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古典戯曲と東方文化 上製
鄭伝寅/朱虹 訳
出版社:京都大学学術出版会
出版年:2023年01月
コード:   508p   ISBN/ISSN 9784814004157
 
価格 6,600円
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歌舞と科白、韻文と散文が交じり合い、様式性と仮想性に富む東洋の伝統演劇。その共通点は文化の伝播で説明できるのか。どういう違いがあり、それはどこから生まれてきたのか。多数の中国戯曲と能・狂言、サンスクリット劇、唱劇(朝鮮半島)、トゥオンやチェオ(ベトナム)などを比較考察する。また、宋元南戯・元雑劇・明清雑劇・明清伝奇の幅広い宗教劇の演目に焦点を当て、その特徴、時代による変遷、社会背景などを浮かび上がらせる。

目次:
日本語版自序(鄭伝寅)
翻訳にあたって(朱虹)
凡例

序論

上編 古典戯曲と東方演劇
 第一章 インドサンスクリット劇(梵劇)と中国戯曲との比較
 一、中国とインドにおける伝統演劇の相違点
 (一)戯曲と梵劇における性質の違い
 (二)戯曲と梵劇における文体の違い
 二、中印演劇スタイル「相似」説への質疑
 (一)中印演劇スタイル「相似」説の提起
 (二)中印演劇文体の似て非なる点
 三、事例分析――『張協状元』と『シャクンタラー』
 (一)『張協状元』と『シャクンタラー』の共通点
 (二)『張協状元』と『シャクンタラー』の相違点
 第二章 日本の能・狂言と中国戯曲との比較
 一、中国戯曲は日本の伝統演劇の「母胎」である
 (一)漢唐の「百戯」と能・狂言の創生
 (二)元雑劇と能楽の創生
 二、中日伝統演劇が果たす文化的役割
 (一)中国戯曲――主流文化に排斥された「異端」
 (二)能――将軍、幕府、大名の「式楽」
 (三)狂言――能に従属する「式楽」
 三、中日伝統演劇の形態における比較
 (一)芸術構成――高度総合化
 (二)表現形式――高度様式化
 (三)審美形態――悲喜中節
 四、中日伝統演劇のテキスト様式の比較
 (一)能と狂言――「具体而微」の小型演劇
 (二)中国戯曲――「体大思精」の大型演劇
 (三)能・狂言の役柄――シテとワキ
 (四)中国戯曲の役柄――行当化
 (五)能のテキスト様式
 (六)狂言のテキスト様式
 (七)中国戯曲のテキスト様式
 第三章 中国戯曲とベトナム演劇との比較
 一、中国戯曲とチェオとの異同
 (一)戯曲とチェオの創生
 (二)戯曲とチェオとの異同
 二、中国戯曲とトゥオンとの比較
 (一)戯曲とトゥオンの創生
 (二)戯曲とトゥオンとの精神特質の比較
 (三)戯曲とトゥオンとの形式特徴の比較
 第四章 朝鮮の唱劇と中国戯曲との比較
 一、中国戯曲と唱劇の創生
 二、唱劇と中国戯曲における精神的な特質の比較
 (一)倫理的精神
 (二)宗教の智慧
 三、唱劇と中国戯曲における形態の比較
 (一)芸術構成上の高度総合化
 (二)審美形態上の悲喜中節

下編 古典戯曲と東方宗教
 第一章 東方宗教の特徴及び戯曲にとっての意義
 一、東方宗教の若干の特徴
 (一)歴史の悠久さ
 (二)宗教の多様さ
 (三)異教の包容
 二、戯曲にとっての東方宗教の意義
 (一)多神信仰と戯曲による宗教意象の摂取
 (二)東方宗教の智慧及び戯曲の独特な面貌
 第二章 宋元南戯における宗教劇
 一、宋代宗教の基本状況
 二、宋元南戯の中の宗教劇の演目
 第三章 元雑劇における宗教劇
 一、金元宗教の基本状況
 (一)金代の仏教と道教
 (二)元代の仏教と道教
 (三)金元代のその他の宗教
 二、元代宗教劇の演目と主題類型
 (一)仏教類の演目と主題類型
 (二)道教類の演目と主題類型
 (三)仏道混合類の演目と主題類型
 三、元代宗教劇の含意
 (一)度人の筏
 (二)処世の仕方
 四、元代宗教劇の遊びの要素
 (一)物語構造における遊戯性
 (二)人物描写における遊戯性
 第四章 明代戯曲における宗教劇
 一、明代宗教の基本状況
 (一)明代の仏教
 (二)明代の道教
 (三)明代のその他の宗教
 二、明代宗教劇の演目と主題類型
 (一)明雑劇における宗教劇の演目と主題類型
 (二)明伝奇における宗教劇の演目と主題類型
 三、明代宗教劇の特徴
 (一)人生に着眼し、人間性を照らし出す
 (二)煉丹を服し、不老長生を図る
 (三)仙仏が錯綜し、三教が融和する
 四、明代戯曲の宗教の腐敗現象に対する告発
 (一)活仏は屠戸に如かず、唖禅は自らを欺き人を欺く
 (二)僧尼は財を貪り色を好んで、寺廟は汚を蔵し垢を納む
 (三)悪僧は人を殺し貨を越し、盗匪と勾結して謀反す
 第五章 清代戯曲における宗教劇
 一、清代宗教劇の基本状況
 (一)清代の仏教
 (二)清代の道教
 (三)清代のその他の宗教
 二、清代宗教劇の演目と主題類型
 (一)清雑劇における宗教劇の演目と主題類型
 (二)清伝奇における宗教劇の演目と主題類型
 三、清代宗教劇の特徴
 (一)演目の増加
 (二)革新力不足
 (三)布教に対する熱意の低下
 (四)世俗性の突出

『古典戯曲と東方文化』後序(程芸)
索引
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