よみがえる台湾文学
上製
下村作次郎・中島利郎・藤井省三・黄英哲 編
|
|
出版社:東方書店 |
出版年:1995年10月 |
コード:00432 576p ISBN/ISSN 4-497-95462-5 |
|
|
|
<品切>
現在品切れのため、ご注文を承ることができません。
|
|
|
|
|
“台湾文学”初の国際シンポジウムによる論文集 戦前の半世紀、日本の統治下にあった台湾では、戦後も長く、“台湾”研究が認められない政治状況がつづいた。しかし、戦後半世紀を経た今日、“台湾意識”というナショナリズムの台頭に伴う国民的アイデンティティの形成に対応し、戦前期の研究が本格化している。本書は、1994年11月25~27日の3日間、「頼和とその同時代作家」をテーマとして台北の国立清華大学で開催された台湾文学に関する初の国際学術シンポジウムにおける報告文に基づく論文集であるが、戦前と戦後を通した一世紀を総合的視野に入れた、台湾文学の原点を再発見、再評価する貴重な試みとなっている。日本人10編・台湾人9編・米国人1編、計20編の論文を収録する。●編著者のことば 現在日本では盛んに「国際化」が提唱されている。その「国際化」の第一歩とは東アジア諸国と共有する戦前史および戦争の記憶を発掘し、それを世界的視野において位置づけていくことではあるまいか。台湾戦前期文学はかつて日本文学の構成員として遇されていた。しかし現在では、〈新しい文学〉を模索する現代日本にとって慎重な読みなおしを行うべき隣国の〈古典〉文学なのである。(「序」より)
●構成 刊行によせて―「非情」から「落実」へ(陳萬益・呂興昌/中島利郎 訳) 序 歴史の記憶がよみがえるとき―日本人にとっての戦前期台湾文学研究(藤井省三) 戦前台湾社会運動の発生と新文学運動の始まり(彭瑞金/甲斐ますみ 訳) 社会主義思潮の影響下における郷土文学論争と台湾話文運動(黄琪椿/澤井律之 訳) 〈大東亜戦争〉期の台湾における読書市場の成熟と文壇の成立―皇民化運動から台湾ナショナリズムに至る道(藤井省三) 戦争と文壇―盧溝橋事変後の台湾文学活動の復興(柳書琴/中島利郎 訳) 徴用作家たちの「戦争協力物語」―決戦期の台湾文学(ダグラス・L・フィックス/金築由紀 訳) 淪陥時期北京文壇の台湾作家三銃士(岡田英樹) 頼和の漢詩―小逸堂時代から治警事件前後まで(林瑞明/下村作次郎 訳) 頼和と台湾左翼文学の系譜―植民地作家の抵抗と挫折(陳芳明/野間信幸 訳) 頼和の「帰家」と魯迅の「故郷」(張恆豪/保名宏修 訳) 日本人の印象の中の台湾人作家・頼和(下村作次郎) 楊逵「新聞配達夫」の成立背景―楊逵の処女作「自由労働者の生活断面」と伊藤永之介の「総督府模範竹林」「平地蕃人」から(河原功) 楊逵の「田園小景」と「模範村」のこと(塚本照和) 哀しき浪漫主義者―日本統治時代の龍瑛宗(山田敬三) 「清秋」 その遅延の構造―呂赫若論(垂水千恵) 夢と現実―王昶雄「奔流」試論(陳萬益/垂水千恵 訳) 西川満と日本統治期台湾文学―西川満の文学観(中島利郎) 「気候と信仰と持病と」論―周金波の台湾文化観(星名宏修) 北京時代の鍾理和(澤井律之) 楊熾昌・風車詩社・日本詩潮―戦前台湾におけるモダニズム詩について(陳明台/松浦恆雄 訳) 呉新栄『震瀛詩集』初探(呂興昌/成瀬千枝子 訳) 解説(下村作次郎・中島利郎・黄英哲) 関連年表(一八九四~一九四五年)
|
■編著者紹介
藤井 省三(ふじい しょうぞう):東京大学文学部教授。 下村 作次郎(しもむら さくじろう):天理大学国際文化学部教授。 中島 利郎(なかじま としを):岐阜聖徳学園大学外国学部教授。 黄 英哲(ホアン インツオ):愛知大学現代中国語学部助教授。
|
|