変容するアジアの家族 シンガポール、台湾、ネパール、スリランカの現場から
上製
田村慶子,佐野麻由子 編著
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出版社:明石書店 |
出版年:2022年03月 |
コード: 180p ISBN/ISSN 9784750353685 |
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家族規範からの解放、生殖の重視から個人的幸福の追求(同性愛、妊娠中絶、離婚、婚外恋愛の許容)へのシフトという家族の変容は世界的にみられるが、公的財政支出を抑制するために性別役割分担を維持したアジアの特殊性である「家族主義」を考える。
(以下、「はじめに」より抜粋)
1.本書の目的
本書の目的は、シンガポール、台湾、ネパール、スリランカの事例からアジアにおける家族の変容の一端を捉えることにある。アジアの家族は「圧縮された近代」と表現されるように欧米に比べて少子高齢化が急速に進み、短期間に変容を遂げている。今日のアジアにおいて、家族形態、家族の機能、性別役割分業、人々の家族観はどのように変容しているのだろうか。そうした変容は、各国におけるどのような社会構造の変化を反映しているのだろうか。 本書で取り上げるシンガポール、台湾、ネパール、スリランカは、面積も人口も小さい小国(地域)であること以外に、程度の差こそあれ、(1)急激な少子化ないし少子高齢化、(2)拡大家族から核家族へという急激な世帯規模の縮小、(3)出稼ぎによる家族の離散や外国人ケア労働者によって支えられる家族機能というグローバル化のなかでの家族の変容を経験しているという共通項を持つ。 本書の各章では、家族形態、家族の機能、性別役割分業、家族観および親密性、家族内の関係性(権力関係)ならびにそうした変容と関連する社会構造(制度、諸要因等)とその変化を分析する。
(…後略…)
目次: 刊行のご挨拶 はじめに[田村慶子・佐野麻由子] 第1章 シンガポールの「疲弊する」家族と女性[田村慶子] 〈コラム1〉単なる補佐役ではなく運営の主体として――インドネシアのカカオ農園で働く女性たちから得た教訓 第2章 シンガポールの教育・子育てに関する政策と価値観――メリトクラシーとジェンダーの観点から[坂無淳] 〈コラム2〉娘の選択――結婚するか独身のままか 第3章 重い家庭の負担からの逃避――台湾の家族と女性[田村慶子] 〈コラム3〉台湾における外国人労働者と家族の変容 〈コラム4〉日本で働くフィリピン人女性家事労働者の(ディス)エンパワーメント 第4章 男児選好にみるネパールの家族の変容――階級別の分析からみえた経済発展下での個人化の兆し[佐野麻由子] 〈コラム5〉児童婚の根絶を 第5章 現代スリランカの家族の変容とジェンダー――障害者家族のケアの例から[古田弘子・鹿毛理恵] 〈コラム6〉パキスタンにおける児童婚・早婚 おわりに[田村慶子・佐野麻由子・織田由紀子] 著者紹介
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