対日協力者の政治構想 日中戦争とその前後
上製
関智英
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出版社:名古屋大学出版会 |
出版年:2019年10月 |
コード: 618p ISBN/ISSN 9784815809638 |
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日中戦争には、抗日と同時に、占領地における協力の側面もあった。しかし多様な協力者たちは戦後、漢奸として糾弾され、その歴史も未完の政治構想とともに葬り去られた。本書はこの影の側面に光を当て、戦争の全体像に迫るとともに、占領から始まった戦後日本に鋭い眼差しを投げかける。
目次: 凡例 地図 緒論 1 中国人亡命者夏文運の回想——はじめに 2 近代日中関係と日中戦争 3 19世紀末から20世紀前半にかけての中国 4 占領地政権の変遷 5 先行研究整理——「漢奸」評価の影響とその相対化 6 課題の設定と分析の方法 7 本書の構成
第Ⅰ部 様々な政治構想——日中戦争勃発前後 第1章「冀東」の構想——殷汝耕と池宗墨をめぐって 1 ある未亡人の帰国——はじめに 2 冀東政府と日本 3 殷汝耕・池宗墨の経歴 4「民心の趨向」を重視——冀東政府成立以前の殷汝耕の議論 5 冀東政府長官として——冀東政府成立後の殷汝耕の議論 6 教育者・実業家として——冀東政府参加以前の池宗墨の議論 7 冀東政府の理論的支柱——冀東政府以後の池宗墨の議論 8「防共」と「聯省自治」 9 殷汝耕・池宗墨に対する議論 10 小結 第2章 張鳴の「五族解放」「大漢国」論 1 嘉治隆一の台湾紀行——はじめに 2 日中戦争勃発以前の張鳴 3 日中開戦前後の張鳴の主張 4 小結 第3章 呉佩孚擁立工作と日支民族会議 1 陳舜臣と司馬遼太郎——はじめに 2 盧溝橋事件の勃発と維持会の成立 3 呉佩孚とその周辺 4 3つの自治団体 5 正大社 6 日支民族会議 7 小結 第4章 上海市大道政府と西村展蔵の大道思想 1 ネズミ講騒動と天下一家——はじめに 2 宗教家西村展蔵 3 上海市大道政府 4 政府関係者の経歴と思想 5 大道政府に対する反応 6 大道政府の終焉 7 小結
第Ⅱ部 現実的な選択へ——日中戦争下の占領地政権 第5章 中華民国維新政府指導層の時局観 1 ある中国人亡命者の検挙——はじめに 2 維新政府とその要人 3 維新政府の議論 4 小結 第6章 袁殊と興亜建国運動——汪精衛政権成立前後の占領地の動向 1 児玉誉士夫の日記——はじめに 2 袁殊と岩井英一 3 興建運動の人と組織 4『興建』と袁殊の主張 5 その他のメンバーの主張 6 興建運動に対する反応 7 汪政権成立後の興建運動 8 小結 第7章 占領地と憲政 ——汪精衛政権の憲政実施構想 1 火野葦平の記念写真——はじめに 2 日中戦争前の憲政実施をめぐる動き 3 占領地における憲政の議論 4 汪政権成立と憲政実施 5 憲政実施委員会での議論 6 小結 第8章 忘れられた革命家伍澄宇と日中戦争 1 トップ女優阮玲玉の顧問辯護士——はじめに 2 アメリカでの活動 3 辛亥革命後の活動 4 帰国後の活動——政界から法曹界へ 5 日中戦争期の活動——占領地での言論活動 6 小結
第Ⅲ部 日本敗北の中で——日米開戦から戦後へ 第9章 日中道義問答——日米開戦後の占領地中国知識人 1 45年ぶりの再会——はじめに 2 高山岩男論文の要旨 3 中国知識人の反論 4 議論の収束 5 小結 第10章 日中戦争末期の“中国人の代辯者”吉田東祐 1「張三李四俗人たち」への眼差し——はじめに 2 上海に渡るまで 3 上海での生活 4 対重慶和平工作への関与——姜豪工作 5 上海での活動 6『申報』を中心とした言論活動 7 小結——戦後の動き 第11章 戦前戦後を越える思想——政論家としての胡蘭成 1「色・戒」——はじめに 2 胡蘭成について 3 中国での議論 4 日本亡命後の議論 5 小結 第12章 中国人対日協力者の戦後と日本——善隣友誼会設立への道 1「亡命天国ニッポン」——はじめに 2 亡命のパターン 3 日本の国際社会復帰と亡命者問題 4 旧軍人の請願と実態調査 5 亜東工商協会の請願 6 善隣友誼会とその活動 7 小結
結語 1 本書の試み 2 今後の課題——より深く広がりを持った日中関係史構築に向けて
註 あとがき 図表一覧 索引
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