日本の“中央ユーラシア”政策 トゥーラン主義運動とイスラーム政策
上製
シナン・レヴェント
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出版社:彩流社 |
出版年:2019年10月 |
コード: 268p ISBN/ISSN 9784779126215 |
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忘れられた対外政策と知られざるトゥーラン主義運動!
日露戦争以後の戦前・戦中期の対外政策論は、南進論と北進論に大きく整理されるが、東西に向かうベクトルがあったことは忘れがちである。西欧の白人主導の帝国主義の時代、アジア系民族出自のハンガリーで形成されたトゥーラン主義(民族的にはオスマン帝国のトルコ人、ソ連治下の中央アジアにおけるタタール人などのテュルク系の人々、ハンガリーのマジャール人、フィンランドのフィン人、モンゴル人、満洲人、朝鮮人、そして日本人が含まれるとされた)を受け入れた軍人の一部とアジア主義を掲げる知識人や活動家がトルコやソ連邦内のイスラム系民族との交流を深め、日本の影響力をユーラシア大陸全体に広げようと様々な運動を展開した。本書は、その知られざるトゥーラン主義運動の全貌とイスラム政策のあり方を検証する労作である。
目次: 刊行によせて 序論
第一章 テュルク系ムスリムと日本との接触 1 満洲におけるテュルク系ムスリム社会と日本 2 テュルク系ムスリム世界における日露戦争認識の実態 3 アブデュルレシト・イブラヒムの来日と東京モスク建設計画 4 亜細亜義会の設立と機関誌『大東』
第二章 日本におけるトゥーラン主義運動の前段階 1 シベリア干渉と大陸政策 2 在極東テュルク系ムスリム共同体の誕生 3 クルバンガリーとタガンの来日
第三章 日本へのトゥーラン民族運動の導入 1 トゥーラン民族運動の国際的展開 2 日本におけるトゥーラン主義運動
第四章 トゥーラン運動の再開とアジア主義的な展開 1 大道社及び月刊誌『大道』(1924年4月~1931年8月) 2 今岡の帰国(1931年12月) 3 日本トゥーラン協会の結成(1932年) 4 アジア主義におけるトゥーラン主義の位置づけ 5 トゥーラン主義によるテュルク世界と日本との接触──ムハッレム・フェイズ・トガユの事例
第五章 トゥーラン主義運動と「回教政策」との接合 1 満洲国建設以後の「回教政策」とテュルク系ムスリムの諸運動家の来日 2 東トルキスタン独立運動と日本の関与工作 3 関東軍と対ムスリム工作 4 駐蒙軍と対ムスリム工作 5 「回教政策」における1938年の意義 6 竹内好が見た大陸ムスリム 7 善隣協会と回教圏研究所
第六章 「回教政策」と日独による世界新秩序構想 1 杉山宣撫部隊と中央ユーラシア在住のムスリムに対する将来構想 2 今岡十一郎のトゥーラン・イスラーム国家論 3 反露方針について 4 日独両軍の反ソ諜報活動と白系ロシア人独立運動への協力 5 枢軸国による新秩序論 6 中央アジア横断鉄道論
結論 あとがき 引用・参考文献 註 人名索引
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