「ネオ・チャイナリスク」研究 ヘゲモニーなき世界の支配構造
上製
柯隆
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出版社:慶應義塾大学出版会 |
出版年:2021年05月 |
コード: 354p ISBN/ISSN 9784766427479 |
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巨龍はついに世界を呑み込むのか
中国のプレゼンスに対する危機意識(チャイナリスク)は「外国企業が中国国内で活動する際の不確実性と落とし穴」という従来の定義から「国際社会でのなりふり構わぬ挙動に世界はどう対峙するか」へとフェーズが大きく変わった。新旧体制が複雑に混在しつつも覇権奪取へと邁進する強国の実態を中国人エコノミストが切れ味よく解説する本格的現代中国論。中国とビジネスを行う企業にとってだけでなく、国際社会にとって、日本やアジアにとって、そして中国自身にとっても「チャイナリスク」の定義がいま大きく変わりつつある。この動向に対して、中国人エコノミストの視点から、経済的アプローチだけでなく、政治的・歴史的・文化面など多彩な角度で考察を加えていく。前著『中国「強国復権」の条件』は、「来日以来30年を経て、著者が改めて母国に送る忌憚のない建議書」と高く評価されたが、本書はさらによりスケールアップした内容となっている。
目次: 序章 中国の台頭と「ネオ・チャイナリスク」の浮上
第Ⅰ部 「チャイナリスク」の再定義 第1章 変化する「チャイナリスク」の意味 1 看過された「新たなる脅威の台頭」 2 いまだ問われない「独裁」と「文革」の責任 3 中国共産党にとっての「チャイナリスク」 4 世界にとっての「チャイナリスク」 5 日本にとっての「チャイナリスク」 第2章 リスクを生み出す既存制度の脆弱性 1 独裁的強権制度の脆弱性と歪み 2 正統性なき権力の不安定性 3 習近平の統治能力
第Ⅱ部 新しいチャイナリスクの諸相 第3章 チャイナリスクの制度分析 1 中国における国家と市場の「関係」 2 計画経済へと逆戻りする力 3 不安定化する中国社会のリスクの深刻度 第4章 韜光養晦から「戦狼」外交への展開 1 米中新冷戦の政治経済学 2 「一帯一路」と中国的ヘゲモニー 3 高まる東アジアの地政学リスク 第5章 経済自由化と国家資本主義――国有企業戦略の光と影 1 経済の自由化か統制強化か 2 人民の支持を失うリスク 3 国家資本主義推進と格差の拡大 補論 中国のプラットフォーマーBATHの行方 第6章 IT・先端技術大国化への道 1 中国的ヘゲモニーと既存の国際秩序 2 中国の「三つの世界」理論 3 習政権の国際戦略のあり方
第Ⅲ部 取り残される旧態部分 第7章 二極化で置き去りにされる階層 1 格差拡大の制度的背景 2 中国社会における格差拡大の性格 3 格差拡大の社会的リスクと展開 第8章 自由なきところに文化は育たず 1 狭まる経済の自由化 2 恐怖の政治と強化される管理・監視 3 疲弊する文化力 第9章 「改革すべきでない改革」とは何か 1 「改革・開放」の40年間の総括 2 国家資本主義の帰着点 3 中国のダイナミズムの行方 第10章 「赤い帝国」の興亡 1 中国の「平和的台頭」の副反応 2 「赤い帝国」の蜃気楼 3 東アジアの地政学リスク再考
終章 中国民主化への道程とネオ・チャイナリスクの行方
あとがき 参考文献
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