「中国手工紙文庫」は、中国34 の行政区域（省、自治区、直轄市、特別行政区）で展開された全面的なフィールドワークの成果に基づいて、各地に点在する手工紙文化遺存の現状、品質、製造工程などを多数の写真付きで紹介し、行政区域ごとに順次刊行する。
第1期は雲南、貴州、広西、安徽、浙江の5巻10冊で構成。第2 期は2025 年までに残り15 冊を刊行する予定。
各製造地の自然地理環境、人文環境、歴史と伝承、手工紙の品種と製造工芸及び現状などを紹介し、当該手工紙の原料、工芸、用途及び成分の科学分析結果を重点的に記述。フィールドワークの過程で撮影された現地の環境、人物、工場、原料、製造過程、完成品などのカラー写真も併せて掲載する。

本書はその「浙江」巻。浙江省は古くから出版業、製紙業が盛んな地域で、特に杭州市富陽区の竹紙は「国家級非物質文化遺産代表性項目名録」の第一弾（2006 年）に登録されている。本書は上中下巻の3 冊構成で、上巻に富陽区以外の浙江省各地で作られる手工紙を、中下巻で富陽区で作られているさまざまな手工紙とその製造工房について紹介している。「珍稀収蔵版」には各種手工紙の現物をサンプルとして収載する。