ケアと家族愛を問う 日本・中国・デンマークの国際比較
/青弓社ライブラリー105
宮坂靖子 編著
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出版社:青弓社 |
出版年:2022年03月 |
コード: 248p ISBN/ISSN 9784787235022 |
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女性労働力率が高いという共通点をもつ三カ国をインタビューやアンケートから分析して比較する。それらを通して、日本のケアネットワークと愛情規範の特徴を明らかにし、ケアと愛情が強く結び付いて性別役割分業を根強く残存させている実態を浮き彫りにする。
日本では、女性が育児・親の介護などのケアを担うことが望ましいと見なされている。しかし、人々のライフコースは個人化・多様化し、女性の就労は今後も増え続けるだろう。こうした社会的な状況のなかで、子育てや高齢者介護などのケアを誰がどのように担っていくのかは大きな課題である。
近代家族化と脱近代家族化のプロセスは異なるものの、女性労働力率が高いという共通点をもつデンマーク・中国と日本とをインタビューやアンケートをもとに分析して比較する。それらを通して、日本のケアネットワークと愛情規範の特徴を明らかにし、ケアと愛情が強く結び付いて性別役割分業を根強く残存させていることを浮き彫りにする。
そして、個々人のwell-beingを保障し、ケアする側の権利とケアされる側の権利を尊重しながら親密な関係性を築くことを可能にする家族と社会的ネットワークのあり方や、そのような関係性を形成し持続していくための要件を、脱家族化の視点から模索する。
目次: はじめに(宮坂靖子)
第1章 日本・中国・デンマークの若者のケア意識(磯部香) 1 日本・中国・デンマーク三カ国の子育てと女性たち 2 三カ国の介護システムについて考える――介護の社会化、そしてグローバル化へと舵を切る日本 3 調査対象者と分析方法について 4 三カ国の若者たちが描く結婚・子育て――三カ国大学生が希望する子どもの数
第2章 デンマークで子育てに関わるのは誰か――職業キャリアと親業のはざまで(青木加奈子) 1 デンマークの「二人稼ぎ手、二人ケアラー」を支える政策 2 「二人稼ぎ手、二人ケアラー」意識の浸透と実態 3 「二人稼ぎ手、二人ケアラー」の日常生活
第3章 育児は誰の責任なのか――中国都市家族の育児パターンの変化を手がかりに(鄭楊) 1 一九四九年以後の育児の変化 2 育児パターンの変化と子ども中心主義の帰結 3 国家政策からみた育児の責任 4 インタビュー調査と分析
第4章 中国の高齢者は誰がケアするのか――大連市での調査を例に(李東輝) 1 中国高齢社会の特徴と高齢者世帯の形態の動向 2 中国での高齢者福祉制度の整備と高齢者扶養方式の変容 3 中国での都市部高齢者扶養の現状とサポートネットワーク 4 中国都市部の高齢者サポートネットワークの特徴と今後の課題
第5章 ケアネットワークと子育てに対する感情の関係を問う(山根真理) 1 ケアネットワークと育児に関する意識の国際比較 2 母親調査にみる育児援助ネットワーク 3 育児のポジティブ/ネガティブな状態 4 育児援助は育児のポジティブ/ネガティブな状態とどのような関係か
第6章 幸せな家族に「専業母」は必要か――愛情規範の再編成(宮坂靖子) 1 なぜ「専業母」なのか 2 性別役割分業規範と専業母規範の国際比較 3 育児の評価と実際――育児満足度と育児行動 4 各地域の子育て 5 幸せな家族に専業母は必要か
おわりに(宮坂靖子)
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