世界の三分の一生産量を誇るたばこ大国 中国! お茶、お酒とともに、永く嗜好品として愛好されてきたたばこの歴史は、3,000~4,000年前にさかのぼれるという。世界にたばこが広まるのは15世紀の大航海時代、中国にも明代万暦年間に伝わったといわれる。一方、民間伝説や古文書に拠って、中国起源説が主張されてもいる。日本では、もっぱら、紙巻きやパイプが愛飲されているが、世界のたばこは多彩である。その多彩なたばこのほとんどが中国各地で愛飲されていることを著者が知るのは仕事で北京に赴任したとき。以来、中国のたばこに魅せられ、台湾を含め33の省・区・特別市のすべてに足を運んで調査しまわったという。本書はそうした調査結果と、各地への探査行とともに深まった中国のたばこ文化への探求心から生まれた書である。●編著者のことば 中国の“茶”と“酒”の歴史が極めて古いのに比べて、“烟(たばこ)”の歴史は新しく、かつ外来のものである。にもかかわらず、たばこは中国でも広く愛好され、独特のたばこ文化を築きあげてきた。中国には、たばこのほとんどすべての楽しみ方、即ち、“吸う(喫煙)”だけでなく、“嗅ぐ”、“噛む”という楽しみ方がある……世界の大国である中国は、たばこの世界でも、葉たばこ生産量およびたばこ消費量ともに世界一である。(「序章」より)
●構成 序章 たばこの世界 第1章 中国人とたばこ 1 タバコの中国起源説/2 中国の皇帝とたばこ/3 現代史の中の愛煙家/4 タバコ作りの諺/5 たばこにまつわる民話/6 たばこの詩/7 少数民族とたばこ/8 たばこの異名/9 たばこの作法 第2章 中国のたばこ史 1 中国へのたばこの伝来/2 明末・清前期の状況/3 外国資本の侵入/4 民族資本の反発/5 中国のたばこ政策/6 台湾のたばこ 第3章 多彩な中国たばこ 1 葉たばこ(烟葉)/2 日本にもあるたばこ/3 水たばこ(水烟)/4 嗅ぎたばこ(鼻烟)/5 マホルカたばこ/6 噛みたばこ(嚼烟) 参考文献/あとがき
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