基層政権 中国農村制度の諸問題
張静/金山,韓艶麗,王艶珍 訳
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出版社:京都大学学術出版会 |
出版年:2024年02月 |
コード: 412p ISBN/ISSN 9784814005185 |
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よく使われている「集権体制」あるいは「中華帝国」——こうした言葉に我々は、上から下まで完全に統制された社会像をイメージする。しかし中国社会の状況は必ずしもそうではない。基層すなわち末端のコミュニティに暮らす人々にとって、多くの場合、国家は象徴的な存在に過ぎず、彼らの実際の生活は、郷、鎮や村といった基層社会の独自の民間規範/制度のもとで暮らしているのだ。その特徴は、数千年の古代以来変わらない。徴「税」の実態、団体紛争、幹部の人事変更及び村民の上訴事件等々……実際の事例に基づいた政治社会学的分析で、中国基層社会の政治経済構造に迫った名著が日本語に!
目次: 初版の序論 2006年版への序文 2018年版への序文
第1章 歴史:地方権威の授権源 1 官制以外の地方管理 2 公的地位の取得と制度的支援 3 権力基盤:地方共通の利益の構築 4 地方権威の官制授権体系への侵入 5 地方体の解体:地方権威と地方社会の分離 6 利益分離構造の継続 7 授権源と国家政権建設
第2章 役割の競合:公共サービスと独占経営 1 新しい役割:公共資源の独占経営集団 2 公的職位の功利化 3 村レベルの土地財産の「共有」と「独占」 4 独占権の拡大:資産の貨幣化と「流動可能化」 5 利益,資本と税金費用の混合徴収と使用 6 人事制度:独占権の支援体系 7 安定度の低い基礎構造
第3章 郷規民約に見られる村の管理権 1 村の「構成員」資格 2 村民が権利を享受する条件 3 個人と全体の関係の調節 4 郷規民約の基本的性質
第4章 基層財政・税務制度及びその政治的結果 1 歴史的遺産 2 「集団蓄積」の策定と徴収 3 郷と村における実効課税権 4 制御システムの不備 5 自分で自分を監督すること
第5章 人事異動及び組織化協力 1 行政と政治の共生 2 基層組織の人事異動 3 郷村の二つのレベルにおける幹部ネットワーク 4 内部支持獲得に向けた選挙戦の方法 5 郷村選挙:社会的利益の組織化 6 代表制自治と権威主義的自治
第6章 農村政治の観察 1 問題の背景 2 四つの事例とその分析 3 議論その一:農村政治の特徴 4 議論その二:農村政治と国家政治
第7章 個人と公共―2種類の関係の混在と変形 1 個人関係と公共関係 2 理念と行為の矛盾と統一 3 個人関係による公共事務の運営 4 個人的関係の公共性への伸展 5 パブリック・リレーションズの変容:新しい庇護関係 6 潜在性問題の議論
第8章 分割的な管轄権 1 財政地域請負制:暗黙の租税権 2 土地請負:暗黙に認められていた資源の支配権 3 集合所有権の役割 4 ディスカッション:分断された構造と国家の役割
第9章 村民と国家 1 問題 2 成員権と公民権との矛盾 3 国家の役割の現代的転換 4 結語
第10章 農村制度に関する諸問題 1 いくつかの特徴 2 政治社会学的意義 3 若干の関連問題
索引
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