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台湾を知るための72章 第2版 /エリア・スタディーズ147
赤松美和子,若松大祐 編著
出版社:明石書店
出版年:2022年03月
コード:   424p   ISBN/ISSN 9784750353777
 
価格 2,200円
  <東京店在庫有り>
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現在、国際社会においてその存在感を増す一方で、地域情勢の変動で耳目を集める台湾。本書は旧版をバージョンアップし、この地に関する基本的な知識を提供するとともに、最新の情報を盛り込む、台湾入門書である。


目次:
はじめに――50年間も国交のないままの友好国を知る

Ⅰ 現在までの歩み

第0章 新型コロナ対策の「優等生」――国際社会で増した台湾の存在感
【コラム1】暮らしの基本データ
第1章 地理・自然・先史 オーストロネシア語族と熱帯の島
第2章 オランダ時代・明鄭時代・清代――台湾島規模の統治領域の形成
第3章 日本統治時代 ほぼ台湾島規模での住民意識の登場
第4章 国民党統治時代 国際社会における台湾規模の行為主体の登場
第5章 憲法修正以降 中華民国と台湾との絡まる現状維持
第6章 台湾理解の変遷 外部の視点から台湾本位の「我々」の視点へ
第7章 日本統治時代の捉え方 台湾史の多元性から考える

Ⅱ 政治と経済

第8章 政治体制 五権分立の中華民国の主権と統治権
第9章 主権国家――統一・独立・現状維持
【コラム2】国立故宮博物院
第10章 政党と国家像 想定する空間的規模の異なる二大政党
第11章 台湾人アイデンティティと中国人アイデンティティ 台湾住民の帰属意識の歩み
第12章 憲法――「民主」への遠い道のり
第13章 法律 様々な要素を持つ台湾法の歩みと現在地
第14章 選挙 進化を続ける民主政治
第15章 移行期における正義 中華民国の所業に対する清算の試み
第16章 農業 主要産業から斜陽産業へ
第17章 工業 世界一のハイテク請負アイランド
第18章 経済発展 謎と奇跡の初期条件
第19章 インフラ 灌漑施設、発電所、高速道路、交通
第20章 金融・財政・税金――お金の流れからみる中華民国のかたち
第21章 国際経済 輸出志向工業化・金融自由化・国営企業民営化・WTO加盟
第22章 市民参画型の産業発展 助け合い精神が育むソーシャルビジネス
第23章 環境とエネルギー――非原子力からカーボンニュートラルへ
第24章 労働・就労――自分に合った仕事を求めて転職
【コラム3】出入国管理
第25章 観光 旅行が大好きな国のインバウンドとアウトバウンド
【コラム4】温泉

Ⅲ 社会

第26章 エスニック・グループ 省籍矛盾、四大族群、そして新住民
第27章 原住民/先住民――誇り高く生きる人々
第28章 閩南人(福佬人)――言葉と政治の多数派
第29章 客家人――少数派漢人の言語と伝統文化
第30章 外省人――タロイモさん・眷村・牛肉麵
第31章 チベット人とモンゴル人――現代に残る五族共和
第32章 新住民 中国や東南アジアからやってきた新しい台湾人
第33章 言語――共通語・母語・字体・表音式表記
第34章 建築――重層する歴史を示す都市景観
【コラム5】建築保存と民主主義
第35章 社会運動 第四原発反対運動・ひまわり学生運動をめぐる政党の駆け引き
第36章 ジェンダー 「アジアの優等生」の過去・現在・未来
第37章 性的少数派 同性婚合法化への道のり・終わらない闘い
第38章 教育制度 学歴社会は変われるか
第39章 大学 狭き門から大衆化の時代へ
第40章 日本語教育 125年にわたる受容と拒絶
第41章 医学・医療 COVID-19により世界に名を馳せた「新台湾医学」
第42章 少子高齢化と社会保障 遅れてやってきた福祉国家の課題
第43章 マスメディアとインターネット 抑制から多元化へ

Ⅳ 文化

第44章 文学 多言語多文化を包容する台湾文学
第45章 美術 台湾をいかに魅せるか
第46章 演劇――伝統と現代、それぞれの試み
第47章 映画 ニューシネマからエンタメへ
第48章 テレビドラマ 偶像劇ブームとポスト偶像劇
第49章 ポピュラー音楽 多様性が魅力の、台湾ポップスの歩み
第50章 文創 新旧共存する「台湾さがし」の受け皿
第51章 飲食文化 台湾美食の影に歴史あり
第52章 スポーツ 脱中国、グローバル化、そして台湾意識
第53章 中華文化・本土文化・日本文化 変わり続けた「正統」とその語り
第54章 宗教 越境とグローバル化
第55章 年中行事 台湾歳時記
第56章 家族・親族・宗族――親戚関係から見た台湾漢人社会

