普遍的価値を求める 中国現代思想の新潮流
/叢書・ウニベルシタス1121
上製
許紀霖/中島隆博,王前 監訳/及川淳子,徐行,藤井嘉章 訳
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出版社:法政大学出版局 |
出版年:2020年08月 |
コード: 360p ISBN/ISSN 9784588011214 |
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普遍という概念は、いまもなお警戒されている。西洋近代も日本も自らを普遍と称し、それは数え切れない暴力を引き起こしてきた。では中国はどうなのか。本書は、中国中心主義や中国特殊論の批判を踏まえて、価値相対主義に陥ることなく、「共に享受する普遍性」としての「新天下主義」を提唱し、文明、文化、国家へと議論を展開する。真に多様性・多元性を尊重するための思考とともに、《ウニベルシタス》もまた、新たに始動する。
目次: 序 普遍性の再建――新天下主義と現代中国思想
第Ⅰ部 来たるべき東アジア 第一章 新東アジア秩序の構想――EU式の運命共同体 一 古代から現在までの四種類の東アジア秩序 二 帝国秩序から共同体秩序への転換 三 EU式運命共同体の存在を支える三本の柱 四 「国家的視野における東アジア」から「東アジア的視野における国家」へ
第二章 世界的な保守主義時代の到来 一 三つの本位的保守主義の台頭 二 世俗と宗教︱近代文明の苦境 三 ポリティカル・コレクトネスは正しいのか、いかに正しいのか
第三章 新天下主義と中国の内外秩序 一 天下主義の普遍的価値 二 脱中心化し、脱ヒエラルキー化した新たな普遍性 三 天下の内部秩序――多元一体の国家統治 四 天下の外部秩序――国民国家主権という観念を超える 五 東アジア運命共同体はいかにして可能か
第Ⅱ部 自由主義を問い直す 第四章 中国は何を根拠に世界を統治するのか
第五章 二つの啓蒙――文明的自覚か、文化的自覚か 一 文明的自覚と文化的自覚 二 新文化運動は最初の文明的自覚である 三 九・一八事変後の文化的自覚 四 「よい」文明と「われわれの」文化
第六章 自由主義はなぜ枢軸文明に接続しなければならないのか 一 自由主義の文明的基礎に関する三つの選択肢 二 包括的な文明としての自由主義は可能か 三 なぜ信仰と理性はともに重要なのか 四 なぜ自由な選択は善を必要とするのか
第Ⅲ部 国家主義を超えて
第七章 普遍的文明か中国的価値か――中国の歴史主義思潮への批判 一 八〇年代の普遍的理性から九〇年代の啓蒙の歴史化へ 二 普遍性に挑戦する――歴史主義の勃興 三 普遍性を争う――中国の興隆を背景として 四 「殊途同帰」、「分道揚鑣」から「理一万殊」へ
第八章 中国にはリバイアサンが必要なのか――国家主義思潮への批判 一 左から右へ――国家主義の二つの思想の脈絡 二 「応答的民主主義」か「応答的権威主義体制」か 三 シュミット主義の亡霊――国家の絶対的な権威 四 呪術化に向かう国家理性
第九章 儒家の孤魂、身体はどこに 一 王官の学は袋小路である 二 心の宗教への転換――欲することはできても求めることはできない 三 「文教」としての儒家――希望は民間にあり
付録 対話(許紀霖,中島隆博,石井剛,鈴木将久,林少陽,王前)
監訳者あとがき 許紀霖――普遍の擁護者 出典と翻訳担当者一覧 人名索引
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