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中国前近代の関津と交通路
上製
辻正博 編
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出版社:京都大学学術出版会 |
出版年:2022年03月 |
コード: 390p ISBN/ISSN 9784814003877 |
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曹操が、煬帝が、西太后が行き交った交通の要衝——関所と渡し場、峠と回廊の実像を探る。地形や河道の変化、王朝の興亡と遷都、政治制度の変化は、いにしえの中国を旅する人びとに大きな影響を与えてきた。しかしその詳細に注意が払われないまま中国史が論じられている。旅の舞台となった関津・交通路のすがたを、最新の地形分析と精緻な文献解釈、多次にわたる現地調査の成果により多角的に解明。中国前近代の旅の姿を、リアルに浮かび上がらせる。多彩な図版とともに送る、道からみる中国史。
目次: 口絵 解題―序に代えて(辻正博) 凡例
第Ⅰ部 関津―関所と渡し場・橋梁 第1章 衛星画像と地形データ(DEM)を利用した歴史的場所の検討(小方登) 1 歴史地理学研究への衛星画像の活用 2 数値標高モデル(DEM)の利用 3 洛陽盆地 4 潼関 5 潼関附近の土地区画と泗州城 6 鎖陽城 おわりに 第2章 潼関の廃置・移設と武則天の「神都圏」構想(辻正博) はじめに 1 潼関の設置と隋の南北関城 2 武則天の「神都圏」構想と潼関の廃置 3 近世の潼関 おわりに 第3章 蕭関の機能的特徴と地理的位置についての一考察―とくに旧関関係史料の分析に重点を置いて(福原啓郎) はじめに 1 蕭関の沿革 2 詩跡としての蕭関 3 蕭関の機能的特徴とその否定的側面 4 蕭関の地理的位置 おわりに 第4章 黄河下流平原の「津」―リモートセンシングデータを利用した黄河古河道復元(長谷川順二) はじめに 1 黄河下流平原の「津」に関する先行研究 2 戦国~唐代における黄河下流平原の「津」 3 黄河下流平原における「津」の変遷―今後の「津」研究に向けて 第5章 唐代の蒲津渡と東渭橋をつなぐ交通路(宇都宮美生) はじめに―発見相次ぐ橋梁遺跡 1 唐代の黄河の蒲津渡 2 唐代の渭水の渭橋 おわりに―交通幹線道と渡津・橋梁 第6章 唐宋時代における僧侶の旅と交通―過所・公験・公憑(松浦典弘) はじめに 1 唐以前における僧の移動に対する制約 2 唐代における僧の移動に対する制約 3 宋代における僧の移動に対する規制 4 過所・公験・公憑 おわりに 第7章 鷄鳴駅の変遷―堡・駅から観光施設へ(千田豊) はじめに 1 鷄鳴駅の成立と堡としての価値 2 清代の鷄鳴駅 おわりに 第8章 蜀道から考える関塞としての秦嶺(小島泰雄) はじめに 1 蜀道 2 桟雲峡雨日記 3 関中盆地・宝鶏から漢中盆地・褒城への旅程 4 快速の秦嶺越 おわりに
第Ⅱ部 交通路―街道と水路 第9章 黄巷・金陡関と潼関―関所の移置と街道の変遷(辻正博) はじめに 1 黄巷・黄巷坂 2 金陡関―潼関の東に置かれた関門 3 20世紀以降の交通路の変化と潼関―結びに代えて 第10章 河西回廊における遺跡・交通路・オアシスの位置関係―漢代・唐代の敦煌と瓜州を中心に(森谷一樹) はじめに 1 楡林河~蘆草溝のふたつの扇状地と遺跡の分布 2 『唐代交通図考』にみえる唐代交通路の検証 3 蘆草溝オアシスのふたつの囲郭遺跡 4 懸泉置漢簡にみえる漢代交通路との比較 おわりに 第11章 太行陘・白陘古道の歴史的意義―古道関連の関塞・集落遺址調査を踏まえて(塩沢裕仁) 緒言 1 太行陘の景観復元 2 白陘 3 太行陘および白陘古道関連遺跡 結語 第12章 武関道から商洛道へ―関中平原~南陽盆地間の交通運輸(侯甬堅/小野響 翻訳/辻正博 監訳) はじめに 1 商洛古道開鑿の地質学的前提 2 商洛古道の交通運輸と道路事情の改善 3 商洛山間部における近代的自動車道の登場 4 丹江水運における航行距離の短縮 5 商洛古道研究における未解決の諸問題 結論―外部地域による制約と商洛古道の交通運輸 第13章 前近代中国中原の穀倉の発展と交通路―実地踏査による新知見を交えて(宇都宮美生) はじめに 1 隋唐以前の穀倉の諸相 2 隋の穀倉とその運営 3 唐の穀倉とその運営 おわりに―穀倉と交通 第14章 破岡瀆―建康と三呉の間(張学鋒/千田豊 翻訳/辻正博 監訳) はじめに 1 破岡瀆の開鑿とその流路 2 建康と三呉の間 3 破岡瀆と六朝時代の海外交通 おわりに 第15章 前近代中国の運河―洛陽・揚州間の隋・唐・宋運河遺跡をたどって(宇都宮美生) はじめに 1 通遠渠と通済渠西部分―河南省洛陽と洛口(黄河合流点)の間 2 黄河―洛口・汴口間 3 通済渠東部分(汴河)―汴口・泗州間 4 旧淮河と洪沢湖 5 淮揚運河―淮安・揚州・瓜洲の区間
おわりに あとがき(辻正博) 索引(人名・地名・事項) 執筆者・翻訳者紹介
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