリ『天主実録』からリッチ『天主実義』へ 3 ポスト・リッチ おわりに——顔を持つイエス 第6章 帝国のなかの福音——ムガル帝国におけるペルシア語キリスト教典籍とその周辺(真下裕之) 1 ムガル帝国という環境——16世紀後半~17世紀初頭 2 J・ザビエルの活動と著作 3『神聖性の鏡』 4『鏡』と既存の文献群との関係 5『鏡』の記事の分析 おわりに——『鏡』と帝国の普遍史 Ⅳ 美術を介した交渉 第7章 適応/消費/収奪——征服後メキシコにおける宣教と先住民共同体の美術(岡田裕成) 1 托鉢修道会による布教区建設と先住民の共同体 2 宣教師と羽根モザイクの美術 3 消費される「先住民的なもの」 4 収奪か、交渉の回路か おわりに 第8章 教育と芸術におけるヴァナキュラー——日本イエズス会セミナリオの学校教育と絵画制作(小谷訓子) 1 ヴァリニャーノの指針 2 セミナリオ 3 教育プロジェクトにおける現地への適応 4 日本イエズス会の芸術制作 5 芸術作品に見る現地への適応 6 模倣の芸術——イエズス会セミナリオの絵画 おわりに
Ⅴ 適応の限界 第9章 僧形の宣教者——日本イエズス会の同宿と「適応」の限界(岡美穂子) 1 ヴァリニャーノによる「適応」方針と日本人宣教者 2 日本人イルマン 3「適応」廃止論と同宿の離脱 おわりに 第10章 適応に抗した宣教者たち——アルバレスとデ・ラ・クルスの場合(網野徹哉) 1 背景となる歴史 2 アコスタの適応論 3 反適応論者バルトロメ・アルバレス 4 ペルー教皇フランシスコ・デ・ラ・クルス——仮想的世界における適応 おわりに Ⅵ 普遍と文明 第11章「適応」と言語普遍——他者認識のプロセスと〈普遍〉の変容(鈴木広光) 1 非西欧世界の階層化と言語普遍 2 2つの逆説——古典ナワトル語文法書に見る「再バベル」化と〈普遍〉の強化 3 語尾変化から助辞接続へ——アラウコ語名詞における〈双数〉表示 4〈普遍〉の後——投影された「スペイン語」とラテン語 5 他者認識のプロセスと「適応」の論理 第12章「文明化」の方向転換——レナル/ディドロ『両インド史』のイエズス会パラグアイ布教区叙述をめぐって(王寺賢太) 1 イエズス会宣教論と「野生人の文明化」 2『両インド史』と七年戦争後のパラグアイ布教区叙述 3 神権政と共有財産制の理想郷?——インカ帝国とパラグアイ布教区の対比論 4 消え去る理想郷——パラグアイ布教区評価の反転 5「文明化」の方向転換とその裏面
あとがき 図表一覧 索引
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