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日本と東アジアの〈環境文学〉
上製
小峯和明 編
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出版社:勉誠出版 |
出版年:2023年07月 |
コード: 554p ISBN/ISSN 9784585390183 |
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自然環境と人間社会及び文化との関わりをとらえた文学全般を指す〈環境文学〉。 日本・中国・韓国・ベトナムなどの「漢字文化圏」において、文学は「環境」をどう捉えてきたのか。 文献資料のみならず、音声、身体、芸能、絵画や造型の諸資料も対象にし、とりわけ四季の形象や隠喩表現をはじめ、食文化の食材や料理、動植物の生態やキャラクター化等々、絵巻や画巻、本草図譜、屏風絵、掛幅絵等の絵画表象、あわせて口頭伝承や身体芸、フィールドワークをも含んだ、広範にわたる相互の比較検証を行う。 日本と東アジアの〈環境文学〉の問題群を総合的・体系的にとらえ、自然と人間の二項対比でなく、「二次的自然」の人工的自然をも対象に、前近代から近代への架橋をも意識しつつ、カノン化された所謂「文学作品」主体の既存の文学史や文化史を書き換え、再編成する。
多彩な領域と様々な方法論から成り立つ四十一の論考により、環境と人間の営みとの関係を問い直す
目次: 序 章 小峯和明
〔序論〕〈環境文学〉論の道程―〈環境・景観文学〉への視座 小峯和明
Ⅰ 四季・気象と景観 自然不在の王朝文化―平安文学における庭園の一考察 イフォ・スミッツ 幸若舞曲『文覚』小考―〈風〉の表象に注目して 宮腰直人 〔コラム〕西行の和歌と自然に関する一考察 加藤睦 江戸〈環境文学〉雑記―野中兼山と井関隆子の小品を例に 渡辺憲司 朝鮮時代の空間論と自然観についての緒論 沈慶昊 園芸書の文学性―『花壇綱目』を中心に 福田安典 〔コラム〕江戸時代の環境観の一側面―水土と方位 マティアス・ハイエク
Ⅱ 災害と怪異 『日本書紀』における祥瑞災異の記載内容の変容 馬駿 讖緯思想からみる水の怪異と王権―水精怪異譚考 司志武 ベトナムの妖鶏 大西和彦 〔コラム〕木折れ、屋を発く―災害・災異の表現 水口幹記 人文学によるベトナムの地震研究―十世紀から十四世紀にかけての地震を中心にして ファム・レ・フィ 武士と両班の存立基盤―日本の天災、韓国の戦災 染谷智幸 災害・怪異の歴史叙述―『太平記』を中心に 目黒将史 〔コラム〕自然環境の変化と四天王寺移転説 松本真輔 前近代ベトナムの諸史料や文学資料から見た疫病神信仰 グエン・ティ・オワイン
Ⅲ 動植物の交感と食文化 象が田を耕す話―舜子孝行譚 金文京 ドメスティケーションの帝国―養殖されるキツネたち 北條勝貴 〔コラム〕〈水族〉と〈環境〉をめぐる信仰史・点描―青森津軽地域の俗信伝承から 原克昭 お伽草子における物の〈精〉について 伊藤慎吾 お伽草子の食の風景 塩川和広 室町時代の食の文芸と社会環境 伊藤信博 〔コラム〕「食う」「食われる」関係とその「転生」について 樋口大祐 〔コラム〕環境文学と日本本草学、その一例としての「植物妖異」研究 郷間秀夫 南方熊楠と安藤みかん―紀南の食文化、柑橘類栽培、森林環境 志村真幸 〔コラム〕『於于野談』にみる食と環境 金英順
Ⅳ 異文化と環境 「捨かたきハ人の命ぞかし」―池田寛親『船長日記』が象った漂流体験 鈴木彰 琉球の説話・歴史叙述と環境―御嶽神名・伝承と〈自然〉景観 木村淳也 敦煌文献「五台山讃」詩群にみる五台境界 李銘敬 近代日本の紀行文学における張家口の表象 王成 韓国の風水思想と説話 鄭炳説 〔コラム〕〈環境文学〉としての仏教―他者をめぐる思惟 竹村信治
Ⅴ 環境文学を問う 記号・儀式と古代東アジア古代世界 劉暁峰 胎内五位説と日本中世の心身論 伊藤聡 〔コラム〕ひょうたんの中の天地―古代中国の長生思想と自然観 加藤千恵 空間表象の写実性―近世日本美術とジャポニスムをめぐって 田村義也 〔コラム〕描かれた自然―安野光雅『繪本 平家物語』をめぐって 出口久徳 〔コラム〕環境と建築と 千本英史 〔コラム〕私たちは野生について語りえたか? 野田研一 人間と非―人間の互酬性と環境人文学 ハルオ・シラネ
あとがき 小峯和明
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