『列朝詩集小傳』研究
上製
野村鮎子 編/松村昂,和泉ひとみ,田口一郎 執筆
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出版社:汲古書院 |
出版年:2019年01月 |
コード: 866p ISBN/ISSN 9784762966286 |
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『列朝詩集』は、錢謙益(一五八二~一六六四)が明朝滅亡後に明一代の詩を後世に遺すことを目的として編纂した明詩の選集である。全八十一卷で、上は皇帝から下は宦官や異域の詩人まで、一千八百三十餘名の詩人の詩を收録している。自序の日付は、「玄儔執徐之艢」「玄月十有三日」すなわち淸の順治九年(一六五二)九月十三日であり、刻行を擔當したのは錢謙益の弟子でもある汲古閣主人毛晉(一五九九~一六五九)である。明三百年の二千名近い詩人の略傳と詩篇を收録していること、また後世の明文學史觀に與えた影響の大きさから言ってもこの書の右に出るものはなく、『列朝詩集』は今日、明代文學研究における基本文獻とみなされている。『列朝詩集』は詩人ごとの選集という編纂スタイルを採っており、首卷の乾集と末卷の閏集以外、ほぼ時代別に詩人の詩篇を配列している。そして詩篇の冒頭には詩人の略歴を記した「小傳」が冠せられている。「小傳」は明代詩人の傳記をコンパクトにまとめていることから後世の人々に重寶され、康熙三十七年(一六九八)には、錢謙益の族孫にあたる錢陸燦が「小傳」のみを集めて、『列朝詩集小傳』という名で董氏誦芬室から刻行した。ただし、本書でいうところの『列朝詩集小傳』(以下、『小傳』)とは、廣く『列朝詩集』の「小傳」を指しており、錢陸燦による輯本のみを意味しているわけではない。 『小傳』の叙述内容は、詩人の字號、年里、官爵、著述といった客観的事跡の羅列にとどまるものではなく、明の詩派や詩人に対する錢謙益個人の批評をも含んでいる。古文辭七子に代表される復古主義が「模擬剽竊」に陷り、それに反撥して興った公安派が「浮佻卑俗」に走り、さらにその反省から生まれた竟陵派が「幽深孤峭」に墮ち、その結果として明詩と國運がともに衰退した。――こうした今日中國文學の世界で廣く受け入れられている明代文學史觀は、『小傳』にその源流があるといっても過言ではない。本書は、『列朝詩集小傳』の中から明代を代表する詩人四十名について、『小傳』とそれが依據した原資料を比較し、傳記の改變や潤色の有無を確認し、錢謙益が詩人の傳記をどのように再編集し、明詩觀をどのように構築したのかを具體的に示すことを目的としている。
【本書の特色】 ◇本書は、『列朝詩集』に著録された明代を代表する詩人の「小傳」について、それが依拠した原資料や関連する文献資料を提示しつつ、注釈を施した研究書である。 ◇各篇は、「小傳」の原文、それに一部現代語訳を含む【訓読】と【注】からなる。 ◇【訓読】は、わかりやすい書き下し文とした。 ◇『列朝詩集』関連年表は、明朝における重大事件と主に本書に取り上げた詩人の動きを追ったものであり、巻末には錢謙益の名を除く清末までの人名索引を附した。
目次: 序 説 凡 例 一 錢謙益「歴朝詩集序」 二 太督高皇帝 朱元璋 乾集卷上 三 劉 基 甲集前編卷一、甲集卷一 四 楊維楨 甲集前編卷七之上、卷七之下 五 高 啓 甲集卷四 六 宋 濂 甲集卷十二 七 楊士奇 乙集卷一 八 高 棅 乙集卷三 九 李東陽 丙集卷一 附 王世貞「書西涯古樂府後」 一〇 王守仁 丙集卷四 一一 沈 周 丙集卷八 一二 唐 寅 丙集卷九 一三 凸允明 丙集卷九 一四 徐罵卿 丙集卷九 一五 文磆明 丙集卷十 一六 李夢陽 丙集卷十一 一七 康 海 丙集卷十一 一八 邊 貢 丙集卷十一 一九 何景明 丙集卷十二 二〇 楊 愼 丙集卷十五 二一 王愼中 丁集卷一 二二 唐順之 丁集卷一 二三 羅洪先 丁集卷一 二四 茅 坤 丁集卷三 二五 謝 榛 丁集卷五 二六 李攀龍 丁集卷五 二七 王世貞 丁集卷六 二八 歸有光 丁集卷十二 二九 徐 渭 丁集卷十二 三〇 湯顯督 丁集卷十二 三一 袁宗道 丁集卷十二 三二 袁宏道 丁集卷十二 三三 袁中道 丁集卷十二 三四 鍾 惺 丁集卷十二 三五 譚元春 丁集卷十二 附 錢謙益「論譚元春詩」 三六 程嘉燧 丁集卷十三之上 三七 唐時升 丁集卷十三之上 三八 婁 堅 丁集卷十三之上 三九 謝肇淛 丁集卷十六 四〇 李 贄 閏集卷三 『列朝詩集』關連年表(松村昂編) 索引・あとがき
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