中国の「村」を問い直す 流動化する農村社会に生きる人びとの論理
/中国社会研究叢書 21世紀「大国」の実態と展望5
上製
南裕子,閻美芳 編著
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出版社:明石書店 |
出版年:2019年04月 |
コード: 256p ISBN/ISSN 9784750348339 |
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中国で改革開放政策が開始されてから40年。この路線下、2000年以降の農村社会が大きく様変わりを果たしている。本書は新たな構造変動下にある社会的性格を再考し、そこに生きる人びとの生活や生存の論理を探究。地域の自主性や自律性の立ち上がりを考察する。
目次: 刊行のことば(首藤明和) はじめに 構造変動下にある中国の村をとらえるための課題(南裕子) 1.本書のねらい 2.中国農村部の構造変動の諸相 2-1 村の領域の変化 2-2 村と郷鎮政府の関係の変化 2-3 村の常住人口の構造変化 3.変動のとらえ方 4.本書の課題と構成 4-1 本書の課題 4-2 本書の構成
第一部 激変する村の底流にひそむ力とその可能性 第1章 アウトロー的行為の正しさを支える中国生民の正当性論理――天津市武清区X村の団地移転を事例として(閻美芳) 1.不条理を生きる農民の正当性主張 2.団地移転の不条理 3.農民を団地に移転させる「団地移転プロジェクト」 3-1 村の概況 3-2 X村における「団地移転プロジェクト」の導入 3-3 団地移転に抵抗する2つの事例 3-4 分離戸に託した生活保障機能 4.移転しない・する村びとの生活実践 4-1 開墾農地による生活水準の向上 4-2 団地移転後の権利主張 4-3 楼房の物業管理費を払わない 5.正しい行為を支える論理 5-1 天経地義の権利 5-2 「正しい」行動を支える人びとの共通観念 6.おわりに 第2章 農村公共サービス制度の変動と村落ガバナンス――成都市の「経費進村」を事例として(陳嬰嬰・折暁葉(訳・南裕子)) 1.はじめに 2.村の公共サービスの苦境――「村の機能不全」 3.成都市の事例:「経費進村」――政府が推進する制度変化 3-1 「経費進村」の制度設計 3-2 主体は村民――民主的意思決定,監督,情報のフィードバック 4.村の対応――外からの制度の受容 4-1 公共利益の再構築 4-2 村での協議と意思決定――公正の原則とローカルな知識 4-3 「こと(事)」がもたらした村の新たなアイデンティティと参加 5.おわりに――村の公共サービス制度と村の公共秩序,公共ガバナンスの再建
第二部 観光開発に向き合う村の自律性 第3章 農家楽山村の議事にみる公の生成――宗族単姓村である北京市官地村を事例として(閻美芳) 1.村びとのプライバシーと公 2.礼治の原理と「良心」 3.宗族からみる村長の選出と評価 3-1 村の概況と宗族結合 3-2 官地村における農家楽経営と女性の活躍 3-3 宗族と村落の選挙 3-4 親子間における人物評価 3-5 農家楽経営権の賃貸料金をめぐる情報の共有 4.オープンな「公」の生成原理 5.おわりに 第4章 中国農村における地域社会の開放性と自律性――北京市郊外一山村の観光地化を事例として(南裕子) 1.はじめに 2.村の開放性と自主性,自律性をめぐる議論 2-1 村落社会論 2-2 観光開発と地域社会 2-3 本章の課題 3.官地村における地域の開かれ方 3-1 官地村概況 3-2 官地村農村ツーリズムの形成と混住化 4.官地村農村ツーリズムにかかわる主体とその相互関係 4-1 村外の主体との関係 4-2 村集団と村民,および村民同士の関係 5.官地村ツーリズムに見る地域の開き方と地域の自律性 6.おわりに 第5章 「留守」を生きる村――中国東北地域の朝鮮族村の観光化に着目して(林梅) 1.はじめに 2.少数民族としての中国朝鮮族 3.延辺朝鮮族自治州とG村の概要 4.G村の観光化の取り組み 5.「受動的立場」と「主導的立場」の関係 5-1 観光資源化とその「正統性」 5-2 担い手としての「他者」 5-3 朝鮮族の「よそ者」 5-4 村の有力者 6.おわりに
第三部 人口流動化の中の村の存続戦略 第6章 「対立」から「融合」と「管理」へ――流動人口のネットワークをめぐる流入地での戦略(陸麗君) 1.問題意識 2.先行研究について 2-1 概念の整理 2-2 流動人口の社会融合についての先行研究 2-3 流動人口と同郷的ネットワーク 3.調査地の概況 4.Z鎮流動人口の社会融合と同郷的ネットワーク 4-1 圧力団体――労災、賃金に関するトラブルにおける同郷的ネットワークの役割 4-2 「新旧Z鎮人和諧聯誼会」の設立――社会融合促進の試み 5.流動人口への総合サービス 6.おわりに 第7章 中国都市にみる「村」社会と民間信仰――深センの「城中村」を中心に(連興檳) 1.圧縮された都市化とその影響 2.城中村の誕生――深センの農村都市化を事例に 2-1 城中村の特徴 2-2 深センからみた「村」社会の形成 3.村社会における民間信仰の意味――「宗族信仰」と「神明信仰」を中心に 3-1 宗族信仰 3-2 神明信仰 4.都市における「村」社会の現状――深センのSG村を事例に 4-1 SG村の概況 4-2 SG村の伝統的建築 5.「村」社会にみる民間信仰の変容――SG村の祠堂と廟を中心に 5-1 SG村の祠堂と宗族信仰 5-2 SG村の廟と神明信仰 6.おわりに――都市部の「村」社会は終焉を迎えたか
おわりに――「生成する村」の視点からとらえる中国の村(閻美芳・南裕子) 1.なぜ今,中国の農村にフォーカスするのか 2.「尺蠖の屈め」によって対応する中国農村 3.「生成する村」 3-1 研究史との対話 3-2 「生成する村」の平常時を支えるもの 3-3 社会主義体制下の「生成する村」 4.おわりに――「生成する村」から見る中国村落の今後 あとがき 索引
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