中国の少数民族政策とポスト文化大革命 ウランフの「復活」と華国鋒の知られざる「功績」
上製
木下光弘
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出版社:明石書店 |
出版年:2021年02月 |
コード: 248p ISBN/ISSN 9784750351421 |
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本書は、文革後期における、モンゴル族出身のウランフら少数民族幹部の処遇や動向と、文革を事実上終息させたとされる華国鋒の少数民族に対する姿勢を検討し、文革後期(ポスト文革)から現在に至る中国の民族問題政策の流れをたどり、考察の出発点とする。
目次: 序章 1 はじめに―問題意識 2 先行研究の整理について 2.1.文化大革命と同時代に論じられた研究 2.2.文化大革命後の研究‐研究の進展 2.3.近年における新たな動向 3 本書において取り扱う課題 4 研究方法と史資料 5 本書の構成
第一章 中国のエスニック・エリートたちの位置づけ はじめに 1 構造的に見た中国民族問題 1.1.「周辺」としての少数民族地域 1.2.「周辺」の中で生き抜くエスニック・グループ 2 中国政治の中の少数民族問題 2.1.中国の政治体制と「自律性」を持つ地方のエスニック・エリート 2.2.エスニック・エリートのハイブリディティ‐民族的な利益のために 2.3.モンゴル・エスニシティにおけるウランフの意義 小結
第二章 文化大革命における民族政策の混乱から修正へ はじめに 1 「民族工作を破壊」した民族政策 1.1.少数民族の特殊性を否定する「民族理論」の発露 2 「ポスト文化大革命」の萌芽 2.1.文革中期における民族政策の「修正」 2.2.「表舞台」に再登場するウランフ 2.3.パワー・エリートたちの民族政策の認識 2.4.1970年代初めにおける現場での変化の兆し 小結
第三章 ウランフの失脚と「復活」 はじめに 1 失脚へと追い込まれるウランフ 1.1.モンゴル語を母語としないモンゴル族ウランフ 1.2.文革とウランフの失脚 1.3.失脚中のウランフ 2 ウランフの中央における政治的地位の回復と内モンゴル 2.1.林彪事件とウランフの「復活」 2.2.モンゴル族指導者としてのウランフ 2.3.ウランフと他の少数民族指導者たちとの比較 3 ウランフの「復活」と中ソ対立 3.1.必要とされる「ソ連通」 小結
第四章 七五年憲法改正時における民族工作の「後退と懐柔」 はじめに 1 周恩来と四人組の争いの中で 1.1.1970年代前半の政治状況 1.2.実務が与えられないウランフ 2 一九七五年の憲法「改正」とエスニック・エリート 2.1.新たな憲法の中で「後退」する民族自治 2.2.第四期全人代以降のウランフ-民族工作は「停止」したのか 2.3.第四期全人代における有力少数民族幹部 小結
第五章 「ポスト(脱)文革時代」の形成‐華国鋒とウランフ はじめに 1 権力を継承するまでの華国鋒 1.1.地方官吏としての華国鋒 1.2.ウランフと華国鋒の出会い 2 華国鋒による文革の収拾 2.1.中国共産党党主席となる華国鋒 2.2.華国鋒への批判と「再評価」 2.3.ウランフの「昇進」と「制限」 小結
第六章 華国鋒の少数民族に対する姿勢 はじめに 1 華国鋒に対する「評価」 1.1.民衆を動員する華国鋒 1.2.華国鋒への「感謝」 1.3.内モンゴル人民革命党冤罪事件への対応 2 華国鋒と少数民族政策との関わり 2.1.湖南省時代の華国鋒と少数民族 2.2.華国鋒のチベット入り 2.3.新疆ウイグル自治区訪問とチベット訪問との違い 2.4.民族問題に関する書籍の出版 小結
終章 1 華国鋒から胡耀邦、そして現在へ 2 本書の成果 3 本書に残された課題 4 その後のウランフといま あとがき
【付録】 史資料 (1)高奇によるウランフの「復活」に関する回顧録の一部 (2)高奇の回顧録における「ウランフ解放案件に関する調査指示」の原文 (3)華国鋒の内モンゴル政策に対して感謝を示す書簡 (4)アルタンデレヘイによる「華国鋒の四.二〇指示への関与について」 (5)『華主席関于国内民族問題的論述選編』の中表紙 写真等の出典の一覧 参考・引用文献一覧 (史料・回顧録) (日本語のもの) (欧文のもの) (中国語のもの) 索引
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