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淸代における日本漢文學の受容 上製
蔡毅
出版社:汲古書院
出版年:2022年03月
コード:   402p   ISBN/ISSN 9784762967122
 
価格 11,000円
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日中漢文學の相方向理解の實像を追う!〈南山大學學術叢書〉

【序章―日中文化交流の「逆輸入」―より】

 日本の漢文學の西傳、すなわち中國への「逆輸入」は、筆者が長年の間關心を抱いている課題である。今日に至るまで、凡そ日中の漢文學の交流について語る者であれば、例外無く中國古典文學の日本漢文學に對する壓倒的な影響に注目しているが、反對に日本漢文學もまた中國に傳わり、大なり小なり反響を呼んでいたというのに、こちらについては誰一人として顧みない。理由は明白である。このような「逆輸入」的な日中漢文學の往來は、その數量についていえば中國から日本への流れに對し比べ物にならないほど少數であり、ましてや中國の文壇に何らかの影響を與えたこともなく、時に誰かが話にあげたとしても多くは好奇の視線でもって話の種にしているのみであり、それに對して深い歴史的考察や文化の比較を行うわけではなかった。まさにこの故に、この課題が冷遇され、棚上げされてきたのも、理の當然のごとく思える。
 しかしながら、史籍を紐解けば、遣唐使より近代に至るまで、日本漢文學の西傳の軌跡は、目につくもの全てがそうであるとは言えないまでも所々に顔をのぞかせており、絲のように途切れず續いている。こうした史實の確認は、日中文化交流史の研究において、輕視できない認識上の意義を有している。この史實は、古代東アジアにおいて、漢字文化が一つの特殊な紐帶となり、異なる文明を持つ各國を緊密に繋げていたことを再度力強く示すものであり、文化交流は主從、強弱、高下の關係をもつと同時に、雙方向的な産物でもあり、「片貿易」の一方通行ではないことが證明される。そして、「詩書の國」からの使者として、古代中國人の日本への印象に、積極的な作用をもたらした。特に明治以後日中文化交流の立場の逆轉によって、日本漢詩が中國詩人に影響を與えたことも考えられる。よって筆者のこの一見周縁的で主流とは言えない研究課題は、きっと大風呂敷ではなく、一定の學術價値を持つであろう。


目次:


序 章――日中文化交流の「逆輸入」――
第一部 間接交流の時期――江戸時代
第一章 長崎に來航した淸客の活躍――賴山陽の『日本樂府』――
一、長崎淸客書簡の發見 
二、淸客江芸閣と沈萍香
三、江芸閣と賴山陽の『日本樂府』 
四、『日本樂府』を沈萍香から翁廣平へ
五、賴山陽の葛藤
第二章 漂流民の意外な貢獻――『歸帆送別之詩』――
一、寶力丸川沙漂流事故の經緯 
二、日中詩文贈答の意義
三、海を隔てた華夷思想の戰い
第二部 直接交流の時期――明治時代
第一章 來航者の日本漢詩との出會い
第一節 黄遵憲と明治の「文明開化新詩」
一、黄遵憲が見た日本漢詩 
二、黄遵憲と明治漢詩人の交流
三、黄遵憲と明治「文明開化新詩」
第二節 葉煒と『扶桑驪唱集』『煮藥漫抄』
一、『扶桑驪唱集』について 
二、『煮藥漫抄』について
第三節 陳曼壽と『日本同人詩選』
一、陳曼壽その人 
二、陳曼壽の來日 
三、『日本同人詩選』
第四節 梁啓超と明治の「漢詩改革」
一、「詩界革命」とは 
二、明治漢詩壇の新風 
三、梁啓超との接點
五、明言を避けた原因
第二章 中國での日本漢詩の受入れ
第一節 兪樾と『東瀛詩選』
一、『東瀛詩選』の成立の經緯 
二、『東瀛詩選』の編纂の特色
三、『東瀛詩選』の實際の影響
第二節 潘飛聲と『在山泉詩話』
一、石黑忠德 
二、井上哲次郎 
三、三木貞一 
四、日下部鳴鶴
五、北條直 
六、金井雄 
七、山崎謙 
八、遠田爲之
九、永井久一郎 
十、『歸省贈言』所収の詩人たち 
十一、姚文棟と唱和した詩人たち
第三節 李長榮と『海東唱酬集』
一、李長榮と八戸順叔 
二、『海東唱酬集』の編纂
三、餘論『海東唱酬集』未完の無念
第三部 漢文名作の西傳――賴山陽の『日本外史』――
一、成書の過程 
二、中國への輸出 
三、錢懌の評點 
四、諸家の論賛
第四部 日本人が編纂した中國典籍「補遺」の還流――市河寛齋の『全唐詩逸』――
一、『全唐詩逸』の編纂 
二、『全唐詩逸』の西傳 
三、『全唐詩逸』の影響
終 章――文化交流の異次元――
あとがき/索引
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