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和解学の試み 記憶・感情・価値 /和解学叢書1=原理・方法 上製
浅野豊美 編
出版社:明石書店
出版年:2021年08月
コード:   360p   ISBN/ISSN 9784750352541
 
価格 4,950円
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「東アジアという歴史空間」のなかで、紛争解決学と移行期正義論、国際関係学とりわけナショナリズム論などを発展的に融合させる「和解学」創成をめざした新シリーズ。第1巻は総論として、思想・歴史・政治・メディア・地域研究・市民運動などの各領域を横断する。

以下、本文より抜粋

『和解学叢書』刊行に寄せて

 本叢書は、「和解学」という新しい学問領域を拓く先駆けとなる。「紛争」が、社会生活をおくる人間の宿命であるかぎり、「和解」もまた人間の普遍的な営みの一部である。しかし和解はつねに、一定の歴史的・文化的刻印を帯びてあらわれる。紛争を生み出す社会の編制は多様であり、また歴史的に変化するものであるからである。冷戦終結後の不安定地域をめぐる民族宗教紛争が、「紛争解決学」という新しい学問分野の発展をうながしたとすれば、「和解学」は東アジアにおける固有の経験に内在しつつ、現在の世界各地の紛争に接近しようとするものである。この意味において和解学は、「東アジア発の紛争解決学」としての性格を有する。
 こんにちの東アジアにおいて「紛争」は、主として歴史認識をめぐる国家間の対立としてあらわれている。これは冷戦後の世界的紛争が、ボスニアやソマリアの内戦(一九九二年)、イスラエル・パレスチナ合意の破綻(二〇〇〇年)、9・11事件とアフガン戦争(二〇〇一年)などに見られるように、国家以外のアクターによる直接的な暴力の発動を主な発端として顕在化してきたことと著しい対照をなしている。こんにちの東アジアにおける紛争が、国家間の「歴史認識問題」としてあらわれるのはなぜか。それは今日のグローバルな紛争状況のなかで、どのような意味をもち、またその解決にどのような貢献をなしうるのか。「東アジア発の紛争解決学」としての和解学に科せられた学問的使命は、こうした問いに解答を与えることである。

目次:


 『和解学叢書』刊行に寄せて[浅野豊美・梅森直之・劉傑・波多野澄雄・外村大・土屋礼子]

 はしがき[浅野豊美]

第Ⅰ部 和解学の方法

第1章 方法としての「和解学」――紛争解決学の東アジア的基礎[梅森直之]
 はじめに
 1 平和学・紛争解決学・和解学
 2 法的和解と歴史和解
 3 「制作」としての和解から「行為」としての和解へ
 おわりに

第2章 「和解学」に貢献する「新たな歴史学」を目指して[劉傑]
 1 歴史学から考える「和解」と「和解学」
 2 「歴史する」こと、「和解学」に貢献すること
 3 歴史和解の三つのステージと研究テーマ
 4 「和解学」に促成される「新しい歴史学」

第3章 東アジアにおけるメディアと和解――戦争と植民地の記憶をめぐって[土屋礼子]
 はじめに
 1 証言における記憶とメディア
 2 メディアにおける倫理とナショナリズム
 3 メディアの正義
 おわりに

 コラム・1 和解学への期待[毛里和子]

第Ⅱ部 和解をめぐる主体と実践

第4章 「政府間和解」の射程と変容――戦後処理から戦後補償へ[波多野澄雄]
 はじめに
 1 政府間和解と国民間和解
 2 「和解プロセス」としての戦後処理外交
 3 一九八〇年代の「和解政策」
 4 新たな「和解政策」の模索――一九九〇年代
 5 法的解決と政治的和解
 結びに代えて

第5章 歴史問題における和解と市民運動――その研究の課題と展望[外村大]
 1 なぜ市民運動に着目するのか
 2 市民運動の特徴と活性化の条件
 3 市民運動による歴史問題の取り組み
 4 歴史問題に取り組む市民運動の前史
 5 冷戦下の未解決課題と市民運動
 6 日韓を軸とする歴史問題の焦点化
 7 戦後補償運動の「高揚」とその限界
 8 葛藤の拡大と和解の構想
 9 市民運動の実践上の難問
 10 研究の方法と今後の展望

第6章 東アジアにおける紛争解決と歴史和解――中台青年対話を事例として[新井立志]
 はじめに
 1 平和学、紛争解決学における和解
 2 多次元外交
 3 事例研究――中台青年対話
 4 国民間の歴史和解に向けて
 おわりに

 コラム・2 東アジアの「和解」と「和解学」[東郷和彦]

第Ⅲ部 東アジアという歴史空間

第7章 ヨーロッパからみた東アジア歴史問題の起源[バラク・クシュナー]
 はじめに
 1 記憶のナルシシズム
 2 歴史観と政治的姿勢
 3 東洋と西洋の違い
 4 和解の観念
 結論

第8章 現代日韓関係における和解と正義――日韓関係の事例をふまえて[木宮正史]
 はじめに
 1 「移行期正義」と韓国
 2 日韓「国家間の和解」とその後
 3 日韓関係は「移行期」か?
 4 複数の正義は尊重され得るのか?
 5 和解の条件と和解の困難さ
 結びに代えて

第9章 日韓の国民形成の断層と和解学――価値と記憶の融合をめぐる内外政治の共振[浅野豊美]
 はじめに――東アジアにおける国民感情の悪化
 1 日韓双方の国民的記憶と普遍的価値をめぐる断層
 2 断層の起源としての「民主化」と「文明化」
 3 歴史問題をめぐる紛争の構造――国内政治と国際政治の共振
 4 対話のための知的インフラとしての和解学――「対話」の原則をめぐって

 編者あとがき[浅野豊美]
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