儒教の名句 『四書句辨』を読み解く 下巻
上製
湯浅邦弘 編
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出版社:汲古書院 |
出版年:2021年11月 |
コード: 438p ISBN/ISSN 9784762966712 |
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儒教の最重要経典「四書」は、印刷製本技術の発達とともに近隣諸国にも伝播し、儒教文化圏の形成に大きな役割を果たした。そうした中、読者の便宜を考慮して巻末に附録を併載するものが出てくる。その一つに「四書句(く)辨(べん)」がある。短編ではあるが、極めて興味深い内容で、「四書」の中から重要な語句を取り上げ、同一または類似する他の用例を併記したものである。 この附録付きの「四書」は、江戸時代初期には日本でも和刻 本として刊行され、大坂の儒者中(なか)井(い)(1730~1804)は、この附録部分を自ら抜き書きし、『四書句辨』として独立させている。儒教の名句を学ぶ重要な教材だと考えたのであろう。 そこで本書では、中井竹山の思いを継承し、この『四書句辨』を単行本として現代によみがえらせることを目的とする。上巻では、『大学』『中庸』『論語』までを取り上げ、下巻には『孟子』を収録し、巻末には、「解説」として「『四書句辨』の成立と学術的意義」(湯浅邦弘)、「懐徳堂と 「四書」」(佐野大介)、「『四書句辨』のテキスト問題─補遺を中心に─」(六車楓)を掲げ、さらに、「孔子・孟子関係年表」(菊池孝太朗)、索引を付す。
目次:
一、 『孟子』 上〔(1)~(69)〕 (1)王何ぞ必ずしも利と曰ん (2)賢者も亦た此を楽しむか (3)則ち何如。曰く不可なり (4)材木勝げて用うべからざるなり (5)五畝の宅、之を樹うるに桑を以てすれば、五十の者以て帛を衣るべし。雞豚狗彘の畜い、其の時を失う無ければ、七十の者以て肉を食うべし。百畝の田、其の時を奪う勿ければ、数口の家、以て飢うる無かるべし (6)数口の家 (7)七十の者帛を衣て肉を食う (8)曰く、庖に肥肉有り、廐に肥馬有り、民に飢色有り、野に餓莩有り。此れ獣を率いて人を食ましむるなり (9)悪んぞ其の民の父母と為るに在らんや (10)税斂を薄くす (11)之を如何せば則ち可ならん (12)耕耨して以て其の父母を養うことを得ざらしむ (13)王往きて之を征す (14)七八月の間旱すれば (15)則ち苗槁れん (16)其れ是くの如ければ、孰か能く之を禦めん (17)民の之に帰すること、由水の下きに就くがごとし (18)沛然として誰か能く之を禦めん (19)以む無し (20)則ち王か (21)吾其の觳觫たるに忍びず (22)天下は掌に運らすべし (23)今恩は以て禽獣に及ぶに足れども、功は百姓に至らざるは、独何ぞや (24)王請う之を度れ (25)蓋れ亦た其の本に反れ (26)曰く、恒産無くして恒心有るは、惟だ士のみ能くすと為す。民の若きは、則ち恒産無なければ、因りて恒心無し。苟も恒心無ければ、放辟邪侈、為さざる無きのみ。罪に陥るに及びて、然る後従いて之を刑するは、是れ民を罔するなり。焉んぞ仁人位に在る有りて、民を罔すること為すべけんや (27)仰ぎては以て父母に事うるに足らず (28)則ち斉国は其れ庶幾からんか (29)王色を変 (30)民と之を同じくす (31)天子諸侯に適くを巡狩と曰う。巡狩とは守る所を巡るなり。諸侯天子に朝するを述職と曰う。述職とは職とする所を述ぶるなり (32)関市は譏して征せず (33)簞食壺漿して以て王の師を迎う (34)湯一めて征する、葛より始む (35)東面して征すれば西夷怨み、南面して征すれば北狄怨む (36)民之を望むこと、大旱の雲霓を望むが若し (37)市に帰く者止まらず、耕す者変ぜず。