Ⅴ 対外関係

第57章 外政 外務・僑務・大陸事務
第58章 アメリカとの関係 同盟から保護へ 1949―2021
第59章 中国との関係 交流の拡大と新たな摩擦
第60章 香港との関係――冷え込む公的関係、強まる民間交流
第61章 東南アジアとの関係 南向政策を通じた実務外交の模索
第62章 日本との関係 切っても切れない重要な隣国
第63章 戦後処理と賠償問題――慰安婦、元日本兵
第64章 沖縄との関係――石垣島で土地公を拝む人たち
第65章 華僑と台僑――日本における中華民国/台湾の一側面
第66章 国際組織 国連脱退後の苦難と中国の圧力
第67章 安全保障 米中に翻弄され続ける台湾の防衛
【コラム6】兵役制度

Ⅵ 人物

第68章 政治 戒厳体制から民主化後まで
第69章 歴史 多様な背景の人物群像が織り成す400年間
第70章 経済 お金を動かす名家・実業家・IT企業家
第71章 文化 クロスオーバーが創り出す新たな価値
第72章 芸能とスポーツ 多様性ある社会、うつす鏡

 参考文献
 年表
 執筆者一覧



(以下、本書はじめにより抜粋)

はじめに

 (…前略…)

 かつて日本では1945年の敗戦以来、長らく台湾に関心を持ってこなかった。1990年代には政治や経済のハードな領域とグルメや観光のソフトな領域で、ともに関心が高まっていく。2011年3月の東日本大震災に対し、台湾から68億5千万台湾元(約264億円)の義援金が届いた。日本と台湾の関係は深まり、日本では多くの人々が台湾へ旅行し、しかもリピートするようになる。高等学校の修学旅行先も、海外では台湾がトップになった。そして2020年春以来、新型コロナのために世界各国が国境を閉じてしまう。日本では「台湾ロス」という言葉が生まれるほど、今や台湾は日本にとってとても近しい。
 しかしながら、日本での台湾理解はどれだけ進んだのだろうか。台湾が新型コロナの対応に成功すると予測できた人は、日本にいたのか。台湾についてわからないことはまだまだ多い。振り返れば、1972年に日本と台湾との間に国交がなくなって、今年でちょうど50年が経つ。しかも50年前まであったのは、日本と台湾の間での国交ではなく、日本と中華民国の間での国交である。日本との関係に基づくだけでも、台湾に複雑な背景のあることが我々に伝わってくる。複雑な背景は、多様な特徴でもある。
 では、台湾という地域を私たちはどのように取り上げ、理解しているのか。そもそもエリア・スタディーズ(地域研究)は、第二次大戦後に米国から日本へ輸入された。世界のある場所で問題が起こっている。その問題はなぜ起こったのか。どのように解決できるのか。さらには、その場所の持つその場所らしさは何か。こう問う学問である。学問の成立背景は、中東和平問題や台湾問題という名称にも残る。国家(国境)ごとに地域を分けるものだと思われがちであるものの、そのような決まりはない。地域というのは必ずしも自明でなく、原理的には観察者が特定の観点や脈絡から切り取って作り上げている。
 ここ数十年来、台湾の持つ台湾らしさを解明しようと台湾研究が進むも、日本では台湾に関する概説書や入門書の論じる範囲が、概して2000年ごろまでで止まっていた。また、複数の専門家による概説書は1998年を最後に、もう15年以上も出版されていなかった。そこで、2000年以降の動向についても論じ、新たな研究成果を盛り込んだ概説書の必要性を痛感し、旧版『台湾を知るための60章』(2016年)を編む。その際、台湾と中華民国との絡まりを現代史の前提に位置づけて、議論を展開しようと試みた。台湾という脈絡ばかりに注目するのでなく、中華民国という脈絡も踏まえないと、時として現代台湾での人々の言動の意味をうまく理解できなるからである。(出版の背景については、旧版『台湾を知るための60章』の「はじめに」と「おわりに」に詳しい。)
 旧版から5年以上が経つ。昨今の日本で台湾への注目はもはや当たり前になった。これまで以上に台湾への深い理解が必要である。故に旧版を増補改訂し、総勢42名の織りなす『台湾を知るための72章』(エリア・スタディーズ147)を世に送り出す。読者諸賢からの批判を待ちたい。
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