日本と中国のパブリック・ディプロマシー 概念変容に伴う新たな競争
/MINERVA人文・社会科学叢書
上製
張雪斌
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出版社:ミネルヴァ書房 |
出版年:2019年02月 |
コード: 254p ISBN/ISSN 9784623084975 |
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「パブリック・ディプロマシー」とは、自国文化の輸出や発信を通して国家のソフト・パワーを強化する手段である。グローバリゼーションの深化と情報技術の発達により、国際関係における情報・文化の役割が多様化してきた現代。情報と文化が国家間交流においてますます重要なファクターとして機能するなかで、国家はそこにどのような役割を期待し、競争戦略に用いてきたのか。本書は、アジアの2つの大国である日本と中国に焦点を当てる。パブリック・ディプロマシーの事例分析を通じて、その役割と限界、概念変容の過程と要因を検証し、国際政治ないし対外政策研究における重要概念としての可能性を探る。
[ここがポイント] ◎今後のアジア太平洋地域秩序をめぐる研究に貢献する。 ◎東アジア外交やビジネス、広報文化外交に携わる日本国内外の実務家にも知見を提供。 ◎日中の事例だけでなく、PDの理論的説明を試み、実質的な理解を促す。 ◎和文で読める希少な広報文化外交研究専門書。
目次: 序章 パブリック・ディプロマシーによる新たな競争 1 研究の背景——パブリック・ディプロマシーとは何か 2 本書の目的と分析枠組み 3 本書の構成
第1章 対外政策としてのパブリック・ディプロマシー 1 パブリック・ディプロマシーの発展と研究の類型 2 パブリック・ディプロマシーと国家の対外政策との関係 3 パブリック・ディプロマシーと対象の認知と受容
第2章 事例分析から見るパブリック・ディプロマシーの役割と限界 1 戦後日米間の国際文化交流政策 2 台湾の対米ロビー活動に伴う文化外交 3 中国のオリンピック聖火リレーをめぐる文化外交 4 パブリック・ディプロマシーの役割と有効性 5 パブリック・ディプロマシーの役割に対する再評価
第3章 「台頭する」中国のパブリック・ディプロマシー(公共外交)の概念変容 1 パブリック・ディプロマシーと公共外交 2 公共外交の理論的分析視点 3 公共外交の概念変容 4 パブリック・ディプロマシーの概念を選択的に受け入れた中国の公共外交
第4章 「不完全な大国」日本のパブリック・ディプロマシー(広報文化外交)の概念変容 1 広報文化外交の理論的分析視点 2 広報文化外交の概念変容 3 概念と役割を調整する広報文化外交
第5章 文化政策の側面から見る新たな競争 1 文化政策が持つ対外政策、国内政策としての側面 2 中国の文化政策における概念の変容 3 日本の文化政策における概念の変容 4 ソフト・パワー競争における文化政策の役割
第6章 習近平政権のパブリック・ディプロマシー——対外宣伝広報の強化と集権化 1 問題の所在と分析視点および分析対象 2 最高指導者習近平にとっての公共外交と対外宣伝広報 3 公共外交と対外宣伝広報の担い手 4 新時代の中国特色ある大国公共外交——新たな規範提示の虚実
終章 国際政治におけるパブリック・ディプロマシー 参考文献 あとがき 索引
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