其の君を誅し、而して其の民を弔う。時雨の降るが若し。民大いに悦ぶ。書に曰く、我が后を徯つ。后来れば其れ蘇らん (38)君の民、老弱は溝壑に転ず (39)去りて岐山の下に之きて居る (40)已むを得ざるなり (41)身の能く為す所に非ざるなり (42)将に孟子を見んとす (43)飢えたる者は食を為し易く、渴したる者は飲を為易し (44)其の心に生ずれば、其の政に害あり。其の政に発すれば、其の事に害あり。聖人復た起こるも、必ず吾が言に従わん (45)子夏、子游、子張 (46)以て仕うべくんば則ち仕え、以て止るべくんば則ち止り、以て久しくすべくんば則ち久しくし、以て速やかにすべくんば則ち速やかにす (47)皆古の聖人なり (48)生民より以来、未だ孔子有らざるなり (49)皆為さざるなり (50)此の詩を為る者は、其れ道を知らんか (51)惻隠の心は、仁の端なり。羞悪の心は、義の端なり。辞讓の心は、礼の端なり。是非の心は、智の端なり (52)賢を尊び能を使い、俊傑位に在れば (53)人の安宅なり (54)是れ不智なり (55)悪人の朝に立たず、悪人と言わず。悪人の朝に立ちて、悪人と言うは、朝衣朝冠を以て塗炭に坐するが如し (56)柳下恵は、汚君を羞じず、小官を卑しとせず (57)故に曰く、爾は爾為り、我は我為り (58)人の大倫なり (59)此の謂に非ざるなり (60)与に為すこと有るに足らざるなり (61)諸有りや。曰く、然り (62)吾何ぞ彼を畏れんや (63)舜は何人ぞや。予は何人ぞや (64)吾之を受くる所有るなり (65)坐して定むべきなり (66)天下に氾濫す (67)予豈に弁を好まんや (68)洚水とは、洪水なり (69)墨氏は兼愛す 二、 『孟子』 下〔(70)~(90)〕 (70)夫れ国君仁を好めば、天下に敵無し (71)正路を舎てて由かず (72)興りて曰く、盍ぞ帰せざるや (73)舜告げずして娶る (74)則ち君子必ず自ら反りみるなり (75)是れ汝の知る所に非ざるなり (76)帝其の子九男二女をして、百官・牛羊・倉廩備え、以て舜を畎畝の中に事えしむ (77)仁人は固より是の如きか (78)人の能く為す所に非ざるなり。天なり (79)「天の此の民を生ずるや、先知をして後知を覚さしめ、先覚をして後覚を覚さしむるなり。予は天民の先覚者なり。予将に斯の道を以て斯の民を覚さんとするなり。予之を覚すに非ずして誰ぞや」。天下の民、匹夫匹婦も堯舜の沢を被らざる者有るを思うこと、己推して之を溝中に内るるが若し。其の自ら任ずるに天下の重きを以てすること此の如し (80)居るに忍びざるなり (81)鄙夫も寛に、薄夫も敦し (82)天子の制は、地方千里 (83)公侯は皆方百里 (84)則ち之を友とす (85)則ち我に事うる者なり (86)王公の賢を尊ぶに非ざるなり (87)其の接するや礼を以てす (88)何ぞや。孟子曰く、敢えてせざるなり (89)子思悦ばず (90)夫れ義は、路なり (91)果たして外に在り、内に由るに非ざるなり (92)思わざるのみ (93)終に亦た必亡わんのみ (94)地足らざるに非ず、而も百里に倹せり (95)堯舜は、之を性のままにするなり。湯武は、之を身のままにすなり (96)帰すれば、斯れ之を受くるのみ (97)我明らかに子に語げん(補遺) (98)吾之を聞けり(補遺) (99)則ち嘗て之を聞けり(補遺) 参考文献 解説 『四書句辨』の成立と学術的意義(湯浅邦弘) 懐徳堂と「四書」(佐野大介) 『四書句辨』のテキスト問題─補遺を中心に─(六車楓) (附録)孔子・孟子関係年表(菊池孝太朗) あとがき/索引/執筆者紹介
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