迷舟―迷走艇
/中国現代小説系列
格非 著/青野繁治・和田知久 編注
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出版社:東方書店 |
出版年:1999年04月 |
コード:00533 72p ISBN/ISSN 4-497-99556-9 |
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破滅の罠に捕らえられた男の運命! 文化大革命以後の現代中国の中・短編小説を、原文と詳細な注釈を対照しながら読む好評シリーズ第6弾。楡関攻略作戦決行直前、北伐軍将校・蕭は、故郷の村に戻り情報収集のかたわら亡父の葬儀に参加する。そのときかつて思いを寄せた女、杏と再会、逢瀬を重ね道ならぬ関係に陥る。彼の行動は警護兵の疑念を招き、また妻を寝取られた杏の夫・三順は復讐の機会をねらい蕭を追跡する。死への階段を転げ落ちるように追いつめられていく蕭の運命は……!? 一般用・学校用テキスト(中級以上)/講読。●編著者のことば この作品を特徴付けているのはその物語展開の上にちりばめられた「空缺」によりもたらされる「謎」の重複である。物語の中でのそれぞれの出来事、事件が感情を押し殺した三人称の視点で描かれるため、主人公の目の前に現れる出来事、事件はすべて脈絡がなく、ただ既成の事実としてのみ立ち現れることになる。そして個々の出来事、事件の因果関係について情報を与えられない読み手にとっても、それが物語展開の「空缺」となってわれわれの読解を妨げ、物語が進行してゆくにつれ解き明かせない「謎」が重層的に重なり合い朦朧とした世界を構築してゆくことになる。この作品を味わうにあたっては話の筋を追うのと同時に、格非の「先鋒」たるゆえんであるその文学テクスト構成の緻密さ、周到さにも注意されたい。……先ほど指摘した「謎」についても自分なりに読み解いてみてほしい。(「はじめに」より)
●構成 はじめに―格非とその作品について/迷舟
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■編著者紹介
格 非(かく ひ):本名、劉勇。1964年江蘇省丹徒県生まれ。1986年『追憶烏攸先生』で文壇デビュー。青野 繁治(あおの しげはる):大阪外国語大学助教授。和田 知久(わだ ともひさ):神戸学院大学講師。
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