●編著者のことば
山水の美それ自体を表現の中心としたいわゆる“山水詩”は、東晋末期から劉宋にかけての詩人、謝霊運によって形成された。……しかし、六朝期の山水詩には、一般に、難解な文字を用いた中篇・長篇が多い。このため、美しい詩句だけを抜き出して味わうのは容易でも、一首全体のイメージを的確に鑑賞するのは、必ずしも容易でない。この点への配慮から、本書では、唐宋期の、文字通り珠玉のように磨かれた短篇詩を中心とし、あわせて、これと異質な素朴さをもつ北朝系の民歌を配置している。（「山水」解説より）

●構成
巻頭概説 自然への讃歌―詩と叙景
四季
江南の春（杜牧）／春暁（孟浩然）／春夜（蘇軾）／曲江（杜甫）／江南にて李亀年に逢う（杜甫）／三月晦日 劉評事に贈る（賈島）／客中の初夏（司馬光）／初夏即事（王安石）／夏昼偶作（柳宗元）／夏夜涼を追う（楊万里）／山亭夏日（高駢）／山居の秋暝（王維）／秋思（張籍）／秋日（耿湋）／暮れに立つ（白居易）／秋興（杜甫）／秋思（劉禹錫）／江雪（柳宗元）／寒夜（陳師道）
山水
山行（杜牧）／湖上に飲す 初めは晴れ 後に雨ふる（蘇軾）／漢江（杜牧）／嶽を望む（杜甫）／終南山（王維）／鍾山即事（王安石）／勅勒の歌（無名氏）／天門山を望む（李白）／独り敬亭山に坐す（李白）／暮江吟（白居易）／廬山の瀑布を望む（李白）
田園
園田の居に帰る（陶潜）／江村（杜甫）／四時田園雑興（范成大）／田園楽（王維）／郷村四月（翁巻）／山西の村に遊ぶ（陸游）／村夜（白居易）
花鳥
山園の小梅（林逋）／杏花（元好問）／李花（韓愈）／辛夷塢（王維）／海棠（蘇軾）／孔密州の五絶に和す 東欄の梨花（蘇軾）／牡丹を賞す（劉禹錫）／白菊雑書（司空図）／帰雁（銭起）／白鷺鷥（李白）／画鷹（杜甫）／蛍を詠ず（簡文帝）／蚯蚓（梅尭臣）
天象
山中の雲（真山民）／春夜雨を喜ぶ（杜甫）／峨眉山月の歌（李白）／十五夜月を望む（王建）／初月（杜甫）／風（李嶠）／雨（皎然）／楽遊原（李商隠）
詩人紹介